CRF250ラリーは、CRF250Lをベースに大型のスクリーンやアシンメトリーのLEDヘッドライトを装備し、現役のダカール・ラリーレーサーであるCRF450ラリーの姿を模したスペシャルマシンだ。今回はローダウン仕様のタイプLDを駆り、オンオフ問わず徹底試乗!



●REPORT:川越 憲(KAWAGOE Ken)

●PHOTO&EDIT:佐藤恭央(SATO Yasuo)

CRF250 RALLY/Type LD……715,000円

カラバリは、CRFシリーズを象徴するエクストリームレッド(写真)にクールなブラックカラーもラインナップ。

 2013年、ホンダワークスのダカール・ラリーへの参戦は、多くのオフロードファンを喜ばせた。かつてダカール・ラリーが「パリ・ダカ」の愛称で呼ばれ、フランスのパリからセネガルのダカールまでの約1万2000kmものステージで争われていた頃、ホンダワークスはNXR750が4連覇を果たすなど、オフロードレースの世界でもその名を轟かせていた。

 ダカール・ラリーは治安の悪化などの理由で、現在は舞台を南米に移行し、MOTOクラスの排気量も450ccまでとレギュレーションが変わったが、世界一過酷なレースの称号は揺るがない。

 そのダカール・ラリーに参戦するホンダワークスのマシン、CRF450RALLYをモチーフに開発されたのが、この「CRF250RALLY」だ。先に発売されていたCRF250Lをベースにオフロードの走破性を大幅に高めているのが特徴だが、開発キーワードの「ザ・ダカールレプリカ」が示すようにフォルムやカラーリングもCRF450RALLYそっくりに仕上げられている。ライダーなら誰もが畏敬の眼差しを注いでしまう造形だ。

 今回試乗したのは、前後サスペンションを変更して、シート高を65mm低くしたType LD。基本装備はスタンダードと同じなのでパッと目には違いが分からないが、跨ってみるとその差は歴然! スタンダードでは両足のカカトが浮いていた足着きが、ヒザが若干曲がるくらい、カカトがべったりと着くようになっていた。ハンドル位置も下がっていて、アップライトなポジションが、若干前下がりになり、ライディングポジションはオンロードバイクに近くなったと感じられた。

 舗装路を走り出すと、フロントタイヤのゴムブロックが潰れるグニャッとした手ごたえを感じる。これはブロックタイヤ特有のものだが、この感覚は初めて乗った人は違和感を覚えるだろう。だが、Type LDはスタンダードよりサスペンションが短いこともあり、慣れてしまえば気にならないレベルだ。もっとも、この違和感はダートや林道に入ると、絶大な安心感に変わる。オンロードタイヤでは進入に臆してしまうような、ぬかるんだ不整地であっても、スロットルをドンドン空けてしまいがちになる誘惑を抑えるのに苦労するほどだ。最低地上高が270mm→205mmへと低くなっているのだが、大きめの轍を横切る際も不安なく走破できた。

 もちろん走破性は足の長いスタンダードの方が良いのだが、いざという時にべったりと足が着くことで、心理的にも余裕がある。車体が軽量であるのも、初めての林道や不整地に入り込んだ時に心強いポイントだ。

 そして、今回の試乗で特筆したかったのが、ワインディングでの走行性能。制限速度で走っている時に感じたアスファルトの上のブロックタイヤのネガティブな印象が、タイヤに荷重をかけたコーナリングでは気にならなくなり、スポーツ走行ができるのだ。ショートになったサスペンションの恩恵もあり、ツーリングで同クラスのオンロードスポーツに十分ついていけるポテンシャルをもっている、と実感できた。

 通勤通学から仲間とのツーリング、さらに、過酷なダカール・ラリーを思わせる道なき道を走破してみたい。そんな幅広い使い方を、無理なく実現させてくれる冒険マシンなのだ。

●足つきチェック(ライダー身長182cm)





シート高830mmの数値はスペック値としては高いが、スタンダードより65mmも低く、車体がスリムでサスペンションの沈み込みも大きいため、実際の足着き性は極めて良好。ライディングポジションはアップライトで、窮屈さは無く自由度も高い。

●ディテール解説

スリムなシートはクッション性が高くサイドカバーとの一体感もあり、足着き性の良さにも貢献。前方のライダー乗車位置は厚みがあり、やや硬めだが弾力性に富む。

サスペンションをショートタイプとすることでシート高を65mm下げるとともに、ホイールベースも25mm短くなった。ブロックパターンのタイヤとスポークホイールは、オフロードマシンであることを強調する。

フロントブレーキには、ウェーブ状のΦ296mmフローティングディスクを採用。シングルディスクでも強力でコントローラブル!

リヤのシングルディスクブレーキにもフロント同様ウェーブタイプを採用。対向2ポットキャリパーの組み合わせは制動力も十分。

ベースとなったCRF250L/Mのサイレンサー内部構造を一新。3室構造から2室構造とすることで、歯切れの良い排気サウンドと小型・軽量化を実現。

シュラウドからアンダーカバーに繋がるスリムでコンパクトなデザインは、飛び石や泥から車体を守るほか、優れたウインドプロテクションも発揮。

大型のウインドスクリーンはCRF450RALLYと同形状のフローティングタイプ。ハンドリングへの影響を抑えるため、ヘッドライトとともにフレームマウントされている。

ナックルガードは林道の木々の枝や走行風から手を守るだけでなく、整風効果に優れたデザインで、走行性能とスポーティな外観を両立。

ハンドルバーやメーター上部などアクセサリーパーツの増設で、ラリースタイルをさらに極めることもできる。タンクキャップはエアプレーンタイプを採用。

ラリーマシンのコクピットを思わせる多機能フルデジタルメーターを装備。燃料計や時計のほか、後輪ABSオフを示す警告灯なども配置。

ABS仕様はオンオフ切り替え可。ABSオフのスイッチを作動させるとリヤのABSがカットされる。ABSモードは、メインスイッチオフからオンにすると常にオン状態に戻る。

斜め後方に跳ね上がるシャープなテールランプは専用設計。クリアレンズ採用のウインカーはLEDを採用。

キー穴カバーが付いたプッシュタイプのヘルメットホルダーを装備。積載性を考慮して荷掛けフックポイントも左右4か所に配置。
シートレール左下には工具や書類などが収納できる、大型ツールボックスを装備。メインキーで開閉できるキーロック付き。


■主要諸元■

※【 】内はType LD



車名・型式:ホンダ・2BK-MD44

全長(mm):2,210〔2,175〕

全幅(mm):900

全高(mm):1,425〔1,360〕

軸距(mm):1,455〔1,430〕

最低地上高(mm):270〔205〕

シート高(mm):895〔830〕

車両重量(kg):157〔156〕

乗車定員(人):2

燃料消費率*1(km/L):

 国土交通省届出値定地燃費値 (km/h)…44.3(60)〈2名乗車時〉

 WMTCモード値(クラス)…33.1(クラス 2-2)〈1名乗車時〉

最小回転半径(m):2.3

エンジン型式:MD38E

エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒

総排気量(㎤):249

内径×行程(mm): 76.0×55.0

圧縮比: 10.7

最高出力(kW[PS]/rpm):18[24]/8,500

最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):23[2.3]/6,750

燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉

始動方式:セルフ式

点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火

潤滑方式: 圧送飛沫併用式

燃料タンク容量(L):10

クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式

変速機形式:常時噛合式6段リターン

変速比:

 1速…3.333

 2速…2.117

 3速…1.571

 4速…1.304

 5速…1.103

 6速…0.967

減速比(1次/2次):2.807/2.857

キャスター角(度):28° 05′〔27° 35′〕

トレール量(mm):114〔113〕

タイヤ:

 前…3.00-21 51P

 後…120/80-18M/C 62P

ブレーキ形式:

 前…油圧式ディスク

 後…油圧式ディスク

懸架方式:

 前…テレスコピック式

 後…スイングアーム式(プロリンク)

フレーム形式:セミダブルクレードル



■製造事業者/本田技研工業株式会社

情報提供元:MotorFan
記事名:「 シート高が65mmも低い! 足着き良好のCRF250ラリーType LD(ローダウン)は安心感も絶大