体性幹細胞再生医薬品HLCM051の日本のARDSを対象とする治験へのCOVID-19肺炎由来ARDS患者組入れのお知らせ
株式会社ヘリオス
体性幹細胞再生医薬品HLCM051の
日本における急性呼吸窮迫症候群を対象とする治験(ONE-BRIDGE試験)
COVID-19肺炎由来のARDS患者の組入れに関するお知らせ
当社は現在、日本国内にて体性幹細胞再生医薬品HLCM051*1を用いて、脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)※2を対象とした治験を実施しております。ARDSに対する治療法の開発においては、肺炎を原因としたARDS患者を対象とした、有効性及び安全性を検討する第Ⅱ相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を実施しており、組入れは順調に進んでいます。
2020年3月26日にお知らせいたしました通り、当社は新型コロナウイルス(COVID-19)肺炎由来のARDS患者の組入れに関して、専門医師及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を進めてまいりました。今般、ONE-BRIDGE試験のプロトコルを変更し、当該患者の組入れを開始することになりましたため、お知らせいたします。
ONE-BRIDGE試験は、肺炎を原因疾患とするARDS患者に対してHLCM051の有効性及び安全性を検討するものであり、非盲検下で、標準治療を対照として実施しております。これまで30名を対象に患者組入れを行ってまいりましたが、あらたに同一試験内に評価対象群(コホート)を追加し、COVID-19由来の肺炎を原因疾患とするARDS患者約5名を症例として組入れ、安全性の検討を行います。
なお、今回追加するCOVID-19由来症例を対象とした約5症例の集積は、現在実施中である30症例とは区別して行う計画であり、今回あらたにコホートを追加することによる従来実施してきた治験進捗への影響はございません。
概要は以下の通りです。
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M105883/202004138966/_prw_PT1fl_h9283DsQ.png】
以上
*1 HLCM051
HLCM051は、日本国内における体性幹細胞再生医薬品の開発パイプラインです。当社は2016年1月に、米国のバイオベンチャー企業Athersys, Inc.と、同社の開発する幹細胞製品MultiStem®を用いた脳梗塞に対する再生医療等製品の国内での開発・販売に関する独占的なライセンス契約を締結し、本パイプラインを導入いたしました。さらに2018年6月に同社との提携を拡大したことにより、日本における急性呼吸窮迫症候群に対する開発・販売ライセンスを取得し、開発を開始いたしました。
*2 ARDS
ARDSは、単一の疾患ではなく、基礎疾患や外傷等によって好中球等の免疫系が過剰に誘発され、炎症を起こすことにより肺が傷害を受け肺水腫となり、その結果、重度の呼吸不全となる症状の総称です。ARDS診療ガイドラインによると、死亡率は30~58%と予後が非常に悪い病気です。ARDSに対する治療として、集中治療室で人工呼吸器を用いた呼吸管理を中心とする全身管理が行われます。
今回、武漢における新型コロナウイルス(COVID-19)の初期症例群に関して発表されたデータでも、入院した患者のうち31~41.8%の割合でARDSを発症、また死亡例ではARDS合併が54~93%確認されており※1※2、重症患者におけるARDS治療の必要性は非常に高い状況です。
※1 Zhou F, et al. Lancet. 2020 Mar 11. pii: S0140-6736(20)30566-3
※2 Wu C , et al. JAMA Intern Med. 2020 Mar 13. doi: 10.1001
(注)上記の2つの論文は初期の患者さんにおける報告であり、現在の各国の状況によりARDSの発症率・死亡率については変動があると予測されます。
■ヘリオスについて
再生医療は、世界中の難治性疾患の罹患者に対する新たな治療法として期待されている分野であり、製品開発・実用化へ向けた取り組みが広がり、近い将来大きな市場となることが見込まれています。ヘリオスは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)等を用いた再生医薬品開発のフロントランナーであり、実用化の可能性のあるパイプラインを複数保有するバイオテクノロジー企業です。2011年に設立、2015年に株式上場(東証マザーズ:4593)し、再生医薬品の実用化を目指して研究開発を進めていています。日本国内において、2017年より開始した、体性幹細胞再生医薬品を用いて脳梗塞急性期を対象疾患にした臨床試験に加え、2019年4月より同製品を用いたARDS(Acute Respiratory Distress Syndrome:急性呼吸窮迫症候群)に関する治験を実施しています。また、臓器原基(臓器の基となる細胞)を移植することによって、体内で欠損した機能を補う臓器原基の治療法など、iPS細胞技術を用いた新たな治療薬の創出のための取り組みも進めています。
(詳細は https://www.healios.co.jp/ をご覧ください)
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