エンジンで発生した動力を車輪に伝えるパワートレイン。そのなかで特に重要な役割を担っているのがトランスミッションである。ここでご紹介するのは、数々の"世界初"のトランスミッションを生み出してきたジヤトコのCVT(無断変速機)。ジャトコはCVT世界シェアの約50%を占めるリーディングカンパニーである。
●TEXT&PHOTO:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)
展示されていたCVTのなかで当サイトが注目したのは、同社製CVTの看板商品である中・大型FF車用の「CVT8」と、近年市場が拡大傾向にある中・大型FFハイブリッド用「CVT8 HYBRID」(いわゆるストロングハイブリッド)との中間に位置するであろうコンセプトモデル「マイルドハイブリッド車用CVT」である。
その特徴は三つ。一つ目は、コンパクトである点。モーターを薄くすることで、レイアウト検討をしやすくしている。そもそもマイルドハイブリッドモデルだから高出力は不要。だから小型モーターで事足りる。また「CVT8 HYBRID」の水冷方式ではなく、CVTのATFフルードで冷却する方式とすることで冷却系統を簡素化して、コンパクト化に寄与させた。「CVT8 HYBRID」のケースにある冷却系のホース取り出し口が、コンセプトモデルのケースには存在しない。
二つ目の特徴は、低価格化である。電圧を下げたことでインバータ&バッテリーの容量を抑えることが可能となり、その結果、コストを下げることに成功している。
そして三つ目の特徴は燃費だ。従来の「CVT8」と比較して15%の燃費向上を目指している。これは中国の2025年規制をターゲットとした値である。ジヤトコが初公開した「マイルドハイブリッド車用CVTトランスミッション」、その製品化は遠からず実現するはずだ。