ルノーの最新CセグメントSUV、カジャーが日本に上陸した。

都会的なエクステリア、洗練された乗り味といったSUVの最新トレンドを外さず、

それでいてアウトドアユースに応える高いユーティリティも併せ持つ。

お買い得感に溢れるプライスも魅力のひとつだ。



TEXT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)

ルノーのデザイン文法に則ったエクステリアはアウトドア臭さをまったく感じさせない。このクラスのSUVは直線基調で構成されるデザインが多く、ここまでダイナミックで抑揚のあるアピアランスは珍しい。

エクステリアにもインテリアにも泥臭さは皆無

エクステリアと同様に、コクピットも都会的なサルーン調にまとめられている。ダッシュボード中央の7インチ液晶タッチスクリーンパネルはAppleカープレイやアンドロイド・オートに対応している。

 日本でも欧州でも人気上昇中のCセグメントSUVに、ルノーから魅力的な新型モデルが投入された。2017年末に限定100台で先行発売されていたカジャーが、ついに正式なカタログモデルとしてデビューしたのだ。



 まずエクステリアで目を惹くのは、SUVらしからぬ流麗かつダイナミックなボディラインで、CシェイプのLEDデイタイムランニングランプに象徴される、最新ルノーのデザイン言語に則ったアピアランスを形成している。



 200mmと高めの最低地上高や大きく採られたアプローチ(18度)&デパーチャーアングル(28度)、ボディ下部を覆うプロテクターなどはタフなSUVとしての用途に対応したものだが、パッと見た印象はあくまで都会的で、泥臭さを一切感じさせない。



 インテリアも同様で、ナパレザー製ステアリング、シートヒーター付き(前席)レザーシート、ダブルステッチインナーハンドルなど、どこを取っても上質なサルーンのような仕立てだ。唯一SUVらしい演出と言えるのは、シフトレバーの左側前方にある助手席用のアシストグリップくらいだろう。

このクラスには珍しく、センターコンソールの前方助手先側にアシストグリップが備えられる。都会的と言いながらも、こうした機能パーツに手抜かりがないあたりは好感が持てる。

 エンジンはメガーヌ、ルーテシア、キャプチャーなどでお馴染みの直列4気筒1.2Lターボユニットで、最高出力131ps、最大トルク205Nmを発生する。組み合わされるトランスミッションは、ルノーがEDC(エフィシエントデュアルクラッチ)と呼ぶ7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)だ。



 DCTとはふたつのクラッチによって動力の伝達経路を2系統としたもので、ATと同様のイージードライブとMTの高伝達率とダイレクトなドライブフィールを両立させたトランスミッションのことだ。



 LDW(レーンデパーチャーウォーニング/車線逸脱警報)、BSW(ブラインドスポットウォーニング/後側方車両検知警報)、オートハイ/ロービーム、エマージェンシーブレーキサポート(衝突衝撃軽減ブレーキ)、イージーパーキングアシストといった先進運転支援デバイスは、先に発売されたメガーヌに準ずる。

前後ともに肌触りのいいレザーシートが奢られる。174cmのドライバーがフロントシートに座ると、リヤシートの174cmのパッセンジャーの膝まわりにはこぶし2個分の余裕が生まれる。
タップリとしたブ厚いクッション、大きく張り出したサイドサポートなど、座り心地とホールド性はクラス随一で、これぞルノーの面目躍如といったところ。前席にはシートヒーターが備わる。


峠道における意外な身のこなし

都会的なデザインだが、そこはやはりクロスオーバーSUV。こうして湖畔で佇むのも実に絵になる。

 ドアを開けてドライバーズシートに乗り込む。腰を下ろすというより、直立状態から横に平行移動すればそこに座面があるという感覚で、車高の低いスポーツカー好きの筆者も、ここはSUVならでは美点だと改めて認識させられる。コアなクルマ好きはともかく、乗り降りのしやすいこちらのほうが一般的には好ましいと感じられるだろう。



 走り出してみると、最新SUVの例に漏れず、とくに背高であることを意識する必要はなく、サルーンやハッチバックと同じ感覚で運転できる。低回転域から十分なトルクを発生するエンジンとDCTの相性も良く、とくにストレスに感じる部分がない。



 ゲトラグ社から供給されるルノーのDCTは、出始めの頃はまるでステップAT(トルコン式とも呼ばれているコンベンショナルなAT)のような味付けで、滑らかではあるもののダイレクト感に欠ける印象だったが、ここへきてルノー側の制御がこなれてきたのか、よりダイレクト感を主張するようになってきた。かといってショックが目立つわけでもなく、DCTらしい鋭い変速を素直に味わえるようになったのだ。



 試乗会場の近くに筆者がよく知るタイトな峠道があったので、カジャーには不似合いと思いつつも足を踏み入れてみたのだが、意外や軽い身のこなしを披露してくれたのはうれしい誤算だった。カジャーは欧州プレミアムブランドにありがちなアジリティ(俊敏性)をことさらに強調したハンドリングではなく、ほどよく落ち着いた振る舞いを見せるが、おかげで過度な緊張を強いられたり、急かされるような感覚がない。



 とはいえドライバーの操作にはしっかりリニアに反応してくれるから、アグレッシブに攻めようと思えば十分に攻められる。「思った以上にスピードが出てしまった」とか「望む以上にノーズが切れ込んだ」ということがないから、正直に言うとスポーティさをウリにしているプレミアム勢よりも、よっぽどカジャーのほうが本当の意味でスポーツドライブが楽しめるのでは、と思う。



 もちろんそれはカジャーの意外な一面であって、このクルマの実力を味わうのにこんな峠道に攻め入る必要はない。前述の敏感すぎないハンドリングのおかげで、長距離ドライブでの疲労も最小限に抑えられるだろうし、高速道路における直進安定性はさすがルノーと唸らされるものだった。

 

 ただ、今どきクルーズコントロールに前走車追従機能がないのは明らかなマイナスポイントだろう。実に魅力に溢れるSUVだけに、これだけは早急な対応を望みたい。カジャーは一部の熱狂的なクルマ好きではなく、より広い顧客層を見据えたクルマであるはずだ。

クラス随一の魅力的なプライス

試乗会の会場には、ルノー・カジャーのアンバサダーに就任したトレイルランナーの上田瑠偉さんも姿を見せた。2016年、フランスのシャモニーで開催された世界最高峰のレースのひとつであるUTMBのCCC101kmで日本人最高位の2位でゴールするなど、日本のエースとして急成長中の若手選手だ。彼はこれから一年間、トレーニングやレース参戦のパートナーとしてカジャーを使い、そのインプレッションを発信していくという。上田選手のインタビューは、またあらためてMotorFan.jpで紹介する予定。

 と、まぁ実によくできたCセグメントSUVのカジャーだが、このクルマにはもうひとつ、地味ながらとっても大切なアドバンテージがある。それはお手頃な価格である。



 試しに、同クラスの主な輸入SUVと比べてみよう。



ルノー・カジャー:347万円

フォルクスワーゲン・ティグアン:363.6〜470.3万円

メルセデス・ベンツGLA:406〜808万円

BMW X1:417〜627万円

アウディQ3:369〜469万円

プジョー3008:357〜444万円



 ご覧の通り、カジャーのお買い得度の高さは明白だ。もちろん同クラスとはいえ、それぞれ装備やスペックは異なるし、このカテゴリーのクルマを求めるカススタマーにとっては値段がすべてではない。こうして値段だけを並べることに大した意味はないし、逆にデザインや走りといったカジャーの本当の魅力を見誤ることにもなりかねないが、それでも価格の話というのは購入に当たって避けては通れないもの。知っておいて損はないだろう。



 いずれにせよ、コレオス以来途切れていたルノーのミドルクラスSUVの再来は、多くの人に魅力的な選択肢と受け止められるはずだ。









カードキーは手触りのいいパネルで覆われ、なかなかの上質感を湛えている。
エンジンは直列4気筒ターボ「H5F」ユニットで、駆動方式はFFとなる。


ラゲッジスペースは5名乗車時で527Lを確保している。
6:4分割式リヤシートを倒すと、最大で1478Lとなる。


ラゲッジボードを立てることで、荷物を転がりにくくできる垂直モードとなる。
リヤシートバックはラゲッジスペース左右のレバーによってワンアクションで倒せる。


ルノー・カジャー インテンス

全長×全幅×全高:4455×1835×1610mm ホイールベース:2645mm  車両重量:1410kg エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1197cc ボア×ストローク:72.2×73.1mm 最高出力:96kW(131ps)/5500rpm 最大トルク:205Nm/2000rpm トランスミッション:7速DCT サスペンション形式:ⒻマクファーソンストラットⓇトーションビーム

ブレーキ:ⒻベンチレーテッドディスクⓇディスク タイヤサイズ:225/45R19 車両価格:347万円

情報提供元:MotorFan
記事名:「 隠れた大本命? ルノー・カジャーがお買い得!【試乗記】