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新型RAV4 ライバルの新型CR-Vに6.6倍の差を付けた要因を解説


一般社団法人日本自動車販売協会連合会(自販連)が公表する乗用車ブランド通称名別順位によると、新型RAV4は6817台を登録し、総合7位にランキングされた。別表でもお判りのとおり、総合ランキングのトップ3はプリウス、ノート、アクアと、つねにランキングトップを争う量販のエコカーが占める。SUVブームとは言うものの、販売ランキングでトップ10ににまで食い込むのはRAV4一台のみなのだ。最大のライバルと目されるホンダCR-Vは、登録台数1035台で40位に沈む。その原因を、いくつかの角度から検証してみた。

日本自動車販売協会連合会発表のリストより10位までを抜粋。

SUVだけでランキングを整理すると、7位のRAV4以下、トップ30に名を連ねるのは、15位ヴェゼル、16位C-HR、23位ハリアー、29位フォレスターの4機種のみ。RAV4の圧勝ぶりが際立つ。ではまずここで、なぜRAV4とCR-Vを比較の対象に上げるのか、両車について簡単におさらいしてみよう。

1.ヒストリー

初代RAV4(1994)

初代CR-V(1995)

RAV4は1994年に初代が登場、乗用車のコンポーネンツを流用しながらオフロードのテイストと走破性が与えられたコンパクトなRVとして登場し、とくに北米市場で大ヒットを記録した。その後、代を重ねる度に北米市場の重要度が増し、一方の日本では、ついに販売を終了。四代目のRAV4は日本では一度も日の目を見なかった。ところが2019年4月、あらゆるセグメントにおけるSUVブームの波にも押されるカタチで、五世代目のRAV4が日本市場復活を遂げたのだ。

CR-Vは、1995年にシビックのコンポーネンツを使用して登場。国内はもとより海外でもたいへんな人気を獲得する。三代目より北米志向からやや大型化。四代目は日本国内にも投入されたものの、モデル途中で販売を終了した。ところが五世代目がデビューすると、これを日本市場向けに仕様を吟味したうえで、RAV4に先んじて2018年8月、日本市場に復活を果たした。

 初代デビューから北米での大ヒット、日本市場撤退および復活まで。こうしてみてみるとRAV4とCR-Vの辿ってきた道筋は完全に重なり、切っても切れない間柄にあることがよくわかるのだ。

2.ボディサイズ

新型RAV4

新型CR−V

 新型RAV4の3サイズ(全長×全幅×全高)は4610×1865×1690mm(Adventure)。対するCR−Vは4605×1855×1690mm(4WD)。スタイリングの印象はまったく似ていないが、数値を見ると驚くほどディメンションが近いのだ。全長も全幅も全高もすべて、0mm〜10mmしか違わない。

 先にデビューしたのはCR-Vで、初見での印象からすでに、フロントから見たときのボリューム感が際立っていた。実際のボディサイズから想像する以上に、CR-Vは堂々と、立派な体格に見えるのだ。これは、SUVとしては重要な要素だ。もうひとつ美点を挙げると、CR-Vは、4605mmの全長が信じられないほど、とくに後席に座ったときの広々感が格別だ。3列目仕様の実現にも、この絶対的な空間の広さが奏功している。

 RAV4のスタイリングのアプローチはCR-Vとまったく異なる。のだが、それでも共通するのは、こちらも寸法以上に大きく堂々と立派に見えること。とくに、フロントまわりは、北米向けタコマやタンドラにも共通する骨太で力強い意匠が採用されており、“強い顔”をはじめとする存在感の高さは競合車の中でも際立っている。

3.キャラクター

CR-Vは、2グレードのうち上級グレードでは本革シートも標準装備。木目パネルも相まって室内は上級サルーンのような雰囲気に包まれる。ハイブリッド車はシフトノブがなく、シフト操作はスイッチで行なう。

一方のRAV4は、CR-Vと比べカジュアルな印象のインテリアデザインを採用。シフトノブの横には、4WDモードのセレクトスイッチも。

 この点では、両車でまったく正反対のアプローチを採っているのが興味深い。CR-Vは徹底的に都会志向だ。もともとホンダのSUVはオフロード色が薄いが、新型CR-Vもそれに倣って都会的洗練を目指す。これは室内も同様で、上品に木目パネルを貼ったインパネや、明るいブラウンの内装色を一部に設定することからも、CR-Vは泥汚れを連想させない。同クラスの競合ライバルSUVの中で、オフロード指向向けのグレードや仕様をまったく用意しないのは、このCR-VとマツダCX-5くらいだろう。

 一方のRAV4は、CR-Vとは正反対に分かりやすいオフロードテイストやラギッド感を強調してきた。直線基調で無骨さも表現したエクステリアからも、3種類も用意された四輪駆動システムからも、四駆のスバルや三菱のお株まで奪うのか、というほどオフロード色を印象付ける。これには、CH-Rやハリアーの間に挟まれ、RAV4自体にも明確な個性が必須との思いもあっただろう。それ以上に印象的なのは、チーフエンジニアの言葉だ。年間世界販売台数83万台(2018年)と、SUV販売台数ナンバーワンの地位にありながら、「SUVらしくないSUVがこれ以上増えてしまったら、SUVそのものの魅力や寿命すら縮める」と、相当な危機感を感じていたことを否定しないのだ。

4.パフォーマンス

 CR-Vは、1.5Lターボと、i-MMDハイブリッドでその方向性は明確。1.5Lターボはステップワゴンでも実績があり、1.5Lとはとても思えないパフォーマンスで、CR-Vを十分軽快に走らせる。対するハイブリッドは、より重厚かつ速く、上質感や高級感に長けている。ガソリン仕様にのみだが3列シート車を選べるのは、RAV4にない利点だ。

 対するRAV4は、2.0L NAと、2.5Lハイブリッドの二本立て。2.0L NAでは物足りないのでは? と考えがちだが、特別な速さを求めなければ、NAでも意外なほど良く走る。ハイブリッドはフィーリングも良くなっており、パフォーマンスと高燃費を実現する。プリウスやCH-Rとは異なり、カムリ、あるいはレクサスESとのベースを共にするGA-Kプラットフォームが採用されており、シャシーの余裕という面でも申し分ない。

5.プライス

RAV4のプライスは 、260万8200円〜381万7800円と幅広く設定。ラギッドなスタイリングと専用19インチホイールも魅力のメイン訴求グレード「Adventure」で313万7400円と、300万円+αに収まるのが嬉しい。

 一方のCR-Vは全4グレードと構成がシンプルで、価格帯は323万280円〜436万1040円。単純に価格だけを比較するとCR-Vの方がはるかに高価だ。ただし、価格比較には注意が必要だ。CR−Vは、ロワグレードにも上級グレードと同デザインの18インチアルミが標準装備され、まず、グレードによる見た目の差異がまったくない。また、通常ではオプション扱いのナビゲーションシステムまでが全車標準で付いてくる。つまり、CR-Vのロワグレードは、他車で言う上級グレードなのだ。さらにそのCR-Vで上級グレードを選択するがと、サンルーフや本革シートまで標準装備で付いてくる。これは、RAV4を含むライバル他車であれば、オプションをてんこ盛りにした状態である。

6.結論

 CR-Vには、価格的にも内容的にも、エントリーグレードがまったく存在しないのだ。そのことがCR-Vの価格を押し上げている。とはいえ、スターティングプライスを下げたほうが売りやすいことは当のホンダも百も承知。それでもなおこうしたプライシングを採るということは、安く売りたくてもそうはできない事情があって、その結果、価格が高くなる理由付けとして、潤沢な装備を付けているとも考えられる。その後に登場したRAV4は、盤石の商品性に加えて、CR-Vを横目に見たはずの価格面でも、大きな優位性を発揮したとも受け取れる。そう考えると、RAV4とCR-Vの差は、この後ますます開いてしまうのではないだろうか。

 洗練のスタイリングに広い室内、ハイブリッドの上級上質な乗り味など、CR-Vもハードウエアでは決して負けていないだけに、こうした現状が残念でもある。RAV4には、誰にもお勧めできる万能性があるということが報告できるとともに、CR−Vの、価格戦略も含めた巻き返しに大いに期待したいところだ。

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