クルマの運動性能や乗り心地を左右する要素のひとつに重心がある。重心とロールセンターの高さが、ロール剛性に大きく影響し、ロールやピッチング、バウンシングを抑え込むためにサスペンションのスプリングやダンパー、スタビライザーのスペックを煮詰めていくことになる。そんなクルマの重心を計測する画期的技術を見つけた。

 これまで重心の測定は振り子式、加振式、実験モード解析という方法で行なわれてきた。



 対象物を吊り下げ、あるいはばねによって支持する振り子式では、慣性モーメントのすべての成分を計測するために、何度も設置し直して計測する必要があり、対象物が大きく重い場合は作業性が悪く、危険をともなう場合もある。



 加振式は、強力なアクチュエーターと高精度なセンサーが必要であり、フリクションにより精度を追求することが難しいという問題があった。実験モード解析はシンプルな設備で計測が可能だが、ハンマリングの仕方や測定データのアナライズによって計測結果にバラつきが出るため、測定者の技術力や経験が精度に大きく影響するという問題がある。



 レゾニックは東京工業大学発のベンチャーで、独自のレゾニック技術により正確に剛体の重心位置を測定できる測定機械を開発した企業。これは計測する剛体をコイルばねや空気ベアリングで浮かせるように支え、低周波の振動を加えることにより5自由度もしくは6自由度の固有振動数を測定し、そこから質量、重心の位置、慣性モーメントといったすべての慣性特性を高精度に同定できるシステム。固定ジグとプラットフォームの慣性特性を差し引くため、計測は2度必要だが、再配置の必要もなく、精度の高い測定が短時間かつ安全に行なえるのが強みだ。



 すでに国内海外の自動車メーカー、レーシングチームに納入や計測サービスを行なっているらしい。



 車体全体の重心や慣性モーメントを測るだけでなく、パワーユニットの重心や慣性モーメントを測定することでエンジンマウントの最適化を図ることにも役立てられているそうだ。



 設計データからある程度計算で求めることは出来ても、複雑な構造で大きなクルマの重心を正確に知らなければ、脚周りの設計やセッティングは手探り状態が続くことになる。CAEでの解析を行なうにも正確なデータがなければ、精度の高い結果は求められない。



 より精度の高い開発で開発期間の短縮を図るには、こうした革新的な計測技術の導入が重要になってくるだろう。

RESONIC 2000Fは、空気で支えることでフリクションを低減し、6自由度の振動を与えることにより精度の高い計測ができるハイエンド機種。

実際に計測を行なうと、上のグラフがRESONIC 2000Fで加振している波形で、下に各自由度の固有振動数がピークとなって現れる。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 フォルクスワーゲンやレーシングチームでも採用