CL CARSで幾度も取り上げている、ドイツ独自の旧車優遇制度「Hナンバー」。Hはドイツ語でhistolisch(歴史的な)という言葉の頭文字からきています。現在でもオリジナルの状態を残しつつ、製造から30年以上が経過したクルマを歴史的産業遺産と認定し、このナンバーが付与されたクルマは税金や保険が優遇されるという、旧車を愛する人々にとってはとてもありがたい制度です。

そんなHナンバー車、古いクルマでも構わず日常的に乗ることが好きなドイツ人ですから、大事にされているとはいえ、わりと外装が汚れていたり、ヤレていたりすることは珍しくありません。しかし一方で、「この車種のHナンバー車はいつもピカピカだなあ」と思うクルマも存在します。その代表格はポルシェ911なのですが、今回はもう一方の代表格を紹介します。ポルシェ911が西の横綱だとしたら、このクルマは東の横綱。メルセデス・ベンツSLクラスです。

メルセデス・ベンツ屈指のロングセラー

Hナンバーを掲げたこのメルセデス・ベンツSLクラスは、1971年から1989年までに製造・販売されていた3代目モデル「R107」です。エンブレムがないため搭載されたエンジンを特定することができませんが、R107は18年にわたる長い歴史の間、2.8リッターの直列6気筒エンジンから5.5リッターのV型8気筒エンジンまで、多くのバリエーションが存在しました。その中でも、5.5リッターV8を搭載する560SLについてはドイツ本国を含むヨーロッパでは販売されず、アメリカ、日本、オーストラリアでしか販売されませんでした。

そう、3代目メルセデス・ベンツSLの主戦場はアメリカだったのです。R107は18年間で23万7千台が生産されましたが、そのうちの約3分の2がアメリカの主に西海岸で販売されました。R107が登場した1971年当時は、世界的に安全性に対する意識が高まり、法規制によってそれまで生産されていたフルオープンカーが撤退を余儀なくされる苦難の時代でした。

メルセデス・ベンツはそうした流れの中でも、頑なにフルオープンにこだわり、安全性を高めるための新技術を数多く投入して、R107を完成させます。タルガ・トップのような、屋根の途中に支柱を入れることなく、フルオープンのまま新車登録できる北米唯一のクルマとして、富裕層に支持されることになるのです。

【全文を読む】

あわせて読みたいオススメ記事

情報提供元:CL
記事名:「名車のルーツはドイツの住居にあり?Hナンバーを掲げる3代目メルセデス・ベンツSLクラス(R107)を見かけて