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ターボとCVTの組み合わせは、実は好マッチング!?——日産ジュークのエンジニアに聞く


日産ジュークが搭載するMR16DDTは、日産流ダウンサイジング直噴ターボエンジンだ。組み合わせるトランスミッションは、CVT。ターボラグのうえにさらに“CVTラグ”が乗ってしまうのではないか?という取材陣の問いに日産のエンジニアは、意外な答えを用意していた。


TEXT:世良耕太(Kota SERA)

「パワーがある」とか「ない」と表現している内容がその実トルクを指したりしているのと同様、「ターボラグ」と称している現象が実際は、ターボの応答遅れではなく無過給状態にあるエンジンのレスポンスを指している場合がある。




「停車から(アクセルペダルを)踏んで1秒以内の領域で言えば、ターボはほとんど効いていません。いくら低イナーシャのタービンを採用していようと1秒以内には反応できません。その領域は、クルマの重量とギヤ比と排気量で決まります」




 そう説明するのは、変速ショックを含めた運転性性能開発を行なう、日産自動車の栗城洋氏だ。




「無過給のときトルクがいくら出ているのか(=排気量がいくつか?)。乗っているクルマの車重がいくつで、1速のギヤ比はいくつなのか。1秒以内のレスポンスはそこで決まります。その後、1秒から2秒あたりまでにGのマックス点が出ますが、そこまでの道筋を作るのはターボです」




 ベースの排気量が大きければ、「踏んでから1秒」の間に大きな力を返してくれるだろうし、排気量が同じなら、車重が軽い方が有利だ。また、そのときエンジン回転を高く保っていられるギヤ比であれば、アクセルペダルを踏み込んだ際の反応は鋭くなる。




「空気には重さがあるし、慣性もあります。残留ガスが抜けきって新気が入り、トルクが出てくる。アクセルペダルを踏んで効果が出てくるのは、そこからです。日産GT-Rは排気量が3.8ℓあるので、過給しなくてもある程度の反応は出る。人間は認知、判断、行動を行ないますが、認知してから判断に至るまでに要する時間は約300ミリ秒だと言われています。その時にある程度のGを発生させることができれば、ドライバーは『反応したな』と感じるのでレスポンスが悪いとは感じません。人が感じられるGの下限は0.02G程度ですから、0.03~0.04Gも出してあげれば『あ、出ている』と感じてもらえます。そこから先はターボです」

吸排気双方に可変バルブタイミング機構を装備。後期型はオーバーラップを設けて吸気側から新気を積極的に押し込んで残留ガスを強制的に排除するスカベンジング(掃気)を行っている。ただし、空気に慣性が働くため、掃気による効果でトルクが向上するまでに一定の時間を要する。後期型はミラーサイクルと始動性の両立を目指し、吸気側VVTに中間ロックを採用。世界初のガソリン向けロープレッシャーEGRも採用した。

 アクセルペダルを踏んでから1秒以内の領域では、小さくてもいいのでGを感じさせることが重要。そこから先は加減が大切になる。反応がなかなかこなければ、ドライバーはもっと強くペダルを踏む。そうすると、遅れてドカンと力が出てくるので、慌ててペダルを戻す。その繰り返しで、ペダルの動きがビジーになって実用燃費面にネガティブな影響が出る。反対に、最初の1秒と、その後に続く1秒の間にいい流れを作ることができれば、ドライバーはアクセルペダルを不用意に強く踏み込むこともなく、快適で、燃費のいい運転につながる。

栗城 洋氏:日産自動車株式会社 パワートレイン技術開発本部 パワートレイン性能開発部 運転性能計画・開発グループ 主管 (兼)燃費動力・排気性能計画・開発グループ 主管(肩書きは取材当時のもの)

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