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優れたスペース効率で自転車まで積めてしまう超人気カテゴリー “スーパーハイト”クラスの覇権を争う4モデルを徹底分析する!


寸法や排気量に「軽自動車」という規制がありながら、創意工夫で使い勝手の良い広々空間が自慢のスーパーハイトクラスは、常に軽の販売台数上位に位置する人気車種。モデルチェンジを経る度に性能・安全・利便性が高められるライバル4車種がファーストカーとしての使用に耐え得るのかを確かめた。




REPORT●青山尚暉(AOYAMA Naoki)


PHOTO●神村 聖(KAMIMURA Satoshi)/井上 誠(INOUE Makoto)




※本稿は2019年7月発売の「ダイハツ・タントのすべて」に掲載されたものを転載したものです。

“最も売れているクルマ”の座を虎視眈々と狙う4モデル

 今、日本で最も売れているクルマは何か? 実は、2019年1〜6月の新車販売台数ランキングで1位〜3位をスーパーハイト系の軽自動車3台が独占! スーパーハイト系軽自動車は、軽自動車の半数近くを占める超人気車種になっているのだ。




 そのスーパーハイト系軽自動車のパイオニアと言えるのが、03年にダイハツが送り出した初代タント。1725㎜もの全高、広大な室内空間による乗降性の良さなどから、当時ライバル不在で、大ヒットを記録している。




 そんな売れ筋ジャンルをライバルメーカーが黙って見ているはずもなく、08年にスズキ・パレット(現スペーシア)、11年にホンダN-BOX、14年に三菱eKスペース&日産デイズルークスが加わり、今ではN-BOX、スペーシア、タントの3台が、日本で最も売れているクルマのベスト3として君臨する(19年6月現在)。




 ここでは、四代目となった新型タントの登場を機に、N-BOX、スペーシア、デイズルークスの3台を迎え、スーパーハイト系ならではの特徴、使い勝手、先進安全支援機能、そして走行性能を、一家に一台のファーストカーにもなり得るカスタム系ターボ車同士で徹底比較したい。

DAIHATSU TANTO CUSTOM RS

運転席ロングスライドの追加で向上した使い勝手に加え、世界初の独自構造を持つデュアルモードCVTと、型式こそ同一ながら「ボルト&ナット以外は新設計」という新エンジンで、動的性能面でもトップクラスに躍り出た。



直列3気筒DOHCターボ/658㏄


最高出力:64㎰/6400rpm


最大トルク:10.2㎏m/3600rpm


車両本体価格:174万9600円


JC08モード燃費:25.2㎞/ℓ

ボディ・エンジン・CVTと全身くまなく刷新して登場

 まずは4台の概要から。四代目となる〝小は大を兼ねる”新型タントの注目点はまず、DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)なる新開発のプラットフォームだ。これはトヨタのTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼び名は似ているが、ダイハツオリジナルの新世代車体構造の総称。ダイハツの新プラットフォーム発表の場で、トヨタの豊田章男社長が「それ、DNGAですね!」と言ったのがきっかけで、そう呼ばれるようになったという!?




 同時に、エンジン、サスペンション、世界初のパワースプリット技術によるデュアルモードCVT、シートまで刷新。軽量高剛性ボディで最大約80㎏の軽量化を果たし、ボディの曲げ剛性は約30%UPしている。




 使い勝手面での進化も著しい。三代目同様、助手席側に、Bピラーを前後ドアに埋め込んだミラクルオープンドアを採用しつつ、新型では、そのミラクルオープンドアの使い勝手を最大限に生かす、世界初の運転席最大540㎜のロングスライドシート(Pレンジ時のみ。解除スイッチあり)を、助手席最大380㎜スライドともに採用。何と、ミラクルオープンドア側から運転席へ室内ウォークスルーが可能になっている。それは例えば、子どもを後席に乗せた後、親が車外に出ることなく運転席に移動できることを意味する。軽自動車初の、クルマに戻った際、スライドドアが自動でオープンするウエルカムオープン機能(要予約)も日常使いの中で便利そうだ。




 先進安全技術では、ステレオカメラを基本とする次世代スマートアシストを用意。ブレーキ制御付き前後誤発進抑制機能を含む15種類もの予防安全機能を装備。それには0-115㎞/hで作動する渋滞対応の全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKC(レーンキープコントロール)が含まれ、オプションのスマートクルーズパックとして用意するが、これは標準車の「Xターボ」、「カスタムRS」のターボモデルのみの設定となっている。

 対するN-BOXの二代目現行モデルは17年のデビュー。カスタムは軽自動車初のシーケンシャルウインカー、ターボモデルにはこれまた軽自動車初のスポーツエンジンさながらの電動ウエイストゲートを採用。先進安全支援機能ではACC(約35-115㎞/h。渋滞追従なし)、レーンキープを含むホンダセンシングを〝全モデル”に標準装備。助手席から後席の子どもをケアしやすい最大570㎜の助手席スーパースライドシートの採用も特徴的だ。




 スペーシアは全車、ISG(モーター機能付き発電機)とリチウムイオンバッテリーによるマイルドハイブリッドを採用。モーターの力でクリープ走行するほか、アイドリングストップ後の静かでスムーズな再発進を実現。微力ながらモーターアシストによる加速力向上(パワーモード)、燃費向上も期待できる。なお、ACC、レーンキープは未装備だ。




 日産デイズルークスは後席サーキュレーターの装備、日産コネクトナビによるオペレーターサービスがタントやN-BOXにない特徴だ(ACC未装備)。なお、ハイトワゴン版のデイズが今春新型になり、ルークスも近々、新型が登場予定だ。

HONDA N-BOX Custom G・EX TURBO Honda SENSING

モデル末期までクラストップの販売台数を記録した人気車種が、初のモデルチェンジでも開発の手を休めることなく全面刷新を敢行。現行型も引き続き軽No.1のセールスを維持し続けている。効率的な室内空間と先進安全装備が人気の要因。



直列3気筒DOHCターボ/658㏄


最高出力:64㎰/6000rpm


最大トルク:10.6㎏m/2600rpm


車両本体価格:194万9400円


JC08モード燃費:25.2㎞/ℓ

スーパーハイトの重要項目である乗降性と居住性は?

 ここからは、スーパーハイト系最大の選択ポイントとなる各車の乗降性、居住性などについて比較したい。




 まずは後席の乗降性を助手席側でチェック。全車ともにフロアへの段差のないステップの高さは、スペーシアの約345㎜が最も低く、新型タントを含む他車は360㎜前後。それでもごく低く、乗り降りのしやすさは抜群だ。スライドドア開口部の広さでは、高さ方向ではN-BOXとスペーシアが高く、幅方向は全車約600㎜と横並び。タントは大開口のミラクルオープンドアを採用しているが、助手席があるため、実際には大きく変わらない。




 ただし、乗り込む際の間口幅はさすがに新型タントが圧倒。N-BOXの最大約490㎜、スペーシアの最大約420㎜に対して、助手席を前端にスライドさせることで最大約860㎜もの間口幅になる!




 N-BOXは570㎜の助手席ロングスライド機構を前席セパレートシート仕様に設定し、助手席スライドドア側から運転席への移動が可能。新型タントは運転席540㎜、助手席380㎜の両席ロングスライドによって、前両席がよりゆったり座れる5対5分割になったベンチシートのみの設定ながら、助手席スライドドア側から運転席への移動もよりスムーズに行なえる足抜け空間約190㎜を確保。後席に子どもを乗せたあと、車外に出ることなく運転席に移動できるのは実に便利で、車道側に出ずに済む安全性も見逃せない。




 前席のロングスライドは、後席の子どもをケアしやすいのが利点だが、新型タントは親が運転席&助手席のどちらに乗っていてもケアがしやすい万能レイアウトと言える。




 運転席の掛け心地は新型タントとN-BOXが優位。タントはお尻がふんわり、じわりと沈み込み、体重で心地良いサポート性が得られ、背もたれも背中を優しくなぞるような包み込み感がある。N-BOXはクッションの厚み感が見事。スペーシアは座面、背もたれが平板で張りが固く、落ち着き感に欠ける印象だ。

 大空間だからこそ、コンパクトカーを圧倒する実用性が魅力の後席の居住性とシートの掛け心地に優れるのは新型タント、N-BOX、デイズルークスだ。タントは先代よりシート位置を高め、より椅子感覚の掛け心地に進化。他の2台も同様に自然な姿勢で着座できる。スペーシアは前席同様、クッションが平板で、姿勢が安定しにくい掛け心地である。




 後席頭上空間に関してはスーパーハイト系は比較する必要なし(全車250〜290㎜もある)。差が付くのは膝まわり空間と足引き性。膝まわり空間は身長172㎝の筆者のドラポジ背後でN-BOXの最大約450㎜(シートスライド位置最後端/以下同)を筆頭に、新型タントの約355㎜(テーブル部分除く)、スペーシア約340㎜、デイズルークス約330㎜。しかし超大型セダンで300㎜程度だから、全車、広過ぎるほど広いということだ。




 快適な着座の決め手が足引き性。座った時、足が引けないと姿勢が安定しにくく疲れる。その点、後席シート下に唯一燃料タンクを持たないN-BOXはシートスライドがどの位置でも足が引ける。新型タントを含む他の3車はシート下に燃料タンクがあり、シートを少し前に出さないと足が引けない。その点を踏まえた後席居住性の総合点ではシートの掛け心地の良さを含め、N-BOXと新型タントが優位となるだろう。




 ラゲッジの使い勝手はどうか。重い荷物の出し入れ性に関わるラゲッジフロア地上高が最も低いのはN-BOXの約480㎜。次にスペーシアの540㎜で、新型タントは約590㎜だが、ステーションワゴンの平均値約620㎜より低い。荷物の積載性に影響する奥行きは後席のスライド位置により、N-BOX約330〜540㎜、新型タント約260〜460㎜、スペーシア約310〜525㎜、デイズルークス約240〜480㎜。後席格納時の拡大ラゲッジスペースは全車、角度は付くものの、ほぼフラットに使える。ただし、デイズルークスのみフラット格納には2アクション必要だ。

SUZUKI SPACIA Custom HYBRID XS turbo

先代の、ライバルに対する弱点を克服するとともに、スズキの持つ最新の知見が盛り込まれブラッシュアップされたスペーシア。最重要項目である室内空間の拡大の他にも、リヤサスの形式を一新して走行性能も磨き上げられている。



直列3気筒DOHCターボ+モーター/658㏄


最高出力:64㎰/6000rpm[モーター:3.1㎰]


最大トルク:10.0㎏m/3000rpm[モーター:5.1㎏m]


車両本体価格:178万7400円


JC08モード燃費:25.6㎞/ℓ

走行性能については運動性能以外に上質感をも競う領域に

 さて、各車の走行性能について比較してみたい。新型タントの「カスタムRS」は今後、コンパクトカーにも使われる新プラットフォーム=DNGAはもちろん、エンジン、サスペンション、世界初のデュアルモードCVTなどを刷新。ターボエンジンは出足からスムーズで、トルクもきっちり出ているから気持ち良く、走りやすさは抜群だ。乗り心地も素晴らしい。大径15インチタイヤを履いていても、NAモデルよりフリクションを低減した高性能ダンパーを使っているため、硬めながらより上質で、極めてフラットな乗り心地を示す。それは前席はもちろん後席も同様。キツい段差もすっきりと乗り越えてくれるから終始、快適だ。




 ステアリングの操舵フィールはズバリ、クラス最上だ。しっとりとした上質なタッチを示し、直進、カーブともに安心感たっぷり。しかも、カーブでのロールは全車中最小限で、大袈裟に言えば、カーブを足早に曲がってもほぼ水平感覚。後輪の踏ん張りも見事で、路面に張りついているかのようなコーナリングを披露。この感覚には、前席のシート、サポート性の良さも関わっていると見た。




 エンジン、ロードノイズの遮断も文句なく、巡航状態なら車内は軽自動車らしからぬ静かさに包まれる。エンジンは6000rpmまで回しても耳障りなノイズとは無縁で、これならACCやレーンキープ機能と合わせ、長時間の高速走行も、ストレス最小限でこなせるに違いない。




 N-BOXのターボエンジンはパワー、トルク面ではクラス最上レベルと言っていいが、アクセルの踏み始めにゴロゴロした感触がペダル、フロアに伝わってくるのが難点。むしろNAエンジンの方が雑味なくスムーズに回る。乗り心地はストローク感あるスムーズライドが基本で、ターボ+14インチタイヤを組み合わせる標準系モデルより、15インチタイヤを履くカスタムターボが、硬めでも乗り心地は上質。カーブやレーンチェンジ時の姿勢変化は新型タントに比べて大きめだが、ステアリング操作に対して、VSAを用いて旋回をアシストし安定させる機能を備え、実際の安定感はハイレベル。スペーシアとともに、スピードコントロールがしやすくなり、下手にブレーキを踏むよりスムーズに減速できるパドルシフトを装備する。




 スペーシアのNA、14インチタイヤ装着車は、軽過ぎるパワーステアリングの設定もあり、いかにもご近所仕様だが、この軽量自慢のターボモデルになるとゆとりある動力性能や、低いエンジン回転数で走れるメリットを生かした静粛性の高さが魅力となる。ただ、乗り心地は新型タントやN-BOXと比べ、ドシリとした感覚が希薄。カーブでの姿勢変化はN-BOXほど大きくはないが、新型タントより大きめだ。カーブでの安定感は高いのに、シートのサポート不足で落ち着き感に欠けるのは残念。ブレーキの踏み始めの制動感が物足りないのも気になる点だ。とはいえ、微力ながらモーターアシストによるスムーズな加速性能はスペーシアならではの魅力となるだろう。

 デイズルークスはズバリ、ターボを選ぶべきスーパーハイト系モデルだ(NAはパワー&トルク不足)。ただ、15インチタイヤを履くハイウェイスターGターボでも基本設計が古く、ステアリングはセンター付近でスカスカ軽く、戻り方向で不自然な反応を示し、動力性能はターボでもギリギリ。安定性に不満はないが、カーブでのロールの大きさ、段差を乗り越えた時のショックの大きさなど、操縦性、乗り心地面で厳しい。兄弟車のデイズが新型となり、抜群の総合性能を誇るから、デイズルークスは近々登場の新型に期待したい。




 最後に4台の先進安全技術を比較すると、現時点では新型タントがリード。決め手は全車サイド&カーテンバッグ標準装備もさることながら、渋滞対応の全車速追従機能付きACC(ターボのみだが)&レーンキープ、前後踏み間違いサポートにブレーキ機能が用意されているところだ。




 こうして新型タント「カスタムRS」を軸に各カスタム系ターボモデルを見ていくと、なるほど動力性能的に一家に一台のファーストカーになり得る実力を備えている。コンパクトカーと比べても、より以上の実用性を備え、さらにターボエンジンは高速走行を静かに余裕でこなす性能を持ちつつ、NAモデルと実燃費はそう変わらず、価格差も意外に小さい。その中で新型タント「カスタムRS」は、使い勝手、大きく進化した基本性能、先進安全技術の充実ぶりがひときわ輝いて見える。軽自動車のターボモデルが、渋滞も多い高速走行をする機会が多い人向けだとすれば、現時点で渋滞追従機能付きのACCをクラスで唯一用意する新型タント 「カスタムRS」が、最適の選択肢ではないだろうか。

NISSAN DAYZ ROOX Highway STAR G TURBO

室内の質感の高さやハイセンスなボディカラーが魅力だが、最もデビューの早いデイズルークスは動力性能や先進装備面で引けを取る感は否めない。ハイトワゴンの新型デイズの評判が良いだけに、ルークスも新型への期待が高まる。



直列3気筒DOHCターボ/659㏄


最高出力:64㎰/6000rpm


最大トルク:10.0㎏m/3000rpm


車両本体価格:176万5800円


JC08モード燃費:20.4㎞/ℓ
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