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250ccのミッションバイクが約45万9800円は安すぎる!|GPX レジェンド250ツイン試乗


ありそうでなかった、250ccパラレルツインのネオクラシックモデル。しかも価格は、近年の250ccクラスの平均値を大幅に下回る45万9800円‼ タイのGPXが生み出したレジェンド250ツインは、60万円前後のフルカウルスポーツとスポーツネイキッドが主役になっている現在の250cc市場で、台風の目になるんじゃないだろうか?




REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

 2018年秋に、月木レーシングがGPXジャパンを創設するという話を聞いたとき、僕は一瞬、耳を疑った。何と言っても月木レーシングは、レースの世界で数々の実績を残してきた、老舗のバイクショップ/マフラーメーカーである。そんな同社が、どうしてタイの新興ブランド、2007年に創業し、2009年から2輪事業への参入を開始した、GPXの輸入販売を行うのか?……と。




 その疑問は、2019年から日本市場への導入が始まったレジェンドツイン150Sやジェントルマン200レーサーなどを体験することで、あっさり解決することとなった。単純にGPXのバイクは、魅力的で出来がよかったのだ。なお前述したように、GPXはまだ歴史が浅いメーカーだが、2017年以降の母国タイにおける販売台数は、ホンダとヤマハに次ぐ3位を獲得している。




 GPXではこれまでに、ストリートファイター指向のネイキッドやフルカウルスポーツ、ネオクラシックなどを手がけており、本国のラインアップには14機種が並んでいるが、エンジンはいずれも単気筒で、排気量は125~200ccが主力だった。そんな同社にとって、初の250ccパラレルツインとなるのが、レジェンド250ツインだ。




 レジェンド250ツインはネオクラシックに該当するモデルである。もっとも、倒立フォークや前後17インチのキャストホイール、フロントのダブルディスクブレーキなどを見ればわかるように、足まわりはクラシック風ではない……と言うより、現代の250ccの基準で考えるとかなり豪華だ。この構成をどう感じるかは人それぞれだが、見た目は旧車風でも走りは現代的というのは、最近のネオクラシックのトレンドだし、もしかしたらGPXは、正立フォークや大径ホイール、アップハンドルやアップマフラーなどを採用する、派生機種の展開を考えているのかもしれない。

 日本に上陸したばかりのレジェンド250ツインを、じっくり観察したうえで走らせてみて、僕が最初に感心したのは違和感のなさだった。いや、初っ端から何を言っているんだと思われるかもしれないが、まずこのバイクは、デザインのまとまりが非常にいいのである。他社のネオクラシックモデルで時として感じる、とりあえず旧車風にしてみました的な雰囲気や、コストダウンの気配がまったくなくて、車両から離れて全体を眺めても、車両に近寄って細部を凝視しても、メーカーの本気度がヒシヒシ伝わってくる。そして実際に走行してみると、車格は250ccとしては順当と思える感触で、スロットルやブレーキの操作感や前後サスの動きは至って自然。一昔前の東南アジア製バイクは、乗り手の積極的な歩み寄りを必要とするものだったのに、このモデルは誰もが気軽に乗れそうなフレンドリーさを身につけているのだ。




 もちろん、レジェンド250ツインの魅力はデザインとフレンドリーさだけではない。近年の250ccの多くが中高回転指向になっているのに対して、新規開発された空冷パラレルツインは低中回転域で潤沢なトルクを発揮してくれるし、それでいてレッドゾーンが始まる8000rpmまでスムーズに回る。一方の車体は、俊敏や軽快といった印象は持ちづらいものの、乗り手の操作に対する反応はどんな場面でも実直だから、街乗りだけではなく、スポーツライディングやツーリングでも不満を感じることはなさそう。と言っても、絶対的な速さでは日本の4メーカーやKTMの250ccに軍配が上がるのだが、常用域で操る楽しさが満喫できるうえに、オールラウンダーとして使えるレジェンド250ツインの特性は、エントリーユーザーからベテランまで、幅広い層のライダーから受け入れられそうな気がする。




 さて、そんなレジェンド250ツインにあえて異論を述べるとすれば、グリップ位置が低めのセパレートハンドルと、接地感がいまひとつ物足りないタイヤが挙げられる。ただし、ハンドルはバー式への変更が容易に行えそうだし(トップブリッジに、バーハンドル化を考慮したクランプ用の穴が開いている)、タイヤに関しては、扁平率がわずかに変わることをヨシとすれば、接地感向上が期待できるリプレイス品が豊富に存在するので、問題というほどではないだろう。いずれにしても、近年の250cc市場には存在しなかったパラレルツインのネオクラシックモデルが、近年の250ccクラスの平均値を大幅に下回る45万9800円で購入できるというのは、夢みたい……は言い過ぎにしても、素晴らしいことだと思う。



ライダーが身長182cm/体重が73kgなので、あまり参考にならない気がするが……。レジェンド250ツインの公称シート高は790mmで、足つき性は近年の日本製250ccスポーツやネイキッドより良好。ハンドルグリップ位置は低めだが、このくらいなら小柄なライダーでも、上半身の前傾に厳しさを感じることはなさそうだ。

LEDヘッドライトはかなり斬新なデザインで、ステーはカスタムパーツを思わせる構成。ボルト2本締めのアンダーブラケット前部に備わるメーカー名のプレートは、かつての日本車でもよく見られた手法。

ハンドルは低めのセパレート式。トップブリッジ上面のゴムカバー下には、バーハンドル用クランプを想定した穴が開いている。バックミラーはバーエンドタイプ。ガソリンタンク側面にはニーグリップラバーを装備。

ラウンドタイプのLCDメーターは、同形式のジェントルマン200レーサーより視認性が良好。上部外周にはバーグラフ式タコメーター、下部には燃料残量計、その間には速度/時計/オド/トリップメーターを配置。

ウインカーはオフで中立位置に戻す、旧態然とした構成。右側にスイッチが見えるハザードは嬉しい機構だが、キルスイッチがないのは不可解。左右レバーホルダーには、汎用バックミラーが装着できる雌ネジが存在する。

オーソドックスな形状のダブルシートは、十分な肉厚を確保。妙な傾斜が付いていないこと、メイン座面と他の部分で異なるレザーを使用し、アクセントとしてホワイトステッチを使っていることは、なかなかの好感触。

テールランプはヘッドライトと同様のLED式だが、前後ウインカーは昔ながらの白熱球。クロームメッキ仕上げのスチール製グラブバーは、シート後半部をぐるりと回る一体式。荷かけフックの類はナシ。

空冷並列2気筒エンジンは新規開発。パッと見はDOHCのように見えるものの、動弁系はSOHC2バルブだ。気化器は電子制御式インジェクションで、オイルクーラーは250ccとしてはかなりの大容量。始動はセルのみ。

フロントブレーキは昨今の250ccでは珍しいダブルディスクで、キャリパーは片押し式2ピストン。倒立フォークはφ38mm。前後17インチのキャストホイールは専用設計。フェンダーステーには2本のパイプを使用。

オールブラックのリアショックは、アフターマーケットの世界でも勢力を拡大中のYSSで、左側前部にはヘルメットホルダーが備わっている。セミダブルクレードル式のフレームと丸パイプのスイングアームはスチール製。

排気系は2-1式で、メガホンサイレンサーの後部にはリバースコーンが備わる。ヒールプレートは右側のみ。前後タイヤはGPXと同じタイで生産されるVEE RUBBERで、110と130の90扁平は昨今では珍しいサイズ。

エンジン:4ストローク空冷並列2気筒 SOHC2バルブ


総排気量:234cc


圧縮比:9.2:1


燃料供給方式:電子制御式インジェクション


始動方式:セルフ式


トランスミッション:6段リターン




フレーム:鋼管セミダブルクレードル


フロントサスペンション:φ38mm倒立式


リアサスペンション:スイングアーム・YSSツインショック


フロントブレーキ:ダブルディスク+片押し式2ピストンキャリパー


リアブレーキ:シングルディスク+片押し式1ピストンキャリパー


フロントタイヤ:110/90-17


リアタイヤ:130/90-17




全長×全幅×全高:2040×800×1040mm


シート高:790mm


最低地上高:180mm


重量:154kg


燃料タンク容量:14.5L


価格:45万9800円




生産国:タイ

テスター:中村友彦


1900年代初頭に生まれの旧車から最新スーパースポーツまで、ありとあらゆるバイクに興味を示す、雑誌業界23年目のフリーランス。ここ最近はTZR250でレースに参戦しているものの、基本的には大のツーリング好きで、’06年から愛用しているH-D XL883の走行距離は15万kmを突破。

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