スーパーカブをベースにアウトドアなスタイルに仕上げたクロスカブ。その発売日と価格が2月5日に発表され、50ccモデルがラインナップに加わることも判明した。そんな話題の新型クロスカブにさっそく試乗する機会を得た。※試乗レポート&新情報は3ページ目から!(PHOTO:山田俊輔)

新型クロスカブ110は、山、海、都会、あらゆるシーンが似合う。

【メチャ詳しく解説中】スーパーカブ110プロの実力試乗レポ

名車ハンターカブのイメージを踏襲

1981年に日本国内で販売されたCT110。北米や南米、アフリカ、オーストラリアなどワールドワイドに愛されたモデルだ。

今回のモーターショーで発表された新型クロスカブ110、一言でいうならば「より“ハンターカブ”らしくなった」といったところ。



ハンターカブとは1980年初頭に日本や北米で販売されていたトレッキングバイク「CT110」の愛称で、自然の雰囲気を楽しみながらゆったりと走行することはもとより、ツーリングや市街地走行など、幅広い用途に応えられるように開発。スーパーカブベースのレッグシールドレス仕様であることが、ハンターカブの大きな特徴の一つであった。



2013年に発売されたクロスカブは、”THE CROSSOVER A LIFE AND PLAY”をキーワードに開発。ビジネスモデルとして高い評価を得ていたスーパーカブ110をベースとしているだけあって、車体、エンジン共に性能は一級品。ギヤ比のローレシオ化や、アップライトなハンドルポジション、ライトガードの標準採用といったアレンジが加えられており、山に、街にと活躍の場を広げていった。

新型クロスカブ110のテールランプのデザインは、現行のスーパーカブ50/スーパーカブ110と同じ。

こちらは新型クロスカブ110。メインフレームカバーまでイエローで統一されているあたりも、ハンターカブを彷彿とさせるポイント。
2013年発売のクロスカブ(旧型モデル)。スーパーカブ同様にレッグシールドが採用されている。


信頼の新型109ccエンジンを搭載

現行クロスカブとの第一の相違点はレッグシールドレス化である。これこそが、ハンターカブを彷彿とさせる大きな要因であり、泥除け、風除け効果と引き換えに、軽快なルックスが手に入ったというわけだ。

レッグシールドを取り外したことで、エンジンがメインフレーム下にむき出しの状態となる。ここをよく見ると……。クランクケース右側にはカートリッジ式オイルフィルターが追加されている。つまり、エンジンそのものは11月10日に発売されたばかりのスーパーカブ110と基本的には同一と思われる。

とすると、スパイニースリーブを採用した腰上や、スカートにモリブデンコート処理を施したピストンなどによってフリクションをより抑えられているということで、耐久性と静粛性が一層高められているということになる。

レッグシールドを取り外したことで空冷109ccのエンジンは丸見えに。変速方式は従来同様の常時噛合式4段リターン。

クラッチカバーの隣に新設されたカートリッジフィルターが格納される。現行のスーパーカブ110と同様にボルト2本でフィルター交換を可能としており、メンテナンス性が高められた。

新型クロスカブ110は二人乗りがOKに!

もう一つの大きな変更点が、ユーザーからの要望が多かった「二人乗り(タンデム)」対応」となったこと。タンデムシートこそ標準ではないが、折り畳み式のタンデムステップはバッチリ装備。なので、リヤキャリアにタンデムシートを取り付ければ、即二人乗りが可能。



二人乗り仕様となったことでタイヤも新たに設計。タイヤサイズはほぼ同じ(現行クロスカブ:前後2.75-17/新型クロスカブ110:前後80/90-17)ながら、内部構造も変更し強度基準に対応している。

折り畳み式のタンデムステップを採用。これも新型クロスカブ110の目玉の一つ。

カブらしい大型のリヤキャリアを採用。ここにタンデムシートを取り付ければ二人乗りが可能となる。

フロントフェンダーは質感に優れるスチール製。黒色のリムは現行モデルから。ストローク量の適正化など足周りも変更が加えられている。

ポジションも日本人向けに

実は、現行のクロスカブは、元々オーストラリアの郵政カブがベース。なので、フロントフォークのストローク量が多かったり、ハンドル位置もアップライト気味の設定である。現行のクロスカブはそれを日本人向けに調整していた……という経緯がある。しかし今回の新型クロスカブ110は日本専用モデルとして設計されているので、乗車位置が日本人の体型にジャストフィットしているのも特筆すべき点なのだ。170cmのライダーが跨ってもポジョションに違和感はなく、足着き性も良好であった。



なお、現段階でメーカーから公表されているのは「市販予定」であることのみで、正式な発売時期は未定。ただし、来年春のモーターサイクルショーあたりには何らかの動きがあるのでは? と編集部では予測している。

ヘッドライトバルブはLEDに。今まではヘッドライトカバーを上下を覆うようなデザインだったライトガード。新型クロスカブ110からは上と左右の三方から覆うようになり、さらに小ぶりな荷台の役割も備える。
メーターの周囲を迷彩柄で遊んでいるのが新型クロスカブ110の特徴。速度表示は120km/hで、その左右にインジケーターを、下に燃料系を配置する。


■クロスカブ110・SCPECIFICATIONS■

・全長×全幅×全高:1935×795×1090mm

・エンジン種類 空冷4ストローク単気筒

・総排気量:109cc

・タイヤサイズ:前後80/90-17

発売日が正式決定した新型クロスカブ、その特徴は……

2月5日、ホンダから正式にリリースが発表された。

発売日は2月23日、ちなみにこの日は「ふろしきの日」(つ(2)つ(2)み(3)<包み>の語呂合せ)である。



特筆点は110ccモデルだけではなく、50ccモデルも新たにラインナップに加わったということ。その50ccモデルのホイールは17インチではなく、14インチに小径化されていたということ。この2つがニュースであろう。

それ以外は、東京モーターショー2017出展時と大きな違いはなさそうだ。

価格はクロスカブ50が291,600円。クロスカブ110 は334,800円。旧型モデルと比べると48,600円ほど値上がりした形だが、生産拠点を中国から日本の熊本工場に移管し品質と耐久性が高まったことを考えると妥当な価格と言えるだろう。

カタログから読み解く、新型/旧型クロスカブの違い

今回試乗の機会を得たのは、「クロスカブ110」。現行スーパーカブ110と同じ新型の空冷4ストローク単気筒109ccのエンジンを搭載し、走りのパフォーマンスにも期待できる。



カタログ値を見比べると最高出力は8.0ps/7500rpm、最大トルクは0.87kgm/5500rpmと変わりはないが、定地テストでの燃費値は旧型クロスカブが62.5km/Lなのに対して新型クロスカブは61.0km/Lと低い。旧型は一人乗りでの計測だが、新型は二人乗りでの計測結果なので、同条件ならば新型の方が優っていると思われる。



旧型クロスカブの車体寸法は全長1945×全幅815×全高1150mm、一方の新型は全長1935×全幅795×全高1090mmと少し小ぶりになったが、車両重量は105kg→106kgと微増。シート高は新旧変わらず784mm。



跨ってみる。数値上ではスリムなはずの車格だが、旧型との違いは体感するほどではないようだ。

アクセルを開けて走り出す。エンジンノイズは旧型クロスカブよりも控えめな印象でシフトチェンジ時のショックも滑らか。これらは新型スーパーカブ110と同等である。0〜70km/hまでの加速もスーパーカブ110のエンジンらしい滑らかなフィーリングで、ストレスはそれほど感じない。ただし、ヂュアルパーパスでの走破性を意識しているため、カタログ上の減速比は新型クロスカブ110の方がスーパーカブ110よりも若干ショートな設定となっている。



今回からレッグシールドが取り除かれたことで走行風を全身で浴びるようになり、モーターサイクル感は格段に増した。ただコーナリング中の接地感はそれほど感じられなかったので、やんちゃに走るというよりも「のんびり街を流す」といった用途のほうが適任のようだ。

モーターサイクルジャーナリスト栗栖国安、クロスカブ110を語る。

栗栖国安:1955年、東京生まれ。二輪雑誌業界に足を踏み入れて37年目。専門誌や一般誌を中心に、ニューモデルインプレッションからツーリング紀行まで幅広く活動する。得意分野はツーリングで、国内はもとより海外8カ国のツーリング経験を持つ。身長180cm。

「レッグシールドを取り去った独自のスタイルはオフロード色が強調されていて、いかにもアウトドアが楽しめそうなのが印象的。実際にツーリングしてみると、110cc単気筒エンジンはクルマの流れをリードするほどの実力を発揮し、走行性能に不足はない。アップハンドルと肉厚のシートによってポジションはラクチンだし、乗り心地も良い。オフロード走行を意識してか車高が高めで足着き性はそれほど良いとはいえないが、取りまわし性も良好だ。タイヤは前後ともブロックパターンを装着。そのためダート路にも躊躇なく入り込める。日常の足としてはもちろん、プチ冒険旅を楽しむにはまさにピッタリで、非日常の世界へと誘ってくれる」

■主要諸元■ (カッコ)内はクロスカブ110

・車名・型式:ホンダ・2BH-AA06(ホンダ・2BJ-JA45)

・全長×全幅×全高(mm):1,840×720×1,050(1,935×795×1,090)

・軸距(mm):1,225(1,230)

・最低地上高(mm):131(157)

・シート高(mm):740(784)

・車両重量(kg):100(106)

・乗車定員(人):1(2)

・最小回転半径(m):1.9(2.0)

・エンジン:空冷4ストロークOHC単気筒

・総排気量(cc):49(109)

・内径×行程(mm):37.8×44.0(50.0×55.6)

・圧縮比:10.0(9.0)

・最高出力(kW[PS]/rpm):2.7[3.7]/7,500(5.9[8.0]/7,500)

・最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):3.8[0.39]/5,500(8.5[0.87]/5,500)

・燃料供給装置形式:電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)>

・始動方式:セルフ式(キック式併設)

・点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火

・潤滑方式:圧送飛沫併用式

燃料タンク容量(L):4.3

・クラッチ形式:湿式多板ダイヤフラムスプリング式

・変速機形式:常時噛合式4段リターン

・減速比(1次★/2次):4.058/3.307(4.058/2.642)

・キャスター角(度)/トレール量(mm):26°30´/57(27°00´/78)

・タイヤ 前:70/100-14M/C 37P(80/90-17M/C 44P)

・タイヤ 後:80/100-14M/C 49P(80/90-17M/C 44P)

・ブレーキ形式 前/後:機械式リーディング・トレーリング

・懸架方式 前:テレスコピック式

・懸架方式 後:スイングアーム式

・フレーム形式:バックボーン

・価格:291,600円(334,800円)

【2月22日情報更新・記事追加】

見ているだけで欲しくなる、クロスカブ110詳密解説

2018年2月23日発売の新型クロスカブ110

2018年2月23日発売の新型クロスカブ110

新型クロスカブ50(左)と新型クロスカブ110。ホイール径がそれぞれ異なり、50ccモデルは14インチの小径を選択する。



新型クロスカブのいいところはズバリ見た目である。デュアルパーパスタイヤを履いたトレールバイクスタイルは自然がよく似合う一方で、都会の街並みにもしっかり溶け込む。単なるバイクではなくアウトドアギアとしての側面も持っている。

そんな新型クロスカブ110ではあるが、前ページのインプレッションに続いて、ここからはディテール部分を交えながら解説していこう。

2013年に登場した初代(旧型)クロスカブ(イエロー)。

2013年に登場した初代(旧型)クロスカブ(レッド)。

スーパーカブ50/110で採用されていた車体左部分の荷掛けフックは、レッグシールドレス化に伴い廃止されている。

まず旧型と新型では見た目が大きく異なっている。泥除け、風防といった実用面よりも軽快なスタイルを重視してレッグシールドを廃止。これによってかつてのハンターカブ・CT110のイメージに近づいた。なおセンターのカバーを外すと角断面パイプフレームが顔を出す。

ヘッドライトガードのデザインも変更が加わり、上下を覆う形状から、新型は左右を覆う形状に変更され、小さな荷台も設けられた。ヘッドライトバルブは今回からLEDが採用し、省電力化されている。

新型クロスカブ50は14インチタイヤ×シルバーリムの組み合わせとなる。

ホイールには今回からブラックのリムが使用され、足元がグッと引き締められた印象に。タイヤは新パターンのセミブロックタイヤ(80/90-17)を採用。フロントサスペンションはテレスコピック式、ブレーキはドラム式といずれも新旧変わりなし。

タンデムステップの新採用で二人乗りが可能に!

420サイズだったドライブチェーンも428サイズに変更され、耐久性と信頼性が高められた。

クロスカブはお一人様専用設計だからと、今まで諦めていた方に朗報なのが、この新型からは二人乗りに対応したという点。タンデムステップを標準装備しているので、あとはピリオンシートを用意すればタンデムランが可能となる。

サイドカバーを開けると書類入れとして使用できる小さなスペースが設けられている。これも旧型にはなかったうれしい装備だ。

エンジンも改良多数!

カートリッジタイプのオイルフィルターエレメントの採用も変更点の一つ。これにより、オイルフィルター交換の作業が簡単になりメンテナンス性が高められている。

エンジンは2017年11月にリニューアルしたスーパーカブ110と同じものを使用。インジェクション式の空冷4ストロークOHC単気筒の109ccといった基本設計こそ旧型クロスカブと変わらないが、鋳鉄シリンダーに合わせるスリーブに、新たに「スパイニースリーブ」を採用することで熱膨張率の違いからくる歪みを抑えたり、カムチェーンラインを最適化して冷間始動時の静粛性を高める、シフトドラムの回転軸をニードルベアリングにして、変速フィーリングを軽くするなど、細かな部分で改良が加えられた。

マフラーは新旧ともにダウンレイアウトと変わらず。ただし新型はヒートガードにスリットを採用し、トレール車らしい雰囲気に仕上げられている。

停車時のみロータリー式となる4段リターン式ミッションを採用。ペダルが可倒タイプなのはクロスカブならではの装備。
迷彩グラフィックを取り入れたカジュアルなメーターユニット。120km/hまで表示する


HI/LO、ホーン、ウインカーが並んだスイッチ周り。クロスカブ50とはデザイン、レイアウトが異なっている。
右手側のスイッチはセルのみとシンプルな構成。


シート下に設置された燃料タンク。シートは吸盤で固定されているので、急制動時にずれるのが少し気になるところ。
スーパーカブと同形状のリヤキャリアを装備。面積が広いので大きな荷物にも対応できる。


情報提供元:MotorFan
記事名:「 【速報・新型クロスカブ試乗】じっくり眺めて、乗ってみた/2月22日更新