1958年(昭和33年)8月に登場以来、今年で60周年を迎えるスーパーカブ。2年後の1960年にはセルフスターター付きのC102、1961年には55ccのC105が発売されるなど、バラエティに富んだモデルが新登場。ここでは1960年から1969年に生まれた個性派のスーパーカブをご紹介しよう。
REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)
撮影協力●ホンダコレクションホール
PHOTO●4ミニ.net http://www.4-mini.net/
1960年(昭和35年)
セルフスターター付きのスーパーカブ「C102」
1960年(昭和35年)、小柄な男性や女性でも簡単にエンジンが掛けられるよう、セルモーター付の「C102」がリリース。価格はC100よりも7000円高い6万2000円。
C102はC100の豪華版ではなく、積載荷物の多いライダーが、キックスタート時に姿勢を崩すことがないように配慮された“安全重視”のモデルでもあった。
当初はキックペダルのないセル専用モデル(初期型)だったが、バッテリーなど電気系統の不具合が相次ぎ、後期型(写真)はセル&キック併用に変更された。
1961年(昭和36年)
二人乗り対応のスーパーカブ「C105」
1961年(昭和36年)2月、新しい道路交通法が施行。原付一種(50cc未満)の取得可能年齢は、14歳以上の許可制から16歳以上に引き上げられた。
また、50cc未満の最高速度は5km上がって時速30km/h、125cc未満の原付二種は40km/hに設定。加えて50cc未満は二人乗りが禁止された。
これに伴い、C100のボア径を2mm拡大してタンデムステップを装着した54ccの「C105」が登場。二人乗りで運転されることが多くなると判断し、スタートが容易にできるセルフスターター付きの「CD105」もデビュー。
価格はC105がC100よりも2000円高の5万7000円、CD105が9000円高の6万4000円だった。
カブ系横型エンジンのチューニングは 当時から実施されていた?
1964年(昭和39年)
排気量87ccのスーパーカブ「CM90」
排気量86.7cc、出力6.5psのOHVエンジンを搭載したスーパーカブ90「CM90」が登場。二人乗りもできる原付二種のCM90は、“スーパーカブ90”の第一号機。価格は7万5000円。
初代スーパーカブのC100にも採用されたビンテージムード満点のセミアップ型ハンドル(カモメが翼を広げた姿に似ているため「カモメハンドル」とも呼ばれた)。など、外観はC100とほぼ同じ。タイヤ幅はC100よりも幅広タイプに変更済みだ。
パワーアップに伴い、フレームや足周りはC100を強化。CM90のエンジンは、スポーツモデルのC200がベースだが、中高回転域を重視した特性に変更された。
CM90の排気量は86.7ccだが、その後に発売されるOHCエンジン版は、85ccにスケールダウンされた。