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マツダ Mazda3のスカイアクティブXエンジン搭載モデルが高価格な理由を考えてみる。発売は12月に延期


マツダは、新型マツダ3のSKYACTIV-Xエンジン搭載グレードの発売時期を当初の10月から12月中旬に延期した。延期の理由は従来のレギュラーエンジン仕様からハイオク仕様に変更するため、と報道されている。そもそも、非常に高価格に設定されたSKYACTIV-Xエンジン搭載グレード、その理由を考えてみた。

 マツダは、新型マツダ3のSKYACTIV-Xエンジン搭載グレードの発売時期を当初の10月から12月中旬に延期した。延期の理由は従来のレギュラーエンジン仕様からハイオク仕様に変更するため、と報道されている。ハイオク仕様に変更することで、セッティングや型式認証などの作業で発売延期が必要になったという。




 ご存知の通り、欧州仕様のハイオクはオクタン価RON95だ。一方の日本仕様は当初はレギュラー仕様として開発が進められてきた。日本のレギュラーはRON89以上である。




日本工業規格(JIS)では、


無鉛レギュラーガソリン:RON89.0以上


無鉛プレミアム:RON96.0以上


 と規定されている。




 国内のガソリンスタンドでは


無鉛レギュラーガソリン:RON90


無鉛プレミアム:RON98~100




 のものが販売されている。




 マツダによれば、国際試乗会での高評価を踏まえ、欧州仕様と同じスペックで日本のお客様にもお届けした方がいい、という判断をしたという。




 ちなみに、北米のハイオク仕様は、AKI93無鉛プレミアムに対応する場合が多い。北米仕様のCX-5の2.5ℓターボ(SKYACTIV-G2.5T)はAKI93に対応する。このAKI93は、RONに換算するとRON98となる。


 国内仕様のSKYACTIV-Xのハイオク仕様はJIS規格のRON96以上に対応するはずだが、欧州仕様のRON95より高オクタン価の燃料が使えるわけだ。

SKYACTIV-Xエンジン

欧州仕様のスペックは


圧縮比:16.3


最高出力:180ps(132kW)/6000rpm


最大トルク:224Nm/3000rpm


使用燃料:RON95




 となっているから、国内仕様もほぼ同じスペックとなるだろう。北米のレギュラーガソリンとも言えるAKI87は、RON91にあたるから、おそらく北米でもSKYACTIV-Xは、ハイオク(AKI93=RON98)仕様となるのだろう。

 問題は価格である。


マツダ3HBモデルの国内の価格は、


SKYACTIV-G2.0の20S PROACTIVE(2WD 6AT)●247万円


SKYACTIV-D1.8のXD PROACTIVE(2WD 6AT)●274万円


そして


SKYACTIV-XのX PROACTIVE(2WD 6AT)●314万円


である。


G2.0とD1.8の価格差は27万円


G2.0とXの価格差は67万円


D1.8とXの価格差は40万円


である。




 世界初の革新的燃焼技術のエンジンだからと言っても、燃費性能ではD1.8に敵わない。「走りの気持ち良さ」と「世界初のエンジンに最初に乗る歓び」にプラス40万円なり67万円を支払うのは、いわゆる「アーリーアダプター(=新しいもの好き)」である。アーリーアダプターは、技術的な裏付けも充分に理解したうえで、新しいエンジンを買ってくれる重要な顧客層だ。マツダ・ファンのなかにも多くのアーリーアダプターがいるだろう。筆者も、その類に分類されると思う。私もマツダ3を買うなら、SKYACTIV-Xエンジン搭載車を選ぶ。それでもSKYACTIV-Xは高いと思う。




 その価格について、エンジンの専門家、開発者の数名から意見をいただいた。意見というよりは推論である。複数の人の意見をまとめると、こうなる。念の為、もう一度書くが、あくまでも推論である。

「やはり発売当初は、たくさん売りたくないとしか考えられません」という。




「マツダは、SKYACTIV-Dのディーゼルエンジンでたくさんすす関連の不具合を出しているので、SKYACTIV-Xでは当面たくさん売らずに様子見しようということでしょうか」




「考えてみるとSKYACTIV-Xには新構成部品がたくさんあります。Gの場合は圧縮比(容積比)14.0は革新的でも構成要素はすべて実績のある部品でした。SKYACTIV-Xは、70MPaの燃料噴射系(⇒各部摩耗、耐久性)、ルーツブロワー(機械式スーパーチャージャー)上流へのEGR導入(ブロワーの汚れと腐食による不具合)、圧縮比16.3のプレイグニッションとノックキング制御(⇒ばらつきと制御の隙間による突然の異常燃焼・破損)、気筒毎の燃焼圧センサー(センサーの耐久性と誤差による制御ミス)、マツダ初のGPF(再生時期と制御ミスによる破損)など新しい部品が数多くあります」




「複雑なSPCCIの制御を考えると気が遠くなりそうです。燃料噴射回数・時期と量、点火時期、残留ガス制御(吸排気の可変バルブタイミング)、過給圧制御、吸気温度(ICバイパス)、スワールコントロール、GPFの再生制御……それに加えてさまざまな運転条件(暖機、過渡、定常)、運転環境(気温、気圧/高度、湿度、ガソリンの品質)、走行条件(車速、積載量、登板降坂、MT時のエンジン回転数)……NOxを押さえ込むのもピンポイント制御など、本当に気が遠くなるほど大変だと思います」




 という。「私が設計者だったら、心配で夜も眠れないでしょうね」という関係者(もちろんマツダの関係者ではない)もいた。


 革新的な商品を世に出すには通らねばならない道。SKYACTIV-Xほどの新技術の塊ならなおさらだ。高価格を受け入れてSKYACTIV-Xエンジンの最初期の需要を支えてくれるアーリーアダプターには、それだけの称賛を贈りたいし、おそらくそれに見合うドライビング・プレジャーがあるはずだ。




 発売時期が12月中旬に延期されたが、その間、マツダの技術陣はおそらくさらにSKYACTIV-Xを磨き上げることだろう。本当に期待して待とう。

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