今年3月のジュネーブ・ショーでアンヴェールされた新型508。いかにもプジョーらしいアヴァンギャルドなデザインの中には世界をリードする最新のエンジニアリングが込められていた。

REPORT◎南陽一浩(NANYO Kazuhiro)

 4ドアでありながらクーペを思わせるスタイルの新型508。太いBピラーを採用して前後ウインドウをサッシュレスとし、サイドビューのグラフィック線をすっきり簡略化したフォルムは非常にスタイリッシュだ。リヤには横一文字のガーニッシュを嵌め込み、クーペ的スタイルをさらに強調する。垂直気味のフロントグリルや奥まったヘッドライトなど、全体に締まったプロポーション。



 クーペライクな4ドアはドイツブランドをはじめいくつか存在するが、この前衛芸術のようなモダンさは、さすがプジョーだといえる。プラットフォームは3008やシトロエンC4ピカソらと同じく、EMP2を採用するがホイールベースは2793mmに延ばされている。だが全幅は1847mm、全高は1404mmと、前面投影面積を抑えたサイジングといえるだろう。

小径ステアリングやズラリと並ぶトグルスイッチなど、個性的なインパネ。センターのモニターは12.3インチの大型だ。

 インテリアもモダンな雰囲気に溢れているが、驚くのは質感の高さだ。これまでプジョーの内装といえば上下重ねの意匠を多用し、逆にいえばチリ合わせ精度をさほど追い込まなくてよいデザインだった。ところが新型508は真っ向勝負というか、ウッドにクローム、レザーにウレタンフォームなど硬軟さまざまの素材を使用し、合わせ目の誤差を徹底的に追い込んでいる。



ステアリングの上からメーターを見るという独特のスタイル。
液晶のメーターはさまざまな機能を切り替えて表示可能だ。


意外と充実したADAS装備

2793mmという長いホイールベースの恩恵で、リヤシートは十分な広さ。ナッパレザーの肌触りも上質感がある。
しっかりと身体をサポートしてくれるフロントシートだが、フランス車らしい柔らかさも併せ持つ。


独立トランクではなくハッチバックスタイルを採用。通常時でも容量は487ℓを確保するが、3分割式のリヤシート背もたれをすべて倒すと容量は1537ℓにまで拡大する。

 走り出すと、スルリと手の内に収まるようなドライバビリティが際立つ。ハンドリングはどの速度域でもしっとりと滑らかな感触が途切れず、どこまでもニュートラルステアに徹する。不快なトルクステアもなく、いい意味でFFらしくない味わいだ。足まわりはロールを抑えるというよりも積極的に四肢が動く感覚で、ガソリン仕様なら1420kgという軽めの車重も手伝い、乗り心地に硬さを感じる場面はなかった。極めて軽快である一方で、峠でも高速道路でも巧みなロードホールディングで楽しませてくれる。加えてレーンキープ機能やACC、緊急ブレーキ補助を含めたADAS(先進運転支援システム)関連の動作が自然だったことも、望外の驚きだった。



 今回はガソリン2種類、ディーゼル1種類の計3種類のパワートレインを試したが、もっとも好印象だったのはガソリンの1.6ℓターボ225ps仕様だった。同じ排気量の180ps仕様より明らかにパワフルでかつ静粛性に優れ、ディーゼル2.0ℓのBlue HDi 180psよりノーズの動きが軽く、ハンドリングも小気味いい。逆に長距離移動が中心なら、ディーゼルがベストの選択肢となるだろう。いずれもアイシンAW製8速ATの新たなトランスミッションが組み合わされるが、相性という意味でも225ps仕様がもっとも滑らかだった。

 

 日本上陸は年内が予定されている。Dセグのプレミアム・セダンにどこまで食い込めるか、注目したい。



※本記事は『GENROQ』2018年9月号の記事を転載したものです。

SPECIFICATIONS

プジョー508ピュアテック225

■ボディサイズ:全長4750×全幅1847 ×全高1404mm ホイールベース:2793 mm ■車両重量:1420kg ■エンジ ン:直列4気筒DOHCターボ 総排気 量:1598cc 最高出力:169kW(225ps) /5500rpm 最大トルク:300Nm(30.6kg m)/2500rpm ■トランスミッション: 8速AT ■駆動方式:FWD ■サスペ ンション形式:Fマクファーソンスト ラット Rマルチリンク ■ブレーキ: F&Rベンチレーテッドディスク ■ タイヤサイズ:F&R215/55R17 ■パ フォーマンス 最高速度:250km/h ■環境性能(EU複合モード) 燃料消 費率:5.6l/100km CO2排出量:130g/1km



情報提供元:MotorFan
記事名:「 美しいデザインと素直な走りの508を欧州で乗ってみた