軽自動車の価値を認め、その価値観をさらに高めるために、「技術の日産」のプライドを持って投入されたメカニズムは、登録車に用いられるものと遜色のない、現在日産が持ち得る最新のものだ。これらのメカニズムにより、新型デイズの安全性や動的質感はファーストカーとして満足のゆく品質へと、大いに高まった。



図版解説●安藤 眞(ANDO Makoto)/編集部

広く快適な室内空間を実現したパッケージ



広々とした快適な室内を実現するために、安全を確保しつつエンジンルームを縮小しホイールベースを延長。フーガ並みの後席の広さを実現。荷室もリヤサス形式の見直しにより拡大された。

長時間の着座でも疲れにくい独自形状のシート

上級セダンのティアナやスカイラインなどにも採用されている、座り疲れを軽減する「ゼログラビティシート」を軽自動車に初採用。中折れ形状の背もたれパッドを採用することで上体を広い範囲で支持し、長時間着座時の疲れを軽減する。

扱いやすいシートリフター

座面の高さ調整を行なうシートリフター操作部は握力と手首の力を要するダイヤル式から、主に腕の力で操作できるレバー式へと変更。女性ドライバーへの優しい配慮と言える。

操作性の高いスライド調整



シートスライド用のハンドルにも使いやすくする工夫が施された。先代に比べシート前面と平行になる操作部を10㎝以上延長し、手が届きやすく操作しやすい形状とされている。

車両感覚をつかみやすく

誰もが運転しやすいクルマを追求し、ピラーの位置を前席に近づけることで運転席からの見開き角度を拡大。また、ボンネットの見切りからバンパー前端までの距離を短縮し、車両感覚をつかみやすく、取り回し性を向上。

力を入れずにできるハンドル位置調整

ステアリングのチルト調整機構には、操作に必要な力を軽減するため操作レバーの形状が改善された。そのほか、コラムシャフトを保持するスプリングが位置調整を容易にする。

日常生活にマッチする拡大されたラゲッジ容量



日常生活で満足できる快適な広さを追求。荷室長を先代よりも135㎜アップし、灯油タンク2個または2ℓペットボトル6本入りのダンボール箱を3個積載可能。また新型サスの恩恵でラゲッジアンダーボックスを備え、A型ベビーカーも積みこめる(ダンボール箱の高さは310㎜、幅270㎜、奥行き220㎜)。

自然な感覚で正確な操作ができる設計

アクセルペダルの踏み込み角度を変更し、小柄な女性ドライバーでも踏みやすいペダルを実現。また、シフトレバーも自然な感覚で操作できるよう改善し、操作に必要な力を低減した。

使い方いろいろ、便利なボックス

センタークラスターの下部には、容量の大きな収納スペースを用意。ゴミ箱としてちょうど良い大きさで、花粉症患者には「待望の装備」と言えるのではないか。

デッドスペースを活用して使い勝手を高めるアイデア装備

助手席ドアには、使用頻度の少ない車検証や車両の取り扱い説明書などを収納できるドアポケットを装備。これにより、グローブボックスのスペースをフルに活用できることとなった。

高張力鋼板を用いつつ手堅く設計された新ボディ

ボディ構造は軽量かつ高強度な材料を主要部位に採用し、骨格構造を見直すことで強度と剛性を両立させた。高張力鋼板の使用率は59%に達し、冷間加工可能1180MPa級までを使用している。

すべての乗員を保護するエアバッグ

後席乗員の頭部までカバーするサイドカーテンエアバッグを、全グレードに標準装備する。側方のクラッシュストロークが小さく、側面衝突事故の確率が高い市街地をメインに走る軽自動車にこそ、必要な装備だ。

各部に徹底された静粛対策

従来型はエンジンコンパートメント内側に吸音材を使用していなかったが、新型はボンネット裏とダッシュパネル側に吸音材を配置。室内側吸音材の面積拡大&厚みアップなども行ない、エンジンからの透過音を抑えている。

少ないスペースで衝撃を効率良く吸収する追加メンバー

フロントサイドメンバーの下には、平行する形でアドオンメンバーを配置する。前面衝突時のロードパスを1系統、増やすことで、衝突安全性能を高めるのが目的だが、フロントサスの支持剛性向上にも大きな効果を発揮する。

アクセルを踏み込んでも唸らない静かなエンジン

シリンダーブロックやトランスミッションケースは、平面を持たせないようにすることで放射音を低減。クランクシャフトもウェブ形状を最適化して剛性チューニングを行ない、構造共振を起こさないよう設計。音質も不協和音が生じないよう、次数成分にも気を配っている。

最新トレンドの高タンブルエンジン

新興国向けコンパクトカー用に開発されたBR08型をベースに、ボア径を縮小して開発されたのが、BR06 系エンジン。ロングストローク化や高タンブルポートなど、現代の技術トレンドを押さえた設計が行なわれている。

性能向上を果たしたSハイブリッド

セレナにも採用されているSハイブリッドシステムをさらに進化させ、2つの鉛バッテリーのひとつをリチウムイオンバッテリーに変更。エコモーターは小型化しながら出力が向上されている。

トルクの向上で運転しやすいエンジン特性

ロングストローク化によって低中速トルクを大幅に増大させ、発進加速や合流時の加速性能を向上。特にターボエンジンは、ファーストカーとしての使用に耐える動力性能を持つ。

燃料の微粒化で燃焼の安定と燃料噴射量の低減を実現

今日ではデュアルインジェクターを採用するメーカーが増えているが、量産車としては日産が10年に採用したHR15DE型が世界初。直噴では燃料の壁面付着が起こりやすいスモールボアのエンジンには適した方法だ。

水冷4層EGRクーラーでポンピングロスを低減

吸気損失の低減には、自然吸気仕様に冷却EGR(排ガスの一部を吸気に戻す技術)も採用する。冷却コアは軽自動車としては贅沢な4層式を採用しており、運転領域によっては、循環ガス温度をほぼ冷却水同等まで下げることができるとのこと。デュアルインジェクターや高タンブルポートによる燃焼安定の効果もあり、最大EGR率は従来型の2倍以上に増やしているそうだ。

エンジン各部のメカニカルフリクションを低減

日産得意の水素フリーDLCコートに加え、他エンジンでも採用しているビーハイブ型バルブスプリングの採用、超低粘度オイルの採用、ジャーナル部の鏡面研磨などで, 機械的なフリクションを約20%低減している。

爽快な加速感を演出するステップ変速

高速道路進入時の加速などでアクセルを強く踏み込んだ際にステップ変速が行なわれ、エンジン音の変化に合わせ車速が上昇し、爽快な走りを演出。日常的な低速域では滑らかな走りを披露する。

冷却性を高めるピストン形状

ピストンの裏にはヒートシンク状のリブを設け、ここにオイルを噴射して冷却を促進する。クーリングチャンネルを設けるには塩中子で鋳抜く必要があり、コストが高くなるため、費用対効果を考えてこの方法を採用した。

先代からの改良ポイントを盛り込んだ新CVT

軽自動車のトルク容量に特化したCVTを新開発。エンジンルームの縮小に合わせて前後長を短縮しているほか、シフトの位置決め機構にニードルローラーベアリングを採用するなど、操作系の質感にもこだわった仕様だ。

大径ダンパーを採用したフロントサスペンション

フロントサスは形式を踏襲しながら、各要素部品を新設計。ダンパーは内筒径を拡大したのに加え、ディスクバルブにはプリロード付きを採用する。ロワリンクのボディ側取り付けブッシュは、前後ともパンケーキタイプだ。

荷室の拡大にも貢献するリヤサスペンション

2WDモデルのリヤサスは、3リンク式からトーションビーム式へと変更。大きく上下するアクスルチューブを無くし、フロアを下げてラゲッジスペースの拡大を図った。リヤデフが必須の4WDは、3リンク式を踏襲する。

低床化と軽量化を実現する新構造

「V」の字断面のトーションビームを採用するノートに対し、上面をフラットにした台形ビームとしてスペース効率を向上。横入力に対しても、デイズはブラケットに倒れ方向の力が掛からない構造としている。

第三世代ハブの採用でフリクションを低減

規格品のベアリングを圧入していた従来型に対し、ハブとベアリングを一体化して専用設計したユニット型(第三世代)を採用。圧入によるフリクションの増大がなく、ベアリングの支持スパンも広く取ることができる。

高性能ブラシレスモーターで安定性と正確性が向上

電動パワーステアリングは標準的なコラムアシスト式だが、モーターは主に中上級車に使われるブラシレス方式。プロパイロットのステアリング制御に対応するためのものだが、プロパイロットレス車も共通仕様となる。

乗り心地と姿勢制御に積極活用

リヤのバンプラバーはゴムより柔らかいウレタン製のものを採用。バッファクリアランスを小さめに設定して早期に当てに行き、アシストスプリングとして作用させることによって、ロール姿勢をコントロールする。

新設計ゆえ可能になった専用レイアウト

エンジンマウントのレイアウトは、慣性主軸で吊るペンデュラム方式。これにマウントの弾性主軸も合わせることで、マウントへの余分な入力を抑制している。特に右マウントには、液体封入式を採用。主軸合わせで余分な方向の入力がなくなったため、乗り心地に特化した高減衰なチューニングが可能となり、振動遮断性を高めながら、突起乗り越し時のブルブル振動も低減している。

新たな構造で衝突機構を小型化

ブレーキペダルはアクセルペダルとブラケットを共用化。前面衝突時に脚部傷害を低減するための脱落構造を、ガイドに沿わせる方式からリベットを破断させる方式に変更し、300〜400gの軽量化を図った。

出力向上と消音を両立

排気系も新設計。パッケージングの都合でメインマフラーがエキゾースト系のほぼ中央に配置されたため、マフラーを挟んだ前後の長さが近くなり、75Hz付近に気柱共鳴のピークが来てしまったが、途中にチャンバーを挟むことでこれを解消。排圧を上げることなく、排気音の低減を行なっている。

プロパイロットで高速道路の二大ストレスを軽減

自動で前走者との車間距離をキープする全車速対応のオートクルーズや、走行車線内を走行するようにステアリングサポートを行なうプロパイロットを搭載。長時間の巡航走行や渋滞時のノロノロ走行のストレスを低減してくれる。

万が一の際にも安心なSOSコール

ルームランプ部に設置されたSOSボタンを押すか、エアバッグが作動した場合、専門オペレーターがドライバーに呼び掛け、状況に応じて警察・消防に通報。呼び掛けに反応がない場合は傷害レベルによりドクターヘリの派遣も判断し、救助を要請する。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 日産デイズのメカニズムを徹底解説!