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あなたの隣の異世界住人?8月13日は「国際左利きの日」


世界には現在、約70億の人類が生きていますが、そのうちの大多数は右手で文字を書き、道具を使う「右利き」です。そして、全人類の10%前後が左手を主に使う「左利き」。圧倒的多数派の右利きに便利であるように道具や習慣が作られているため、左利きはいわば異世界から来て不便を強いられているマイノリティともいえます。

そんな左利きの人たちにも安全に使える道具の開発と普及、認知をメーカーに提唱することを目的にして制定されたのが「国際左利きの日」(International Lefthanders Day)です。


まさに俗説・都市伝説の玉手箱やー!左利きをめぐる偏見と買いかぶり

右利きの人が普段の生活で自然に使いこなしている便利な道具の数々も、当たり前と思っている風習も、利き手が逆の左利きの人たちにとってはいちいち使いづらいものと感じられています。まず、文字を書くという行為が、文字そのものが右手でスムースに書けるように作られているために書きづらい。はさみ、カッター、缶切り、急須などの日用道具類から、カメラ、電話機、パソコンなどの電化製品、胸ポケットの位置や腕時計のねじ巻きなどの服飾品、ATMや改札のタッチパネル、テーブルの食器類の位置、左胸につける名札がつけづらいなどの生活習慣やインフラ上の不便、ひとつひとつは些細なことでも、積み重なることでけっこうなストレスになることもしばしば。また、警察官や消防士の装備類の右利き仕様一択や楽器やスポーツ用具類の数の少なさや教則本の読みづらさなど、職業や学習の場での不便は、かなり大きな差別問題につながる可能性のあるものもあります。

かく言う筆者も生粋の左利きですが、なかなかこの不便さというのは、右利きの人にはわからないだろうなあ…とかんじている一人です。

一方で、希少な存在である分、珍しがられたり面白がられたり、変にあこがれや幻想を抱かれやすい存在でもあるのが左利き。

「左利きは天才である」とか「左利きは芸術的才能がある」というのは、左利きをめぐる典型的で古典的な幻想、俗説ですよね。これは、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロというルネッサンスの三大芸術家がそろって左利きだったことが強い印象を与えるためでしょう。また、なぜかは不明ですが、近年のアメリカ大統領に左利きが多いこと(フォード、レーガン、ブッシュシニア、クリントン、オバマ)も、「左利き優秀」説を印象付けているかもしれません。

けれども言うまでもなく、どんなジャンルでも右利きの天才はいますし、左利きよりもその数は分母の大きさに応じて多いのが事実。左利きだから必ず特殊な能力に恵まれている、というわけではないのは言うまでもありません。

また、それとまったく逆に、左利きは先天的な異常だとか劣性遺伝子の発現だとか、失語症が多いとか、障害の一種だというような、偏見や蔑みも未だに多く残ります。

それもこれも、なぜ左利きは発現するのか、裏を返せばどうして人間は右利きが多いのか、という問題が、今もなお謎のままだからです。

投手も左利きは希少ですね

投手も左利きは希少ですね


動物にも利き手があった!しかもなんと…

人間は生まれたときには既に利き手を持って生まれてきます。なぜ右利きが圧倒的に多いのか、どうして半々ではないのか、それについては数多くの仮説が立てられています。たとえば昔から言われているのは、「人間の心臓は左にあるので、左手で盾を持ち心臓を庇い、右手で武器を持ち戦ったから右利きが多い」というもの。しかし、そもそも心臓は左胸ではなく、胸のほぼ真ん中、やや左寄りにあるに過ぎません。それに、右側の背中には肝臓があり、ここを打たれると人間は悶絶します。右半身を守ることも大切なはず。戦いのために右利きが多くなった、という仮説は今では否定されています。

近年脳の働きに関する研究が徐々に進み、脳の左半球と右半球の役割分担の違いがあることが明らかになってきました。これは人間だけではなく、他の動物にも当てはまる傾向です。脳の神経は首の部分でクロスしており、右半球の脳は左半身と密接につながり、左半球の脳は右半身と密接につながっています。右脳=クリエイティブな感覚に優れる/左脳=論理や言語能力に優れる、という、よく聞く「脳科学」の俗説の出所もここですが、事実はそんな単純なものではありません。

右脳が担当するのは全体視野、といわれるものです。たとえば一頭のガゼルがサバンナでたたずんでいます。ガゼルは、どこかに潜んで狙っているかもしれない捕食者のライオンを、広大なサバンナの中から探知しなければなりません。全体の中にあるわずかな変化、不審を瞬時に察知する直観能力が求められます。「あそこの草むらが怪しい」と一点を凝視していたら、たちまち背後から襲われることになるわけです。

一方左脳は、目の前の狭い視野、部分視野を担っています。「あそこにうまそうなたべものがある」とか「これは腐ってないか、食べて安全か」などの細かい情報を集中して探知する能力を担当しています。ここでは、全体を見渡す広く漠然とした情報ではなく、一点に関する詳細でクリアーな情報を処理し、認知します。したがって人間が言語能力を獲得した際、細かい情報をやり取りする「言葉」というものが、細かい情報を担当する左脳に主に振り分けられたのも、そのせいだろうと思われます。

これらの脳の機能の分担の違いは、身体の使い方に現れます。つまり、危険や予期せぬ非常事態への対応をとっさに取るとき、動物は主に左半身を主導にしてアクションをするのです。右半身は緊急事態ではない日常レベル、通常モードの生活のときに主導的な役割を果たします。

猫の前足にも利き手の傾向があり、特に去勢していないオスネコは左利きが圧倒的に多いのだとか。ところが去勢をすると、顕著な利き手の傾向は消えうせ、概ね左右半々になるのだとか。これは、オスネコではオス同士の戦いという緊急事態に、左半身が主導的役割を果たし、猫パンチを主に左で繰り出している、ということなのでしょう。

人間に近い猿の仲間にも利き手があります。ニホンザルの利き手については、複数の研究結果がありますが、総体的に左利きが多い、という結果が出ています。

二本足で立つカンガルーの利き手も、左利きが圧倒的に多いという研究結果があります。これは有袋類であるカンガルーにとって、片手を子供をかばうことや抱えることに使わないために、攻撃や防御に使う左前足の機能が、より優先的に発達したためでしょう。

一方チンパンジーは、約6割程度が右利きで、人間と同様右利きがやや優勢です。これは、チンパンジーも比較的細かく手先を使ったり、子供や互いの世話をする生態と対応しているのかもしれません。一方、単独生活が主体であるオランウータンは左利きが多いようです。

こうして動物全体の傾向を見ますと、どうも動物界はやや左利きが優位、という傾向にあるようです。

ネコパンチ

ネコパンチ


ではなぜ人類は右利き優勢に?

このように見ていきますと、あれ?それなら人間にも左利きが多い傾向が出てくるんじゃないか?と思われるかもしれません。しかし、人類は既にアフリカのタンザニアで見つかった約180万年前の初期人類ホモ・ハビリスの化石から、右利きが多かったという痕跡が見つかっています。人間は言語能力を発達させたので左脳の機能が優勢になったのではないか、という説もありますが、左脳が右脳に比べて人間は顕著に発達しているということはなく、左脳と右脳のバランスは取れています。

人間に右利きが多いのは、人間が細かい手作業を行うこと、そして手作業で作った道具(槍や斧)で狩りをするようになったからなのではないでしょうか。細かい手作業は自然と右手の使用を多くさせます。そしてその武器を持ち、獲物である動物に向き合います。すると動物は危険回避モードで左半身を向けて防御体制に入るでしょう。そのとき、やりや斧を打ち込みやすいのは、右側から獲物の左側に打ち込むほうが、より的に当てやすく攻撃しやすいことになります。これが、人間が右利きが多くなった理由ではないでしょうか。道具を作ることにより、右手が依り器用に使えるようになり、左半身を向けて回避や攻撃に入る動物に、右手側からの攻撃がより効果的となる。この相乗効果で、人間には右利きが圧倒的に多くなったが、本来動物がより自然に使用する左半身優位の遺伝子も継承されて、そのため左利きも一定数生まれてくる、ということなのかもしれません。

と言っても、です。たとえばギターを弾く際、利き手側が爪弾き、逆の手でコードを押さえます。これは、より複雑な作業であるコード進行は逆の手で、利き手がやってるのは、弦を同じ場所でピンピン爪弾く、比較的単純な作業ですよね。

果物をむく場合も同じです。ナイフを持った利き手は同じ位置と角度を保つことに専念し、微妙に角度をあわせながら果物の本体をまわしているのは逆のほうの手です。あまり使っていないはずの利き手ではない手が、実は無意識レベルでは非常に細かい繊細な作業をしているわけですね。両手の連携の妙、というのも、利き手問題と同様に不思議なものだと思いませんか?

数で圧倒的な右利き中心の社会を変えるということは無理でしょうが、少なくとも学校や職場の作業や勉強で、左利きが不利になることのないような配慮は求めたいものです。「左利きの日」に、右利きの人が左利き用の道具をちょっと試してみるというのも興味深い体験になるのではないでしょうか。

(参考)

カンガルーは左利き、有袋類の利き手研究

Famous Left-Handers(著名な左利きの人物):http://www.indiana.edu/~primate/left.html

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