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マツダ・ロードスターRFが展開する3つのグレード、何で選びますか? 価格・装備・仕様


一般的に車のグレードは価格の上昇に応じて装備や機能が右肩上がりに豪華になる。しかし、ロードスターRFではベースの「S」を基準に、シックな「VS」 とスポーティな「RS」とグレードごとに全く異なるテイストを展開。さて、アナタの好みは?ここでは、ロードスターRF「S」「RS」「VS」グレードの違いを比較していく。




REPORT●渡辺陽一郎(Watanabe Yoichiro)




※本記事は2017年1月に取材したもので、登場する車両は2018年夏のマイナーチェンジ前のモデルです。

ロードスター「ソフトトップ」「RF」 ルーフの差額は約31万円

ベースとなったロードスターは、ソフトトップを備えたボディに1.5ℓ直列4気筒エンジンを搭載するが、ロードスターRFには電動開閉式ハードトップが装着されてエンジンは2.0ℓに拡大する。国内仕様のRFで1.5ℓは選べず、ソフトトップに2.0ℓは用意されない。




ロードスターRFのグレードは、ベーシックな 「S」、ビルシュタイン製ダンパーなどを装着したスポーティな「RS」、ナッパレザーのシート表皮などを採用したラグジュアリーな「VS」の3種類を展開。




トランスミッションは6速MTと6速ATを用意するが、「RS」は6速MTのみだ。また「S」と「RS」 はソフトトップにも用意されるが、「VS」はRF専用グレードだ。RFの価格は下に示した通りで、「RS」は373万6800円。ソフトトップの「RS」(319万6800円)に比べて54万円高い。




ただしロードスターRFでは、ソフトトップの「RS」に8万6400円でオプション設定するi-ELOOPとアイドリングストップが全グレードに装着される。これを加味すると差額は45万3600円に縮まる。さらにアルミホイールのサイズは、ソフトトップは16インチだがRFは17インチに拡大した。3連メーターには、ハードトップの開閉状態を示すTFTカラー液晶インフォメーションディスプレイも備わる。




こういった装備の違いも補正すると、実質的な差額は約41万円だ。この金額が電動開閉式ハードトップと、排気量500㏄アップの対価だ。排気量の価格換算は「100㏄当たり2万円」が相場だから、500㏄なら10万円に相当する。この金額を実質差額の41万円から差し引いた31万円が、電動開閉式ハードトップの換算額と考えれば良い。




価格の割安感は、外観の違いも含めてユーザーの好みに左右される。ロードスターのようなスポーツカーは、居住性や積載性が重視される実用指向の車種と異なり、好みの味を求めて選ばれる。31万円という電動開閉式ハードトップの換算額も、好みに合うユーザーには妥当な範囲に収まると思う。




オプションパーツにも注目したい。ロードスターRFの「RS」にはソフトトップでは選べないブレンボ製フロントブレーキユニット、BBS製鍛造アルミホイールなどのセットオプションが32万4000円で用意される。また「VS」にはハードトップをピアノブラックに塗装した2トーンルーフを設定。これらも、ソフトトップとは違うRFの価値になる。



■ロードスター(ソフトトップ車/1.5ℓ)の車種体系と価格

グレードトランスミッション車両本体価格
S6速MT249万4800円
S Special Package6速MT

6速AT
270万円

280万8000円
S Leather Package6速MT

6速AT
303万4800円

314万2800円
RS6速MT319万6800円

《ロードスターRFの車種体系と価格》

《グレードによる装備の違い》

■ソフトトップのロードスターは4種類(※)

(※)モータースポーツベースグレード「NR-A」を除く。

ロードスター S


シリーズ中で最もリーズナブルな仕様。車両重量は990㎏と唯一1000㎏を下回る。その味わいは初代ロードスターを彷彿させる!?



ロードスター S スペシャルパッケージ


徹底的な軽量化を行なった「S」よりも車重は増えるが、マツダ コネクトなど機能が充実。なお、安全装備はオプション扱いとなる。



ロードスター S レザーパッケージ


機能も安全性も一式そろうほか、Boseサウンドシステムやシートヒーター付きレザーシートなど、ワンランク上の質感を備える。



ロードスター RS


「S Leather Package」をベースに走行性能を強化。大径ブレーキやビルシュタイン製ダンパーのほか、RECARO製シートも備わる。

《メーカーオプション&ボディカラー》

メーカーオプション装備対象グレード価格
Brembo製ベンチレーテッドディスク&Brembo製対向4ピストンキャリパー+205/45R17 BBS製鍛造アルミホイール(ブラックメタリック塗装)「RS」32万4000円
セーフティパッケージ「S」10万8000円
Boseサウンドシステム+9スピーカー「S」7万5600円
2トーンルーフ(ピアノブラック)VS5万4000円
CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー「S」3万2400円

■ボディカラー

マシーングレープレミアムメタリック※1
ソウルレッドプレミアムメタリック※1


ブルーリフレックスマイカ
セラミックメタリック


ジェットブラックマイカ
クリスタルホワイトパールマイカ※2


※1は5万4000円高。※2は3万2400円高。



■セーフティパッケージ

LEDヘッドライトは標準装備。舵角と車速に応じて照射角が変わり、夜間の視界確保に貢献する。30㎞/h以上ではハイビームの切り替えも自動でアシスト。

15㎞/h以上で走行中に、後側方に迫る車両の存在を検知し、サイドミラーにアラートを表示。駐車場から後退出庫する際も接近車両をドライバーに警告。

フロントガラスのカメラで車線を認識し、約40㎞/h以上での走行中に車線逸脱を察知すると、警報音でドライバーに注意を喚起。スイッチでオフにできる。

ロードスターRF S/RS/VSグレードのエクステリア

価格はもちろん、味わいまでいずれの仕様も満足度は高い




ロードスターRFには、ベーシックな「S」、スポーティな「RS」、ラグジュアリー指向の「VS」が用意される。ここでは「S」を基準に「RS」と「VS」を比較していこう。




まず「RS」は、「S」の6速MTより49万6800円高い。「RS」に装着される装備の内、「S」にオプション設定されるのは、ブラインド・スポット・モニタリングなどを含んだセーフティパッケージ(10万8000円)、Boseサウンドシステム(7万5600円)、CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(3万2400円)、吸気音を躍動的に響かせるインダクションサウンドエンハンサー(ディーラーオプションで1万2096円)。さらに2万円相当のシートヒーターも加わる。




これらを合計すると24万8096円だ。この金額を49万6800円の価格差から差し引いた24万8704円が、ビルシュタイン製ダンパー、フロントサスタワーバー、アルカンターラ&ナッパレザーを使ったレカロ製シートの対価と考えられる。この換算額はソフトトップの「RS」と同等だ。




レカロ製シートはアルトワークス、先代スイフトスポーツ、コペンの一部グレードなどにも採用され、2人分なら10万円相当の代物だが「RS」のシート表皮はアルカンターラ&ナッパレザーだから約13万円に換算される。ビルシュタイン製ダンパーが12万円 、フロントサスタワーバーが2万円とすれば、合計27万円だから価格上昇と追加装備のバランスは妥当だ。ちなみにソフトトップの「RS」は乗り心地が硬めだが、ロードスターRFは快適で走行安定性も良い。




ロードスターRFのボディは車体後部の剛性が高く、旋回時の突っ張り感を抑えることも視野に入れ、足まわりを柔軟な設定にしたことなどが奏効した。ロードスターRFの「RS」は選ぶ価値の高いグレードだ。




一方、シリーズ初の設定となる「VS」の価格は「S」よりも33万4800円アップする。セーフティパッケージ、Boseサウンドシステム、CD/DVDプレーヤー+地上デジ タルTVチューナー、シートヒーターなど、追加装備の総額は23万6000円になる。価格差は33万4800円だから、差額の約10万円がナッパレザーシートやオーバーンのインテリアの換算額だ。レザーシートに魅力を感じるなら、選ぶ価値がある。




逆に価格を抑えるなら、「S」(324万円/6速MT)に、セーフティパッケージ、CD/DVDプレー ヤー+地上デジタルTVチューナー、マツダ コネクトにカーナビ機能を加えるナビゲーション用SDカードプラス(4万8600円)を加える。総額は342万9000円だ。




また「S」と「VS」の場合、6速MTの価格は6速ATに比べて2万1600円安い。しかもMTにはトルクセンシング式スーパーLSD、軽量フライホイール、ボディ剛性を高めるトンネルブレースバーも装着した。今のマツダ車ではMTとATの価格を同一にする車種が増えたが、ロードスターでは、装備の違いを含めると6速MTが約10万円割安だ。

ロードスターRF Sグレード

ソフトトップのロードスターでは、「S」は最もリーズナブルな仕様だが、装備の簡略化で得た軽さがもたらす軽快な走りが持ち味でもあった。RFの「S」も価格こそ最も安いが、車両重量は1100㎏と他グレードと変わらない。ただし、ロードスターRFのラインナップは「VS」と「RS」とも狙い所が明確で、「S」は唯一プレーンな仕様であり、自分好みの味をつくり込むには最適。ちなみに、安全装備はオプション扱いだが「VS」と「RS」同等のものを装着できる。

ロードスターRF RSグレード

ソフトトップのロードスターにも設定がある走りの仕様が「RS」だ。ビルシュタイン製ダンパーやフロントサスタワーバーの採用に加えて、オプションでホイールはBBS製鍛造アルミとなり、またBrembo製ベンチレーテッドディスクと対向4ピストンキャリパーも装着できる。ホイールから垣間見えるレッドのキャリパーをはじめ、見た目の違いは3種類の中ではっきり表れる。また、ドアミラーカバーがピアノブラックとなる点も異なる。

ロードスターRF VSグレード

「S」よりも33万4800円高く、また「RS」よりも若干安価なことから中間グレードに見えるが、「RS」とは方向性が明確に異なり、「VS」は優雅な仕立てが特徴となる。ルックスでは「S」と大差はないが、オプションで開口部をピアノブラックとする2トーンルーフを設定。Aピラーからリヤルーフへ続くアーチを強調することでルーフの開閉を問わずにオープンカーの放つエレガントな雰囲気を主張する。

■エンジンは全車共通

日本で販売されるロードスターのエンジンはこれまで1.5ℓ直列4気筒のみだったが、RFには北米向けに設定される2.0ℓ直列4気筒が全車に搭載される。ボア×ストロークは83.5㎜×91.2㎜へ拡大し、最高出力は27㎰、最大トルクは5.1㎏m向上。最大トルク発生回転数も4800rpmから4600rpmへ下がり、走りの力強さはひと回り大きい。その一方で、燃費は18.8㎞/ℓから15.6㎞/ℓへダウンしている。なお、使用燃料がプレミアムである点は変わらない。

ロードスターRF S/RS/VSグレードのインテリア

ロードスターRF Sグレード

「S」のインテリアは、エクステリア同様にシンプル。黒基調な上に、シートもファブリックだが、随所に施されるメッキ加飾やレッドステッチなど、細部までつくり込まれているのが美点。なお、オプション設定される安全装備を除けば、装備は充実しており、7インチWVGAセンターディスプレイ&コマンダーコントロールやフルオートエアコンは標準で備わる。ステアリングも「VS」と「RS」にも備わる本革巻きを採用する。

ロードスターRF RSグレード

スポーティな走りを提供する「RS」は、そのインテリアの世界観もより一段とスポーティ。走行時に身体をしっかりサポートするRECARO製シートをはじめ、インパネとドアトリムにも手触りの良いレザーがふんだんに奢られている。機能は「VS」を踏襲し、シートヒーターやBoseサウンドシステムを標準で装備する。ブラインド・スポット・モニタリングなどの安全装備も一式そろっている。

ロードスターRF VSグレード

上質感をコンセプトに仕立てた「VS」。インパネがブラックとオーバーンの二層になり、シート表皮も感触の良いナッパレザーを採用。快適にオープンエアを楽しめるようにシートヒーターとBoseサウンドシステムも搭載され、ゆったりと寛げる大人の雰囲気を演出する。なお、危険認知支援の安全装備は標準で備わる。

■トランスミッションも乗り味を左右

左:6速AT/右:6速MT

「S」と「VS」には6速のMTまたはATが選べる。小気味良い操作性を追求したMTで走りを味わうも良し、ATで颯爽と乗りこなすのも良し。ATには変速タイミングをスポーティに変更するSPORTモードも用意。

ロードスターRFとライバル車との比較

トヨタ86

価格帯:262万3320円~346万1400円


推奨グレード:GT“Limited・High Performance Package” 339万4440円(6速MT)

2012年に、長らく途絶えていたFRスポーツカーとして発売された86。16年には初のビッグマイナーチェンジが行なわれ、内外装を刷新。MT車ではファイナルギヤを変更し、走行性能も向上した。

アバルト124 スパイダー

価格帯:388万8000円~399万6000円


推奨グレード:124スパイダー 388万8000円(6速MT)

構造から生産までロードスターと共有しつつ、エンジンはフィアット製の1.4ℓターボを搭載し、機械式LSDやBrembo製ブレーキ、ビルシュタイン製ダンパーと、走りのエッセンスが散りばめられている。

MINI コンバーチブル

価格帯:342万円~489万円


推奨グレード:クーパーS 402万円

2013年にハッチバックのMINIが新型へ移行。それから5ドアハッチバック、クラブマンに続いてコンバーチブルも新世代へ。電動ソフトトップは18秒で全開となり、サンルーフのように気軽に開けられる。

ロードスターRFの価格とコンセプトはスポーツカーの主戦場




ロードスターRFの一番のライバル車は86だ。高回転域を中心とした動力性能は86が勝るものの、ロードスターRFの「RS」は挙動変化が穏やかで一体感のある運転を楽しめる。




86の価格は「GTリミテッドハイパフォーマンスパッケージ」が339万4440円(6速MT)。ザック ス製ショックアブソーバーやブレンボ製ブレーキを装着する。装備と価格を見ると86が割安だが、峠道やサーキットを攻める印象が強い。その点でロードスターRFは、オープンドライブを含めていろいろな楽しみ方ができるから割高とはいえない。




ロードスターをベースに開発されたアバルト124スパイダーもライバル車だ。エンジンは1.4ℓターボで、動力性能は自然吸気の2.5ℓに匹敵する。内装はアルカンターラ&レザーシートなどによって質感が高く、価格は6速MTが388万8000円だ。LEDヘッドライトなどはオプションだから、ロードスターのソフトトップに比べて実質的に約100万円高いが、エンジンや足まわりが上級化される。ロードスターRF「RS」とは価格も近く、両車の付加価値を比べて選びたい。




ミニコンバーチブル「クーパーS」も402万円で価格が近い。乗り心地、内装はロードスターRFが勝るが、ミニコンバーチブルのエンジンは2.0ℓターボだから動力性能は2.8ℓ並みだ。独特のデザインも楽しく、オープンモデルなのに後席が備わる実用性も魅力となる。

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