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〈ブランド深掘り〉第2回 日本発だった! 世界初の組み立てホイールを生んだ名門【tanabe&SSR】


tanabe & SSR/タナベ&エスエスアール

足まわりのトータルメーカー 解体新書 連載第2回



サスペンションからホイール、マフラーにボディ補強パーツまで。足に関わる用品をここまで幅広く展開しているメーカーは、世界でも稀な存在だ。そんなタナベはどう生まれ、成長してきたのか。そのモノ作りへのこだわり、信念に迫る。


SSR/エスエスアール

自社基準による製品開発で、レーシングクオリティを実現



スプリング、マフラーといった自社生産製品で、有力メーカーとなったタナベ。2005年からは、同じくレース活動から誕生したブランドである、SSRを招聘。足まわりからマフラー、ホイールまでを一手に担う、現在の体制が整った。SSRと言えば、世界初の組み立てホイールを生んだ名門。そのこだわりを聴いた。

タナベ SSR ホイール 車高調 ブランド 組立 3ピース

マークⅠで新しい世界を創りヴィエナで時代を動かした。

SSRが生まれたのは、1971年のこと。アフターホイールすら乏しかったカスタムの黎明期に、大阪のとある鉄工所で、自身がサーキットで走るためのクルマに履かせたい、と製作されたのが世界を大きく変えた一号機、SSRマークⅠだった。


このマークⅠは世界初の組み立て3ピースホイールで、〝スピニング〞という手法が、リム製作に応用されたもの。身近なモノだとパラボラアンテナなどに用いられている。


このスピニングの技術は、SSRではいまも受け継がれていて、熟練の職人が手を入れて調整する。この製法が、軽くて強いリムを生む、現在のスピニング工法の元である。


「SSRはもともと、クルマが好きでレースも好き、だから軽いホイールを作りたい、を根本に生まれました。いまも変わらずモータースポーツ活動に携わっていることも、軽さと強さにこだわっているのも、それが根幹だから」。


マークⅠの誕生からほどなくして、マークⅡ、マークⅢという伝説的モデルが登場。その後も75年のスターメッシュ、81年のフォーミュラメッシュ、93年のGP―θと、ヒットは続く。


そのどれもがスポーティなレーシング系デザインで、SSR=レースというイメージが定着した95年に突然、転機が訪れた。


時代を大きく動かしたVIPブランド、ヴィエナの誕生である。中でも99年のヴィエナ・ディッシュの勢いは凄まじく、ヴィエナはシーンを席巻する。ここからSSRはドレスアップ路線にも本格参入。


2013年にはGTシリーズを立ち上げ、同年に現在の主力、エグゼキューターも誕生。モータースポーツ活動で得たノウハウを背骨に、モータースポーツ用ホイールと同じクオリティ、ポテンシャルを市販ホイールにも投入するという、世界でも希有なモノ作りの手法を構築することに成功した。


レース用ホイールと同等のポテンシャルを市販品にも。

SSRホイールの開発に携わるの専門職は3名。特徴的なのはその3名それぞれが、市販品も開発するし、レース用ホイールも開発するということ。


だから当然、サーキットでのテストにも立ち会うし、ドライバーやエンジニアから直接、アドバイスをもらったり注文を受けることもあるのだという。


つまり、レースからのフィードバックが、直。だからこそSSRホイールは、レース用ホイールと同等のポテンシャルを、市販用ホイールでも確実に再現できるのだ。


「レース用とできるだけ同じデザインで、強くて軽いモノを常に目指しています。プロドライバーの評価を直接聞けるというのは貴重で、まずは作って、テストで壊して、作り直してまたテスト、という具合。


軽さは燃費にも直結しますし、いったん壊すことで、どうすれば壊れないかをとことん追求できる。重要保安部品なので、やっぱり一番大事なのは安心、安全です」。


ちなみにSSRは、1ピースモデルも販売するが、特に2ピース、3ピースの組み立て式ホイールに、こだわる。なぜか。


「3ピースなら、リムとディスクとで表面処理を変えられる。バリエーションを楽しめるんですよね。それに1ピースだと、想定したクルマのためのサイズにしかならない。マルチピースは、汎用性が高いから、どんな仕様のどんなクルマにも装着できる。楽しんでもらう製品だから、マルチピースを大事にしてるんです」。


SSRの工場では、今日も熟練の職人によるスピニングでリムを成型し、手作業でマルチピースを組み付け、溶接や仕上げなどでも人の手を介す。その様子は最先端とアナログとの共演。


それらはすべて、人の目と手を介することで、決して間違いのないホイールをユーザーの手元へ届けるため。繰り返されるチェックに、信頼が透けて見えた。


株式会社タナベ ホイール製造部 開発課 小田文裕さん

企画されたデザインの設計から試作、テストまでを担当する開発エンジニア。市販品だけでなくレース用ホイールの設計、テストにも携わるSSRの心臓だ。


熟練のスタッフが、自社工場で製造・試験


ディスク加工



高い精度で鋳造された素材を、自社で1枚ずつ加工。リムが勘合する部分や裏面の精度はここが鍵。


リム成型①



リム成型は、職人が細かな調整を行なうアナログ式と、数値をプログラミングした最新式を併用。精度は極上だ。


リム成型②



アウター、インナーともにリムは社内でスピニング加工。ホイールのリム成型にこの手法を応用したのは日本初。


組立・溶接



アウターリムとインナーリム、ディスクは、人の手によってピアスボルトで組み付けられる。境界は溶接仕上げ。


耐久・衝撃試験

ホイールの試験施設はもちろん社内に併設。例えば耐久性の試験は、60万回転を丸一日続け、それを約2日間続けるというタフなもの。社内基準は日本の品質基準を大幅に上回る。


スタイルワゴン2020年5月号より



[スタイルワゴン・ドレスアップナビ]



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