「レクサスUXはC-HRをベースに仕立てられ──」。新しいクルマだから出自が気になるのは当然。しかし当然ながら違うところは多々あり、それがUXの技術的な強いアピールポイントになっている。世界で初めて直結ギヤを備え発進レンジを担うCVT、その仕組みと意義を考えてみる。

 新しいレクサスのSUV。デザインやC-HRとの関連性などが世間をにぎわせているようだが、個人的には何より興味を引いたのはパワートレイン、とくにCVTに盛り込まれた新技術である。



 プレスインフォメーションには以下のように記載されている。

「DirectShift-CVT」機械損失低減

ベルト効率の悪いロー側使用時の伝達効率を向上させるため、発進用のギヤを採用しました。発進時はギヤ駆動とすることで、力強い加速を実現するとともに、アクセル操作に対して一瞬遅れるようなもたつき感を改善、スムーズで気持ちの良い発進性能を実現しています。

 マニュアルトランスミッションを運転したことのある方ならおわかりのとおり、クルマは発進のときにギヤを頻繁に架け替えないといけない。状況は自動変速機においても同様で、それがCVTの場合はベルトの巻きかけ径を徐々に変化させていくプロセスに相当する。



 ところが、よく言われるようなCVTの伝達効率の悪さというのが、まさにこの「徐々に変化させ」という状況に合致。ベルトを左右プーリでクランプしながら、でも巻きかけ径を変化させるためにだんだん広がって──となるときには、どうしても滑りが生じてしまう。無段変速ならではの泣き所である。



 だったら、無段変速はあきらめて発進に特化したギヤを用意してしまってプライマリ/セカンダリ軸を直結してしまえというのが、Direct Shift-CVTの考え方。つまり、直結している間はベルト/プーリは仕事をしなくていい状態にあるわけだ。



 二軸間は近いものの、直結にあたってはドライブ/ドリブンギヤを契合するための機構が必要だった。契合要素を眺めてみると、大小の径のギヤ間に金色の部品が見て取れる。おそらくシンクロナイザーだろう。普段は空転させておき、作動時にシンクロを用いて同調契合して伝達する仕組みだと思われる。

「DirectShift-CVT」変速応答性向上

発進用ギヤの採用により、入力負荷が軽減されたことで、ベルトおよびプーリー部の小型化を実現しました。ベルトを狭角化するとともにプーリーを小径化し、変速速度を20%向上させています。これにより、従来よりさらに鋭く、素早い変速が可能となり、ドライバーはパワフルでリズミカルな加速を感じることができます。

 発進用の常時噛み合いギヤを設けられるなら、バリエータユニット側はローレンジを極端に追わなくてもよくなる。具体的に言えばセカンダリプーリにおける巻きかけ径を大きくしなくてもよくなり、結果としてバリエータユニットを小さくすることができる。



 当然ながら、ドライブ側の巻きかけ径を小さくすることでも変速比は大きくとれることになり、各種のCVTではそこを追求しているユニットも多い。

上図の状態はドライブが小径/ドリブンが大径なのでローレンジ側。

 ご想像のように、この直結ギヤをハイレンジ側に適用することも可能だ。高速燃費を追求したいというニーズならば、そちらに用いることも考えられる。



 じつは、CVTは重い。相当な圧でベルト(あるいはチェーン)をクランプさせるためにプーリは金属の塊でなければならないためだ。ワイドレンジを図りたい、しかしそうするとプーリ径は大きくなってしまう──。基本的に横置きパワートレインへの適用、さらに小型車への採用が多いことから考えても、重量化は避けたい。ジヤトコの副変速機付きCVTは、ワイドレンジ化と小型軽量化を鮮やかに実現した例だったが、今回の「DirectShift-CVT」は同様のねらいを世界で初めての試みで成し遂げた例である。実際の運転感覚はいかがか、その機会を楽しみに待ちたい。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 レクサスUXのパワートレインを考える