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ルノー・カジャーのアンバサダーに就任した上田瑠偉選手は、とんでもないトレイルランナーだった!


日本を代表するトライルランナー、上田瑠偉(るい)選手。


ルノー・カジャーのアンバサダーに就任したことで、


その名を知ったクルマ好きの方も多いだろうが、


そもそもトレイルランとはどんなスポーツなのか?


上田選手に話を聞けば聞くほど、その凄まじさと、


彼のとんでもない才能が浮き彫りになるのだった。




TEXT●小泉建治(KOIZUMI Kenji) PHOTO●伊藤祐太(ITO Yuta)

デビューレースでいきなりの優勝!

ルノー・カジャーのアンバサダーに就任した上田選手。これから一年間、トレーニングやレース参戦のパートナーとしてカジャーを使い、そのインプレッションを発信していく予定だ。(PHOTO:小泉建治)

 歩くだけでも腰が引けてしまいそうな険しい山道を、飛び跳ねるように駆けぬけるトレイルランなるスポーツ。見るからにただならぬ雰囲気が漂うこのスポーツにおいて、世界的な活躍を見せている日本人選手がいる。




 この度ルノー・カジャーのアンバサダーに就任した上田瑠偉選手だ。デビューレースでいきなり大会新記録を叩き出して優勝し、続く2戦目は国内で最も権威ある大会である「日本山岳耐久レース」に出場して6位入賞。その後も数々の大会で優勝し、2014年の同レースでは最年少優勝を果たした。16年にはフランスのシャモニーで開催される世界最高峰レース「UTMB」のCCC101kmというクラスに出場し、日本人最高位の2位でゴールしている。




 まず、トレイルランを始めたきっかけはなんだったのだろうか?




「子供の頃からサッカーをやっていたのですが、トレーニングの一環で始めた陸上で自分が速いことに気づいて、中学では陸上部に入りました。でも高校時代は度重なるけがで伸び悩み、大学では走ることを楽しむために陸上同好会に所属したんです。そこで、10代最後の思い出作りくらいの気持ちでトレイルランの大会に出たのですが……」




 このレースで5位入賞を果たし、現在のスポンサーであるコロンビアスポーツウェアにスカウトされ、選手としての正式デビュー戦で前述の通り優勝を果たす。




 トレイルランって、どれくらいの距離をどのくらいのペースで走るのだろう?




「30kmのレースだと3時間くらいですね。自分が出たことのある最長レースは125kmで、14時間くらい走り続けます」




 14時間!




「一気に走り続けるようなレースですと170kmくらいが上限ですかね。仮眠を入れるようなタイプになると、例えば日本には日本海から太平洋に抜ける450kmのレースもありますよ。7日間くらいかけて走るんですが、速い人だと5日間くらいで走ってしまいます」




 まるで飛脚だが、それより今、「仮眠」って言いましたよね? 仮眠だけで5日間も走る?




「速い人はそうですね」




 なんだか尋常じゃないぞ、このスポーツ。

レース中に景色を楽しむ?

フランスのシャモニーで開催され、世界最高峰レースのひとつに数えられるUTMB。上田選手は、2016年にCCC101kmというクラスで日本人最高位の2位でゴールという偉業を果たした。

 聞けば聞くほど、トレイルランはマラソンよりも大変そうに思えてくるが。




「心肺機能だけを見れば、マラソンよりも楽でしょう。ライン取りや状況判断といったほかの要素が多く、スピード自体はマラソンと比べて遅いですから。ただ、足への負担はもちろん、身体全体へのダメージはトレイルランのほうが大きいでしょうね。始めた頃は、よく上半身が筋肉痛になりましたから。それと、険しい山道を走りますから、当然ながら滑落などのリスクもあります」




 トレーニングはどうしているのだろう? 年中、山の中を走るわけにも行かないだろうし。




「山道を走るトレーニングと、通常のランニングをうまく組み合わせています。それと、冬はクロスカントリースキーなども取り入れています。クロスカントリースキーを始めてからは、普段使わないお尻の奥の筋肉を意識して使えるようになって、大きくタイムが伸びました。水泳も、しなやかな筋肉をつけられるので効果的ですね」




 面白いのは、トレイルランを始めてから、陸上のトラック競技のタイムも伸びたことだ。




「3000mですと、中学の時は9分10秒で、高校で9分20秒に落ち、大学一年でまた9分10秒に戻ったのですが、トレイルランを始めたら8分40秒にまで伸びたんです。例えるなら、箱根駅伝でシードには入れない学校のレギュラーになれそうなくらいのタイムです」




 このことから見えてくるのは、ほかのスポーツを取り入れたり、違った角度からアプローチすることで、壁に当たっていると感じていた状況を打破できる場合があるということだ。バイクに乗ると、なぜかクルマの運転が上手くなるのと似た現象だ。




「思えば、高校時代にスランプを経験したからこそトレイルランに出会えたわけですし、そのおかげで図らずもトラックでのスピードも増しました。でも、やっぱり楽しいのはトレイルランですね。岩を飛び越えたり、急坂を下ったりと、状況が刻一刻と変化しますので、マラソンよりも体感的に時間の経過が速く感じられます。景色も楽しめますしね」




 レース中に景色を楽しめる?




「ええ、20kmから40kmくらいまでのレースなら楽しめますよ。相手との駆け引きも面白いです。ただ、40kmを越えてくると肉体的なつらさが前面に出てきますが(笑)」




 ……と、まったく門外漢の筆者の質問にもわかりやすく丁寧に説明してくれる上田選手。2018年はヨーロッパを中心とした海外レースに注力する。




「これまではとにかくレース数を重ねて経験を積んできましたが、これからは数を絞って、大きなレースでの優勝を狙っていきます」




 トレイルランに詳しい人も、そうでなかった人も、世界でトップを争う上田選手の活躍にご注目いただきたい。ちなみに今年の参戦レースは11戦の予定だ。11戦? 多くない? それで絞ったんですか? しかも、レースとレースのインターバルがわずか1週間ってのが4回もある。




「あぁ、そんなものですよ」




 やっぱりこの人、尋常ではない。





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<第1特集 古道巡走>


歴史ある道は数多いけれど、誰も通らなくなり廃道となっていくケースもまた多いです。ここでは古道を復活させてトレイルランのレースで活用されている石川県の峨山道、長野県の戸隠古道、新潟県の五箇山古道などを紹介しつつ、廃道寸前となっている山梨県の中道往還にもメスを入れて紹介し、トレイルランが古道再生、歴史古道の維持に役立つ可能性を示します。




<第2特集 九州の山を走る>


近年、トレイルランレースをはじめ、九州のトレイルラン業界が盛り上がっています。阿蘇、九重、霧島、雲仙など、全国に名の知れた山はあるものの、どの山も2000メートル以下の低山。九州の人間にしてみれば2000メートル超の山々への憧れや嫉妬は当然あるそうですが、低山であっても九州の山には魅力が詰まっています。地元ランナーに協力してもらい、今回は九州全7県の厳選コースと温泉、グルメ、観光スポットなどをセットにして紹介。本州、とくに関東の人たちに、この夏秋の大会参加、旅行計画のひとつとして提案します。

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