多くの家族に雪上の楽しさを知ってほしいという思いから始まった雪上の親子運動会も、今年で10年目。ずっと一緒に運動会を盛り上げてくれている上村愛子さんと、ハピスノ編集長の特別対談 第二弾では、上村愛子さんに近況やスキーへの思いについて伺い、これからスキーを始める家族へのメッセージもいただきました。


子供たちにモーグルはカッコいい!と感じてほしい

ハピスノ編集長(以下、編集長) 愛子さんが選手を引退してから、早いものでもう5年が経ちましたが、いまの愛子さんの職業は何ですか?
上村愛子(以下、上村) いろいろなことをやらせていただいていますが、一言で答えるなら、やっぱり“スキーヤー”ですね。スキーが私のベースであり、一番大切に思っていることでもあります。私はコーチでも指導者でもないですが、これからもずっと“雪”とつながっていたいと思っています。
編集長 SAJ(全日本スキー連盟)がJSC(日本スポーツ振興センター)の委託を受けて実施している事業にも携わっているそうですね。例えば、具体的にどんなことをしているんですか?
上村 今季からフリースタイル競技の環境整備・改善に取り組む仕事を始めています。いま、少子化の影響もあって、残念ながらフリースタイルスキーをやる子供たちが減ってきているんですね。これはスキーに限った話ではないんですけど…。
編集長 運動神経のいい子は、いろいろな競技で取り合いになっているなんて話も聞きますよね。
上村 せっかく素質のある選手がいても、育成する環境が整っていないと、世界で戦える選手を育てられない。フリースタイルでも、育成に向けた整備の第一歩が始まったという感じです。
編集長 フリースタイルは日本人が活躍できる可能性が高い競技だと思いますし、オリンピックなど大きい大会で活躍する選手が出てくると、始める子供たちも増えますよね。
上村 そうなんです。子供たちが「カッコいい!」って思える瞬間を目に届けてあげるのが一番。私も、最初にモーグルをやってみないかと誘われたとき、「コブを滑ってジャンプをする競技」と聞いて、恐怖しか感じられず、一度はお断りしたんです。でも、その一ヶ月後のモーグルのワールドカップを見て虜になってしまって。
編集長 昨年のラグビーのワールドカップがいい例ですが、本物を見る機会って大切ですよね。子供たちが自分から「やりたい!」と思ってくれるきっかけになりますから。
上村 本当にそうだと思います。モーグルって、スキーができるようになって、その先にある競技だから、ちょっととっつきにくいんですよね。でも実際に見るとすごくカッコいい。日本にも海外にも素敵な選手がいっぱいいて、私もはじめてワールドカップを見たとき、この競技を始めたらすごく世界が広がる予感がしたんです。
編集長 その後、その通りになりましたね。これから世界で戦える選手がどんどん出てきて、それを見てスキーを始める子供が増えてくるといいですよね。


雪上の親子運動会をきっかけに最初の一歩を踏み出して

編集長 今シーズンも上村愛子さんの運動会への参戦が予定されていますが、スキー場に行こうと考えている家族や、雪上の親子運動会に参加を考えている家族の方々にメッセージをお願いします!
上村 スキー場に行くことについて、大人にとっては越えるハードルがいくつもあると思います。クルマで雪道を走ることだったり、子供のウェアをどうしようかなとか、インナーはどうしようかなとか…。でも、スキー場に行くと、すごくその時間を楽しめるようになっていて。
編集長 スキー場にいる家族って、みんないい顔をしてますもんね。
上村 だから、もし雪上の親子運動会のことを知って「こういうのがあるんだ。行ってみようかな」と少しでも思ったら、ぜひその気持ちで飛び込んできてほしいなと思います。準備は完璧でなくても、その経験は次に生かせますし、まずは最初の一歩を踏み出してほしいですね。
編集長 運動会をきっかけに、子供だけじゃなくて、以前スキーやスノーボードを楽しんだお父さん、お母さんがスキー場に戻ってきてくれるとうれしいです。
上村 そうですね。親子運動会は、絶対に子供は楽しんでくれると思いますよ! 雪上ですから転んでも痛くないですし、怖い斜面を滑ることもないですし。
編集長 負けて悔しくて泣いた子も、また次の競技があるから、閉会式のときはみんな笑顔になっていますよね。親子競技もあるから、ぜひお父さんにもがんばってほしいです。
上村 逆に親子競技で負けて、お父さんが泣いちゃった子に謝っていたりすることもありますよね(笑) そういった親子のほほえましい姿を見られることを含めて、雪上の親子運動会はすごく楽しいです。
編集長 参加してくれる家族の中には、毎年来てくださる方や、お子さんが運動会を卒業してもお手伝いに来てくださる方もいます。スタッフも毎回、楽しみながらやっているので、はじめての方にもぜひ気軽に遊びにきてほしいですね。

上村愛子
1998年長野五輪から5大会連続で五輪出場。最高位はバンクーバー五輪とソチ五輪の4位。ハピスノ編集長が前職から主催している「家族対抗!雪上運動会」には2011年3月6日に初参戦。今シーズンで記念すべき10回目を迎える。
竹川紀人
ファミリースキー関連メディアのディレクターをしてはや10数年。現在、「ハピスノ」編集長、「tenki.jp×ハピスノ」ディレクターのほか、「ぴあ こどもと遊ぼう」のスキー&アウトドアディレクターを務める。2児の父。