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七十二候≪水始涸(みず はじめてかる)≫日本人とお米のうるわしく、愛おしい関係!


金色の秋です。二十四節気「秋分」の末候「水始涸(みずはじめてかる)」。田んぼの水が抜かれ、いよいよ収穫です! 日本人の生活や文化、さらには人となりにも大きく関わっているという特別な作物・お米。飽食の時代にあっても「最後の晩餐には、やっぱり炊きたてのごはんが食べたい…」という方も多いのではないでしょうか。ところで、みなさまは1日にどれくらいのお米を召し上がっていますか? 宮沢賢治は『雨ニモマケズ』で、「1日に玄米4合」を食べると言っています。ま、まさかこれって…1人ぶん⁉︎

お米、食べてますか〜!

お米、食べてますか〜!


日本人は、縄文時代からず〜っとお米を食べて暮らしてきたようです!

日本人は、なんと縄文時代にはもうお米を作って食べていたらしいのです。弥生時代、画期的な水田稲作が九州の北部に伝わると、すぐさま本州最北端の青森県にまで到達したのだとか。このときすでに日本人は、お米にハートを鷲づかみされていたのですね!

地球の中緯度に位置し、温暖で四季のはっきりした日本列島は、お米(イネ)がすくすく育つのにピッタリ。人々は、1年間の季節変化に合わせ、心をこめてお世話します。そしてお米は育ちながら、人々に自然界のいとなみを知らせてくれます。四季折々の美しさや、集う楽しみも。秋になれば、たわわに実った穂が一斉に頭を垂れて「ありがとう」。…ああ、なんという愛おしさ! 1種類の作物とひとつの民族が、こんなにも親密になれるなんて。「イネは神さまが特別に日本人に授けた作物」という、人智を超えた恵みの存在を感じてしまいませんか?

実る稲穂で金色に染まった風景を思うと、なぜだか懐かしい。実際は生まれも育ちも都会なのに?…もしかすると、それは何千年ものあいだ日本人がともに記憶してきた「秋の風景」を、生まれながらにおぼえているからかもしれませんね。


瑞穂の国。日本人特有のこんな性質は「ごはん」でつくられていた⁉︎

そんな日本は、古代から「瑞穂(みずほ)の国」と呼ばれていました。瑞穂とは、みずみずしい稲穂のこと。お米を育て、お米を食べて健康を保ち、長生きする国、という意味なのだそうです。

祈りも祭りも、日本の伝統行事の多くがお米づくりにかかわっています。殿様の豊かさも、お米で表現。そんな文化的・社会的な意味だけでなく、人の性質そのものもお米がつくっているらしい⁉︎

日本人のもつ独特の協調性は、古代から続くお米づくりなどの農作業によって育まれた情緒ともいわれています。また、開墾の上下運動による「縦ノリ」は、音楽などのリズム感にも影響しているのだとか…。さらに、淡白なお米そのものを味わうことができる味覚の繊細さは、多方面の美的センスにつながっているといいます。現代人のみなさまにも「そのDNA、受け継がれてるかも」と思い当たる場面が、ありますでしょうか?


「1日に玄米4合」は多すぎ? ごはん・味噌汁・漬物さえあれば◎

ところで、1日にどれくらいのお米を召し上がっていますか? 国語の教材でもおなじみの宮沢賢治『雨ニモマケズ』のなかには、「一日ニ玄米四合ト/味噌ト少シノ野菜ヲタベ」という一節が。お米を4合…量的には、今なら「朝炊いておく家族みんなのごはん」ぶんくらいありそうですが…。

『雨ニモマケズ』は、賢治が亡くなってから発見された手帳に書かれていたメモ(本人に発表するつもりはなかったらしい)です。そんな閉ざされた場で、「そういう者に私はなりたい」と個人的な願望を綴っているところに、いきなり家庭の炊飯量を書き記すとはもちろん思えません。それに賢治は、飢饉に苦しむ東北のため、冷害に強い稲の研究などにも尽力した農学者でもありましたから、食には常識的だったはず…。お米1合を炊飯すると、大盛りごはんパック1個くらい(約330g)になります。それを4つ、3回に分けて食べると考えると、力仕事をしている男性にはむしろ少ないくらいの量だったようです。そして当時の日本人は、ほぼ「ごはんだけ」で食事していました。玄米は、ビタミンやミネラル、食物繊維などの摂取も考えてのことだったかもしれません。

家でごはんを炊かない家庭も増えている一方で、健康ブームにより玄米食の人気が高まりつつある、現代。玄米は保育園などの食育にも取り入れられています。いまは、食の選択肢がたくさんあって、主食にお米を食べなくてもべつに困りません。けれど、パンやパスタを食べるときでさえ、日本人はその食事を「ごはん」と呼び、海外で過ごすとお米が恋しくなってしまうのです。ごはんと味噌汁と野菜の漬物が少しあれば、どんな国のおかずも「和定食」! 口の中で味を調整できる、やさしいごはんと一緒なら、安心して冒険できますね。ごはんのもつそんな懐の深さが、日本人の食のバラエティや長寿をつくってきたのではないでしょうか。

新米を炊いたら、ごはんそのものの香りや甘さもたっぷりと楽しみたいですね! 人とお米の、何千年もの蜜月に思いを馳せながら。

<参考>

『日本人と自然のいとなみ』国立科学博物館 展示資料

『図説 宮沢賢治』上田哲・関山房兵・大矢邦宣・池野正樹 編(河出書房新社)

『米の力 雑穀の力』永山久夫(家の光協会)

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