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〈アウディQ2試乗記〉都会派コンパクトSUVの大本命!


アウディQシリーズの新しい仲間が、いよいよ日本でデビューを飾った。ポリゴンデザインを採用した魅惑的なエクステリアについつい注目してしまうが、アウディQ2はハードウエア的にも魅力がたくさん詰まっているのだ。上級グレードである1.4 TFSI cylinder on demand sportをベースに安全装備を充実させた「1st edition」と1.0 TFSI sportに試乗して、コンパクトなボディに詰め込まれた“走り”の魅力をチェックした!




TEXT●石井昌道 (ISHIKAWA Masamiti)


PHOTO●宮門秀行 (MIYAKADO Hideyuki)




※本稿は2017年6月発売の「アウディQ2のすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様や道路の状況など、現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。

都市生活に使いやすく、室内も広々としたSUV

 2000年代に入ってからプレミアム・ブランド全体の市場が拡大しているが、なかでもアウディは急成長を見せた。2008年に世界販売で初の100万台を突破すると、2013年には「2015年に150万台」という目標を前倒しで達成。昨年は187万台で過去最高を更新している。その昔はBMWとメルセデス・ベンツのツートップを追う立場だったが、今や完全に三つ巴の戦いとなっている。




 成長の源となったのは、技術による先進、コンサバなライバルたちに対して一歩先をいくデザイン、徹底的な品質向上など。そしてもうひとつ、ライバルたちにもいえることだがラインアップを急速に拡大したことも販売台数増加に貢献している。20世紀まではA3、A4、A6、A8を中心にプラスα程度だったが、今では数字の隙間がほぼ埋まり、SUVのQシリーズも大増殖。さすがにそろそろ車種拡大は打ち止めに近づいてきているが、販売台数をさらにジャンプアップさせるポテンシャルを感じさせるのが今回リリースされたQ2だ。ナリは小さいが大物だといえる。ちなみに、過去にA2という意欲的なコンパクト・コミューターがあったが関連性はない。




 Q2はいま最も成長が見込めるコンパクトSUVで、いまのアウディが普段通りの実力を出せばヒットは間違いなし! といったところだが、あえて変化球を投げたように見えるのが興味深い。販売台数的に重要な役割を担うモデルのデザインを若手に託し、ポリゴン(多角形)をモチーフとする新たなコンセプトのもと生まれてきたエクステリアは、これまでの文法とはちょっと違う。瀟洒で美しいと誰もが素直に思えるかカタチではなく、ゴツゴツとしていてどこかアンバランスなところもあって、心に引っかかる。成功しているブランドが慢心するとコンサバになってあっという間に求心力を失っていくことも少なくないが、アウディはそれを嫌い、あえて次世代へ向けてのチャレンジをしているかのようだ。




 クロスオーバーSUVではあるが、全高1530㎜はこのクラスとしても低めでSUV感は薄い。ルーフラインなどは流麗だったりもするが、全長が4200㎜と短めでクーペ風というわけでもない。何とも形容しがたく、ドンピシャなライバルが存在しないようにも思える。そういったところが、カタログ等で謳われている“型破る”なのだろう。




 その一方で都市生活者のパーソナルカーとしてみれば理にかなったパッケージだ。ボディサイズはほとんどの立体駐車場に入れて、全長の短さは取り回しが楽なうえ、欧州では一般的な縦列駐車に便利。SUVとしては全長が低めとはいえ、A3などハッチバックに比べればヘッドルームに余裕があってコンパクトカーながら広々としている。大人が乗っても不満がない後席を持つモデルとしては最小の部類と言えるかもしれない。




 一方、ハードウエアはすでに定評がある技術をベースとしている。プラットフォームはA3でも絶賛されているMQB。エンジンは1.4TFSIシリンダー・オン・デマンドと1.0TFSIの2種類でともに7速DCTのSトロニックと組み合わされる。前者のエンジンは最高出力150㎰、最大トルク250Nmでお馴染みといえるが、後者の直列3気筒1.0ℓ直噴ターボはA1で搭載されているユニットの95㎰/160Nmから、116㎰/200Nmへと大きくパフォーマンスアップされている。299万円~という魅力的なプライスタグが掲げられているのは当然1.0TFSIで、そちらでも満足度が高いのかどうか気になっている人は多いだろう。

1st edition

都会派のコンパクトSUVであるQ2は、機械式パーキングに収まるサイズも魅力のひとつ。テンポ良くシフトアップ&ダウンを繰り返す7速Sトロニックと1.4ℓターボエンジンとの組み合わせは、もはや精密機器のように感じる。インテリアの質感、着座ポイントの自然さなど、アウディQ2はその第一印象から抜群のチャームポイントを持っている。280台限定発売の「1st edition」は安全装備を充実させた仕様で、アグレッシブなデザインの10本スポーク・アルミホイールを採用している。

■全長×全幅×全高=4200㎜×1795㎜×1530㎜ 


■車両重量=1340㎏ 


■エンジン=直列4気筒1.4ℓターボ 


■最高出力=110kW(150㎰)/5000-6000rpm 


■最大トルク=250Nm(25.5㎏m)/1500-3500rpm 


■トランスミッション=7速DCT 


■価格=490万円

4輪がビタッと路面を捉え安定性は揺るがない

 今回は両方のエンジンのモデルに試乗したが、先に乗ったは1.4TFSIシリンダー・オン・デマンド・スポーツをベースに装備を充実させた1stエディション。ほぼフルオプション状態で490万円にもなる。SUVとはいえA3スポーツバックに対して20㎏しか重くなく、兄貴分のQ3に比べれば130㎏も軽い車両重量ゆえ、1.4ℓ直噴ターボならばパフォーマンスは十二分だ。街中を普通に走らせる程度ならばほとんど2000rpm前後で事足りてしまい、3000rpmも回せばたいていの交通状況に対応できる。高速道路でもアクセルを半分以上踏みこむケースなどまずないほどだ。アウディはさすがに直噴ターボのダウンサイジング・コンセプト(最近では単なる小排気量化ではなく、適正という意味のライトサイジングと謳っている)とDCTの先駆けだけあってドライバビリティも完璧。とくに1500〜2000あたりのトルクの充実感は、何度乗っても感心させられるほどで常用域での頼もしさが半端ではない。しかも、アクセルを深めに踏みこんでいったときの、瞬時に背中がシートバックに押しつけられるレスポンス、直列4気筒としては乾いた感じのスポーティなサウンド、高回転域での伸びやかさなどもよく出来ている。実用性重視ながら程よくスポーティなそのバランスが絶妙なのだ。




 いくらよくできているといっても、超低回転域ではターボラグがあるはずだが、それなりに排気量があり、DCTのギア比が適切なのでそれを感じる場面はほどんどない。




 背がそれほど高くないとはいえ、アイポイントはハッチバックなどよりも高く、アップライト気味の着座姿勢となるのでドライバーはSUVを意識させられることになる。一般的な走行では見晴らしがよくて安心感が高いのだが、ワインディングロードを楽しむような走りでこれがネガにならないかどうか一抹の不安があったが、想像以上に俊敏なハンドリングの持ち主で驚いた。その根幹を支えるのが圧倒的な剛性感のあるボディだ。MQBプラットフォームだから悪かろうはずがないことは事前からわかっていたが、A3スポーツバックで乗るよりもさらにガッシリとしているのだ。1stエディションはS lineパッケージも含まれるのでスポーツサスペンションが装備され、タイヤも18インチと大きくなる。そのため路面からの入力はきつくなる傾向にあるが、ボディがしっかりと受け止めるので不快感は最小限に抑え込まれている。




 その一方、コーナーでは姿勢変化の少なさやグリップ力の高さが武器になる。アウディ自慢のクワトロではなくFFではあるが、4輪がビタッと路面を捉えている感覚が強く、ちょっとやそっとコーナーを攻めるぐらいでは安定性は微塵も揺らがない。Q2にはプログレッシブステアリングが標準装備。累進的にステアリングギア比がクイックになるシステムで、中立付近では穏やかながら切り込んでいくと舵角が大きくなっていく。慎重な操作が求められる高速コーナーでは微細なコントロールがやりやすく、タイトコーナーなどでは少ないステアリング操作でズバッと切れ込んでいけるのが心地良く、一体感を生み出すことになる。そんな状況でもフロントタイヤから絶大なグリップを引き出せてアンダーステアを感じさせない。また、高速道路での直進時には安心感が高く、狭い路地や駐車時には楽な操作になるというのもプログレッシブステアリングの効果だ。




 ボディ剛性の高さによってスポーツサスペンションや大径タイヤであっても不快感を抑え込んでいる1stエディションではあるが、場面によっては乗り心地が硬めに感じることもある。低速域で路面が荒れていたり、不意に大きなギャップに遭遇して大入力があると突き上げ感があったりするのだ。

高速道路での直進時には安心感が高く、狭い路地や駐車時には楽な操作になる

この確度から見ると、ボディサイドを大胆に切り取った独特なラインがよく分かる。この造形によってフロント&リヤフェンダーのボリューム感が強調され、SUVらしい筋肉質な雰囲気が演出される。少し見る角度が変わるだけで、その印象はガラッと変わる。その造形の魅力は、ぜひ実車を見て確かめてほしい。

ワインディングロードでのハンドリングもスポーティ

 その点、1.0TFSIスポーツは快適性で有利だった。サスペンションはスタンダードでタイヤは17インチ。入力感が穏やかになっている。だからといって快適志向に寄りすぎているわけではない。クロスオーバーSUVの多くは、ハッチバックなど低全高なモデルに対して長くとられたサスペンション・ストロークによってソフトタッチな乗り味になるが、その反面、ボディがボヨンボヨンと揺すぶられることにもなりかねない。Q2は1.0TFSIスポーツの仕様でもそうはならず、適度にスポーティな低全高モデルと同様の乗り味で、どんな場面でもピシッとしたボディコントロールがなされている。ワインディングロードでのハンドリングも変わらずにスポーティ。1stエディションではシャシー性能が高いゆえ、もっとパワーがあってもいいと思ったほどなので、1.0TFSIにはむしろバランスがいいぐらいだ。




 エンジンのパフォーマンスは1.4TFSIに比べればスペック通りにダウンするものの、まったく不満はなく、期待をちょっと上回るぐらいだった。2.0ℓNAエンジンに相当する200NmのトルクはQ2のボディに対して必要十分を大きく超えており、しかも1.4TFSI以上に常用回転域の充実感がある。エンジンの制御の巧みさにくわえてDCTのギア比の適正化も効いているようだ。1速などはかなり低く設定されていて、普通に街中を発進しているときなどは一瞬で2速にシフトアップされる。メーターを観察していると10㎞/hになろうかというところでもう2速になっているのだ。これは、エンジンの超低回転域のトルクを使える上、クラッチで発進するDCTがたまに露呈するギクシャク感を封じ込める効果も大きい。半クラッチ状態の時間が短いため、ギクシャクする可能性がほとんどないからだ。




 Q2は、そのチャレンジングで個性的な雰囲気、都市生活者にベストなユーティリティ、そしてアウディに期待されるスポーティで信頼感のある走りを、持ち前の先進テクノロジーでしっかりと成立させていた。とくにボディの質の高さには目を見張るものがあり、ただ〝型破る〟だけではなく自動車の本質を磨く生真面目な姿勢がベースにあるのだ。1.0TFSIスポーツは、定番と位置付けられるバランスの良さで誰にでもオススメできるモデルなのは間


違いないが、スポーツサスペンション+18インチタイヤの1stエディションは、Q2の持つポテンシャの高さをより濃密に味わわせてくれるモデルとして意義深い。Q2のチャレンジングな姿勢ともマッチしたキャラクターだからだ。

1.0TFSI スポーツ

1.0ℓの3気筒ターボエンジンは、とても魅力的だ。快適性とパワーの両立を目指して開発したハイテク満載のパワーユニットであり、アルミ製クランクケースを採用することで、エンジン単体の重量はわずか88㎏に抑えた。また、アルミ製ピストンと鍛造コンロッドを採用することで、バランスシャフトを備えずにスムーズな回転フィールを全域で体感できる。写真のTFSI sportモデルの足もとには5本スポークの17インチアルミホイールが装着される。ちなみにベーシックグレードのTFSIは16インチとなる。

■全長×全幅×全高=4200㎜×1795㎜×1530㎜ 


■車両重量=1310㎏ エンジン=直列3気筒1.0ℓターボ 


■最高出力=85kW(116㎰)/5000-5500rpm 


■最大トルク=200Nm(20.4㎏m)/2000-3500rpm 


■トランスミッション=7速DCT 


■価格=364万円
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