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日産スカイラインのプロパイロット2.0は、エース級のテストドライバー並のドライブを味あわせてくれる


ハンズオフ(ハンドルから手を離す)を実現した先進運転支援技術プロパイロット2.0を搭載する新型日産スカイラインハイブリッド。試乗で感じたのは、ハンズオフそのものよりも、加減速も含めた車両制御技術の洗練だった。ジャーナリスト世良耕太がプロパイロット2.0を試した。




TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

印象深いのは前走車がいなくなったときの再加速

 2019年7月16日に発表され、9月から発売が始まったスカイラインは、世界初の先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を搭載しているのが、最大のセールスポイントだ。




 セレナやリーフ、デイズなどが搭載しているプロパイロットは、高速道路の同一車線内でアクセル、ブレーキ、ハンドルの制御を自動で行なってくれる。機能がオンになっているとき、ハンドルから手を離すことは許されない。一定時間ハンドルから手を離すと、警告が発せられ、最終的には機能がオフになる。




 プロパイロット 2.0はナビで目的地を設定していることが前提で、条件が揃えばハンドルから手を離す「ハンズオフ」が可能になる。この際、ドライバーは前方に視線を向けている必要があり、よそ見している時間が長いと、警告が発せられ、最終的にハンズオフの機能はオフになる。「ドライバーモニターシステム」と呼ぶ赤外線カメラで、ドライバーの様子を監視しているのだ。

これがドライバー監視用の近赤外線カメラ

今回の試乗コース

 8月下旬、河口湖に近い山の中にあるリゾート施設を起点に、河口湖ICから中央自動車道に乗り、大月JCTを経て上野原ICで折り返す約100kmのルートを走ってプロパイロット 2.0の実力を試した。その結果、最も感銘を受けたのは、クルマの洗練された動きだった。ハンズオフ機能によって運転のストレスが軽減されるうんぬんの話は、あくまでも付加価値である。ハンズオン/ハンズオフを問わず、加速、減速、操舵の自動制御がすばらしい。

レーダー、カメラ、ソナーを使って車両の周囲をモニターする。注目はZF製の3眼カメラTricam(トライカム)だ。

ハンズオフの条件は、3D高精度地図データがあること、中央尾分離帯があること、制限速度内であること、である。

ステアリングホイールの右側でプロパイロットは設定、ON/OFFする

 プロパイロットとプロパイロット 2.0の相違は、後者が3D高精度地図データを利用し、360度センシングを行なっていることだ。これが、洗練された動きの土台になっている。例えば、従来のシステムでは高速道路で同一車線内の加減速と操舵をシステム任せにしているとき、こんな困ったシチュエーションに遭遇することがあった。




 走行車線を走っていて前走車に追従走行していた際、前走車が車線変更していなくなって前ががら空きになった。そのときの車速は70km/h。設定車速は100km/hだったので、前走車がいなくなった途端、加速を始める。ところが、なかなか強烈な加速のため、右側レーンを走る車列を左レーン側から追い越す格好になってしまい、ばつの悪い思いをした──。




 プロパイロット 2.0なら、そんなばつの悪い思いをしないで済む。360度センシングによって、周囲の状況を把握できているからだ。開発を通じてプロパイロット 2.0を10万キロ以上乗り込んだというエンジニア氏は次のように説明した。

ダイナミックマップ(3D高精度地図データ)を使うのがプロパイロット2.0の売りだ

ハンズオフは、GPS信号が届かないトンネル内や工事区間、急カーブ、料金所などでは使えないが、インターフェイスがうまくできていて、スムーズにハンズオンを促される

目的地を設定しておけば、高速道路の分岐や出口にも対応する。その際はハンズオンになる

「自車レーンだけでなく、隣のレーンまで把握しているので、右側レーンにいるクルマを抜いて加速するようなことはしません。加速を抑制します。それに、右側レーンを走っているときと、左側レーンを走っているときでは、ドライバーの意志の違いを考慮し、加速を変えています。そもそも、前走車がいなくなったときの再加速は、中間加速なのでそんなに要りません。一方で、ETCゲートを通過した際は、ある程度加速したいというドライバーの心理を尊重した加速にしています」




 洗練された動きと感じた理由のひとつが、前走車がいなくなったときの再加速だ。「かなり気にしながらいろんなシーンを作っています」と、くだんのエンジニア氏は説明を続けた。

エンジン 形式:V型6気筒DOHC 型式:VQ35HR 排気量:1756cc ボア×ストローク:95.5×81.4mm 圧縮比:10.6 最高出力:306ps(225kW)/6800pm 最大トルク:350Nm/5000rpm 燃料:無鉛プレミアム モーター 型式:HM34型交流同期モーター 最高出力:68ps 最大トルク:290Nm

「先進運転支援技術が働いているとまわりに思われないよう、交通環境に溶け込むことをコンセプトに開発しています。それも、日本市場のなかで。こういうシーンではこう動くのが自然だよねと、議論しながら設定を決めています」




 ACC(車速追従型オートクルーズ)付きのクルマに乗っていると、自分のクルマが頻繁にブレーキをかけて、後ろのクルマに迷惑をかけているのでは、と思うことがある。スカイラインならその心配は要らない。プロパイロット 2.0を搭載するスカイラインはハイブリッドで、50kW/290Nmのモーターを搭載している。

「周囲のクルマと協調させることを最重視していますので、減速時は比較的早い段階で(エンジンを停止させて)トルクオフして、モーターの回生で緩やかに減速させたりもしています。前後の動きともに、かなり成長していると思います」




 メーターには自車と周囲の状況がグラフィックで表示され、自車のブレーキが点灯するとグラフィックの変化でわかる。ハンズオフ時も含めACCを機能させているとき、自車のブレーキ点灯がわかるのは安心感につながる。

 帰路、大月JCTから富士吉田線に分岐すると、カーブが連続する区間がある。ここではハンズオフを試した。左右のタイヤは細かく向きを変えているはずなのに、ハンドルの揺れが少ないのは、ステアリングギヤボックス系とハンドルの機械的な結合を切り離したステア・バイ・ワイヤーの恩恵だ。




 それより感心したのは、ライントレース性の高さである。車線の中央をキープしながら、スムーズに右左のカーブを抜けていく。右カーブに進入し、左カーブに折り返す際もGの変化をほとんど感じない。同じことができるかと問われると、まったくもって自信がない。




「弊社のエース級のテストパイロットに同じことをやらせようとすると、『肩が凝る』と言います」




 運転のプロをもってしても、それだけ集中力が要るということだ。従来のシステムはレーンに対してクルマが外に出そうになったら中央に戻す、いわば「おしおき」制御だ。プロパイロット 2.0は3D高精度地図データを利用しているので、もっと先まで把握できており、先手を打って制御できる。カメラやレーダーではどんなに頑張っても100〜150m先までしか認識できないが、地図データと連係すると数百m先まで見通せる。「すべてをそれに頼るわけではないが、補正をかける意味で重要」だという。

遅い前車に詰まったらハンドルに手を添えてスイッチを押すことで車線変更・追い越しができる。ただし、高速道路の実状は制限速度より速い流れになっているので、なかなかプロパイロット2.0による追い越しの機会はないのではないか

「カーブに進入する際はトルクを抜いて緩やかに減速し、立ち上がる際は横G一定になるように少しずつ加速します。ハンドルを切り始めるときはいいのですが、戻すタイミングが難しい。プロパイロット 2.0は地図データを利用しているので先が読めているのもありますが、地図自体が3次元。S字カーブでは路面カント(微細な傾斜)が切り替わるのですが、そこも理解して補正を入れています」




 専門的にいうと、理論的にはG-Gダイアグラムを円くする(Gのつながりがスムーズで身体的な負担や違和感を少なくする)ことが可能だという。だから、プロパイロット 2.0は、お手本ともいえるスムーズな運転が実現しているのだ。

全長×全幅×全高:4810×1820×1440mm ホイールベース:2850mm

インフィニティではなく日産のVモーショングリルになった新型スカイライン
車重:1840kg 最小回転半径は5.6m


日産スカイラインハイブリッドGTタイプSP(FR・7速AT)


全長×全幅×全高:4810×1820×1440mm


ホイールベース:2850mm


車重:1840kg


サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式 Rマルチリンク式


駆動方式:FR


エンジン


形式:V型6気筒DOHC


型式:VQ35HR


排気量:3498cc


ボア×ストローク:95.5×81.4mm


圧縮比:10.6


最高出力:306ps(225kW)/6800pm


最大トルク:350Nm/5000rpm


燃料:無鉛プレミアム


モーター


型式:HM34型交流同期モーター


最高出力:68ps


最大トルク:290Nm


燃料タンク:70ℓ


燃費:JC08モード 14.4km/ℓ


トランスミッション:7速AT


車両本体価格:604万8000円

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