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6月11日は、暦の上での「入梅」。「雑節」は、天文現象に基づいた暦日です


気象上の梅雨入りとは別にある、暦の上の「入梅」をご存知でしょうか。
入梅の日が重視された理由とは?
今回は、日本ならではの風土からうまれた「雑節」についてご紹介します。


日本ならではの季節の変化を反映した「雑節」

太陽黄経とは、太陽が天球上を通る経路(黄道)を等角に分割した座標のこと。スタート地点の春分点を0度として、360度に等分されています。

太陽黄経が80度となる6月11日は、暦の上での「入梅」の日です。古くは二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」に入ってから最初の壬(みずのえ)の日とされていましたが、江戸時代の「天保暦」以来、太陽の運行に基づいて入梅の日が定められました。入梅の日を知ることは、田植えに水が必要なために重要だったのです。

暦の上での「入梅」は「雑節(ざっせつ)」にあたります。日本独自の季節の変化をより的確に捉えるために、中国から伝わった「二十四節気」に加えられました。


太陽の運行が導く、暦の上での「入梅」

「雑節」は、国立天文台の「暦要項(れきようこう)」にも記載された天文現象に紐付いた暦日です。

主な雑節は、「節分」「土用」「彼岸」「八十八夜」「入梅」「半夏生」「二百十日」など。太陽黄経が当てられているのは、春土用(27度)、夏土用(117度)、秋土用(207度)、冬土用(297度)、入梅(80度)、半夏生(100度)の6節になります。

それ以外の雑節は立春に紐付いており、節分は立春の前日、田植えや茶摘みの時期を知らせる八十八夜は立春から数えて88日目、台風などの自然災害が多いとされる二百十日は立春から210日目の日が当てられています。


梅雨は梅が熟す季節。気軽に梅仕事を楽しもう

6月16日からは七十二候の「梅子黄(うめのみきばむ)」に入ります。梅の実が黄色になる頃。一説には「梅雨」は、梅の実が熟す頃の雨を意味します。7月2日は梅雨明けを控えた「半夏生」。この日は、田植えを終える目安とされていました。折々の季節の節目として重視にされてきた「雑節」には、古の人々の知恵と経験が息づいています。


1か月半ほど続く雨の季節。「入梅」は梅が色付く頃でもあります。梅雨時は、梅仕事も楽しみのひとつですね。梅干はもちろんですが、ジャムやコンポートなど、果物として気軽な梅仕事を楽しんでみてはいかがでしょうか。


・参考文献
岡田芳朗・松井吉昭著 『年中行事読本』 創元社

・参考サイト
国立天文台「暦Wiki雑節とは?」

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