2019年6月12日

株式会社松永製作所

俊敏性向上と手首・腕への負担軽減を図るため、
フレームにカーボンを使用し軽量化と剛性の最適化を図ったパラバド車いす
東レ・カーボンマジック㈱、㈱ブリヂストンらと組み共同開発

株式会社松永製作所(代表取締役社長 松永紀之)は日本障がい者バドミントン連盟(理
事長 平野一美)に所属する強化指定選手の協力を得て最新型バドミントン車いすの研究
開発を行って参りました。この度、評価用試作機を選手らに試乗頂き実践での評価を実施
することになりました。
これまで弊社のバドミントン車いすはフレームの素材にアルミを使用してきました。しか
し、車いすバドミントン競技では前後に小刻みなダッシュ&ゴーが要求されるため、腕や
手首への負担が大きくなります。そこで選手からは車いすの軽量化ニーズが強く求められ
てきました。今回開発中の製品はフレームの素材にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を
使用し、軽量化と剛性(捻じれの力に耐える性質)の最適化を模索するかたちで取組んで
いるものです。競技用車いすにCFRPが採用されるのは陸上競技など他の一部の競技では既
に見られますがバドミントンではCFRPをフレーム全体に使用した車いすは世界初となりま
す。今回評価する車いすは試作段階であり、今後代表選手に試乗して頂きながら、改善点
の指摘を受け開発にフィードバックしていくことで完成を目指して参ります。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201906047162-O1-O8CKm3GX

【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201906047162-O2-0702h7KH

■開発の経緯
2020年のパラリンピック東京大会では、パラバドミントンが初の正式種目として採用が決
まったことをきっかけに、連盟に登録する選手の意気込みも一変しました。
選手の軽量化への要望を叶えるために、弊社スポーツ車いす開発室リーダーの神保康広が、
経営陣、開発チームなど社内を説得。世界最強の車いすを作るために後述する、外部の技
術パートナーともコンソーシアムを結成しました。また東京都中小企業振興公社が実施す
る『平成29年度次世代イノベーション創出プロジェクト2020助成事業』に「世界で勝ち抜
くパラバドミントン車いすの開発」を応募したところ2018年2月に採択が決定され、開発
プロジェクトが立ち上げられました。

■最新型カーボン製パラバドミントン車いすの特徴
今回開発を行っているパラバドミントン車いすの最も特徴的な性能は従来型の弊社アルミ
製に比べ20%以上の軽量化を目指しています。軽量化の一方で強度はCFRPの積層方法の工
夫によりXYZの3軸全ての方向で従来よりも高く(たわみ変化量が少ない)仕上がる予定で
す。
カーボンの最大のメリットは従来素材と比べて強度を確保したまま軽量化できることです
が、整形型を作ってから型に炭素繊維を巻いて製作するという工法上、1つの型で1つの
パターンのサイズしか作れないという課題があります。今回の開発では1つの型でも座幅
や座面高などの変更が可能で、選手個別のセッティングに対応したフレームを作ることが
できます。これらの汎用性については、商品化を考えるうえでも重要な要素となってきま
す。
また、軽量化以外ではシートの安定性・安全性の向上も目指します。これは3Dスキャン
を使い選手の体型に合わせたシート形状に削り出したシートにより選手の通常ポジション
時の姿勢保持をし易くすることと、臀部とシートとの摩擦を減らし褥瘡防止につなげる技
術開発となります。

■コンソーシアム
今回の開発には素材メーカーやスポーツ用品メーカー、福祉装具メーカーなどモノづくり
の会社の他、デザイン会社、市場調査会社などと連携、英知を結集して開発を進めており
ます。
主なコンソーシアムのメンバー (①企業・団体名 ②代表者 ③事業内容 ④コンソー
シアムでの役割)

①東レ・カーボンマジック㈱
②代表取締役社長 奥 明栄
③炭素繊維複合材料を使ったカーボンコンポジット製品の設計・解析・製造
④カーボンフレームの開発・試作

①㈱ブリジストン
②代表執行役CEO 津谷 正明
③タイヤ、スポーツ用品、自転車等の製造・販売
④座・背シートの研究開発

①㈱アシスト
②代表取締役 村上 潤
③座位保持装置、補装具部品の開発・製造・販売
④座シートの開発・試作

①㈱ティーディーシー
②代表取締役社長 金井 宏水
③工業製品のデザイン受託業務
④シートの研究開発・試作

①㈱ディマンドクリエイション
②代表取締役社長 大脇 清太郎
③市場調査、コンサルティング業務
④試作機の試乗評価、仕様要件の調査、レギュレーション・世界市場の調査


■スポーツ車いす開発への取組と開発思想
弊社がスポーツ車いすの開発にこれまで以上に注力している理由には、障がい者のスポー
ツ参加の裾野を拡げることに加え、過酷な競技用として確立された技術を日常用車いすに
転用し総合的な製品力の向上につなげていくことにあります。
2018年8月にはイギリス車いすバスケットボール代表チーム(British Wheelchair
basketball)とオフィシャルサプライヤー契約を締結し、欧州市場への販路拡大を進めて
いくきっかけになりました。
また大田区とのコラボレーション事業では、スポーツ車いすの研究開発を行うなど東京都
のみならず志を同じくする企業等と積極的に連携して研究開発を行って参ります。
当社スポーツ車いすのブランドであるMPシリーズは、すでにバスケット、バドミントン、
テニス、ソフトボール用のスポーツ車いすをラインナップしております。スポーツ開発室
の神保康広は自身も元車いすバスケットボール日本代表選手として、1992年バルセロナ大
会から連続4大会に渡り出場した経験から、ユーザー目線でのものづくりに徹底的にこだ
わっています。選手が表現しづらい微妙なニュアンスを汲み取りベストな製品づくりに日々
奮闘しています。
スポーツ車いすの事業は製品の品質・性能もさることながら、メカニックの存在も重要と
なってきます。当社製造部所属の上野正雄は、一般社団法人日本車いすバスケットボール
連盟の専属メカニックとして大会に帯同していますが、試合中のトラブルに対応はもちろ
んのこと、トラブル自体を未然に防ぐべく、予防の観点で日ごろからあらゆる対策やメン
テナンスを実施しています。こうした取組が海を越えて、海外で活躍しているパラアスリー
トの目にとまり、各方面でご評価を頂けるまでに成長して参りました。
パラスポーツの用具の多くは、使う方の体調や身体状況に合わせた物つくりが求められま
す。弊社の開発思想は軽量化などの技術開発によって得られた要素を活かし、セミアジャ
スタブル(各部の微調整を可能とし、選手にベストポジションを提供する)機能に還元し、
総合的に選手の力が最大限発揮できるスポーツ車いすの開発を目指しています。

情報提供元:PRワイヤー
記事名:「世界初カーボン製パラバドミントン車いすを日本代表選手らと研究開発