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大谷翔平、切り開いた本塁打打者の境地 メジャー挑戦元年からのコメント変遷に進化が表れていた


ドジャース対メッツ 3回裏ドジャース1死一塁、右越えに176号2点本塁打を放つ大谷(撮影・菅敏)

ドジャース大谷翔平投手(29)は日本人でホームラン打者としての境地を切り開いた。担当記者が追ってきたメジャー挑戦元年からのコメントの変遷に、進化が表れている。

   ◇   ◇   ◇

メジャー挑戦から数年たち、技術の向上とともに大谷の意識は変わった。今でこそ、カウントや状況に応じて本塁打を狙える能力が身についたが、6年前、本塁打は“副産物”だった。18年4月6日、メジャー1号から3戦連発を放った際に、二塁打を基本とした打撃スタイルを強調した。

「僕自身はあんまりホームランを狙って打つという感覚は持っていない。しっかりとツーベースを基準にして、その延長線でホームランになったりとか、打ち損じがヒットであったりっていう考え方なので」

同年9月5日、2試合連発、1試合2本塁打をマーク。それでも「まだいっぱい本塁打を打てる確率は自分的には高くない打ち方だと思っている」と言った。

1年目では日本人最多となる22本塁打を放った。長打力を証明し、ファンやチームから本塁打への期待が高まったが、打撃スタイルはさほど変わらなかった。19年6月、絶好調で日本人初となるサイクル安打を達成。その時期ですら、二塁打の優先度が高かった。

「本塁打よりも二塁打の方が、率的に残る確率が高いので、その中で本塁打になる打席はあっていい」

一方で、ふがいなさを感じることも多々あった。19年シーズンの夏場、73打席ノーアーチが続いた。周囲から身に染みて感じる本塁打への期待。「ヒットは打っているけど、なんでホームランが打てないのかなというのはあると思うので、求められているところでしっかり仕事をしたい」。

求められる仕事の選択肢に、本塁打が加わった。すると、技術に関する大谷のコメントも変わってきた。20年3月のキャンプ。

「紙一重ですね。(バットがボールの)上に当たるか、下に当たるかで、セカンドゴロになるか、センターにホームランになるか、やっぱり変わってくる」

理想のイメージで、明確に“ホームラン”と口にし始めた。アオダモからバーチ素材(現在はメープル)のバットに変更し、46本塁打を放った翌21年、さらに意識は強くなった。

「フィジカルも強くなっていますし、どんなバットでも芯付近に当たれば、ホームランにできるのではないかなという自信があるので、その分、率(打率)寄りのバットになっている」

「数多く打つタイプではない」と言っていた時期から3年、21年6月に自身最多の月間13本塁打を量産(23年6月に15本塁打で更新)。並べる言葉にしても、本物のホームラン打者のメンタリティになった。

「基本的には、常に試合でもホームランになるスイングはしているので、状況に応じてカウントによっても、もちろん変えるんですけど、普段通りの打ち方をすれば、ホームランになるのかなとは思う」

21年シーズン終盤は、本塁打王のタイトルを意識して狙いにいった。22年シーズンは、「3割近く打てるようなイメージで行こうと思ってたので、その中でホームランがどれだけ出るのかが1つ、チャレンジではありました」と、打率との両立を掲げていた。

飛ぶボール、飛ばないボールなどMLBは適宜“調整”を行い、野球そのものも変化してきた。「スピンの利いたような打球に関しては、飛ばない印象が強かった」と違和感を明かした一昨年、「もうひと伸びするフィジカルだったり、スイングの強さがあれば、もっともっといい数字が残った」と、さらなる技術と肉体強化を自らに課した。

昨季、前年を上回る44発で日本人初の本塁打王に輝いた。データ解析の進歩でスピードやパワーが向上し、野球自体のスタイルも変わっていった。期待に応え、時代の潮流を上回る早さで先を読み、工夫と自己分析を重ねてきた大谷。チームに求められ、ファンに期待され、理想の野球道も追究する。そして、日本人の歴史を刻むホームラン打者が生まれた。【斎藤庸裕】

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