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【初試乗】新型ヴァンテージは、ドライバーの繊細な操作にも的確に反応してくれる!


13年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたアストンマーティンの最新モデル「ヴァンテージ」。早くもそのステアリングを握る機会に恵まれたジャーナリストの大谷達也氏は、果たしてこのヴァンテージにどのような印象を頂いたのだろうか? ポルトガルよりレポートする。




REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)

アストンマーティンの自信作だと直感した!

「ヴァンテージ」はアストンマーティンのスポーツカーに与えられる伝統的なモデル名だ。その特徴は2シーターのコンパクトボディとコーナリングに主眼を置いたスポーティーな足まわりにある。




アストンの主力モデルは、このヴァンテージのほか、ヴァンテージの高性能版でスーパースポーツカーのヴァンキッシュ、2+2のシートレイアウトで長距離クルージングも想定したDBシリーズの計3車種。このなかではヴァンテージの価格帯がもっとも手が届きやすいとあってアストンの最量販車種と位置づけられている。




そんなヴァンテージが13年ぶりにフルモデルチェンジを果たした。その最大のポイントは、2年前にデビューしたDB11と同じアストンマーティン最新のアルミボディ構造を採用するとともに、DB11 V8と共通のAMG製V8 4.0リッターエンジンを搭載したことにある。




デザインも魅力的だ。全体的にはノーズが長いフロントエンジンのクラシックなプロポーションだけれど、徹底的にシンプルに仕上げられた面構成と要所要所に盛り込まれたシャープなキャラクターラインがボディを引き締め、未来的な雰囲気を醸し出している。“スポーツカーには乗りたいけれど悪目立ちしたくない”という向きには好適だろう。

ポルトガルで開催された試乗会のメニューは、初日がアルガルヴェという難易度の高いサーキットでの走行で、2日日は高速道路やワインディングロードなど一般道での走行というもの。しかも、サーキットでは1セッションが20分間と走行時間がきわめて長いうえ、それを3回も試す予定が組まれていた。このスケジュールを聞いて“アストンは相当、ヴァンテージの仕上がりに自信を抱いている”と直観した。




サーキット走行では、エンジンは全開につぐ全開。コーナリングスピードは常にタイヤのグリップ限界域で、超高速域からの急減速を何度も繰り返す。エンジン、タイヤ、ブレーキの温度が極限まで上昇するのはいうまでもなく、しかもサーキットを走り続ければ冷めるヒマもないので、それらは長時間にわたって高温にさらされる。結果としてエンジンはパワーダウンを起こし、タイヤはよくてグリップの低下、悪ければトレッド剥離といってタイヤ表面のゴムが剥がれ落ちる現象が発生。ブレーキも極端に制動力が落ち、場合によってはブレーキディスクを挟み込むパッドが燃え尽きてしまう恐れがある。だから、どんなスポーツカーでもサーキットの試乗はおよそ5周、10分程度が一般的で、それが終わるとクルマを十分冷やしてから次の走行に入るというケースがほとんどだ。




ところがアストンは20分間の連続走行を私たちに認めた。これはクルマ自身の冷却能力が高いか、高温にも耐えられる信頼性を有しているかのどちらかだろう。では、ヴァンキッシュの実力はどうだったのか?タイヤは10分ほど走ると熱ダレを起こして徐々にグリップが低下し始めた。ただし、サーキット走行を想定していない一般道走行用タイヤとしては立派な性能だ。

ワインディングロードでも意のままに操れる!

セッション終盤にはブレーキの踏みごたえもやや甘くなったが、制動力の落ち込みは最小限だったし、最後までしっかりブレーキングができた。試乗車にはオプションで耐フェード性に優れたカーボン・セラミック・ブレーキが装着されていたが、それでも20分間連続のサーキット走行を耐え抜くとは大したものである。




エンジンの出力低下は看取できず、オーバーヒートはその兆候さえ見られなかった。エンジンの冷却性能は十分以上と見ていいだろう。




そうした基本性能の高さにも増して驚かされたのが、ヴァンテージがサーキットで見せた機敏な走りだった。足まわりやボディにあいまいなところが一切なく、タイヤがどのように路面を捉えているかがダイレクトに、そしてはっきりと掴める。おかげで、サーキットでは狙ったとおりのラインを走行できるだけでなく、たとえリヤタイヤがスライドを始めてもすぐさまそれを察知し、カウンターステアで修正できる。これは、本物のスポーツカーだけが持つハンドリング性能だ。

実は、同じ最新世代のアストンでもDB11でここまでの走りをするのは難しい。ロングツーリングも無理なくこなさなければいけないDB11は、快適性を優先するために極限的な状況でのハンドリングを犠牲にしている側面があるからだ。つまり、快適性のDB11、ハンドリングのヴァンテージと明確な棲み分けができていることになる。




500psを発揮するV8エンジンは、アルガルヴェのような難攻不落のサーキットを走っていてもパワー不足を感じなかった。高回転までスムーズに回る特性にも不満はない。あとは高回転域のドラマ性があればいうことなしだが、それは望みすぎというものだろう。それどころか、全長969mのストレートエンドでは最高で253km/hに達したのだから立派なものである。




一般道での走りも納得のいくものだった。ワインディングロードで意のままに操れる特性はサーキットでも体感したとおり。DB11より“走り方向”に振ったサスペンションは一般道で乗り心地が悪いのではないかと心配したが、なるほど硬めだしロードノイズもそれなりに聞こえるものの、スポーツカー乗りには受け入れてもらえる範囲だと思う。




サーキットでの連続走行もこなすスタミナを持つだけでなく、ドライバーの繊細な操作にも的確に反応してくれるヴァンテージ。DB11とは明確にカラーが異なる、新世代アストンマーティンの誕生である。

ASTON MARTIN VANTAGE

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