2019年5月15日

花王株式会社

「しなやかな髪質を実現する改質技術の開発」が
SCCJジャーナル第20回2019年度優秀論文賞を受賞

花王株式会社(社長・澤田道隆)ヘアケア研究所が投稿した論文※1が、SCCJ※2ジャーナル第20回2019年度優秀論文賞※3を受賞し、2019年5月14日、パシフィコ横浜(神奈川県)で開催された2019年度(第59回)SCCJ総会にて表彰を受けました。
この研究は、日本人女性の理想の髪質の1つである「しなやかな髪質」に着目したものです。「髪のしなやかな動きのある美しさ」の要因の1つは、「表層は柔らかく内部は弾力がある二層状態の物理的性質を持つこと」であると解明※4。さらに、しなやかな髪質に近づける1つの方法として、毛髪表層を選択的に柔らかくすることで二層状態の物性に導く技術を開発し、報告しています。

※1 「しなやかな髪の力学特性とそれを実現する毛髪精密改質技術の開発」 2017年6月掲載
※2  SCCJ(日本化粧品技術者会)は、皮膚科学、乳化・分散技術、製造技術、香料・原材料開発、容器開発、製品の有用性の   評価など、化粧品にかかわるさまざまな技術をトータルに扱う学術団体です。化粧品に関わる最先端の研究や技術、知識・情報を提供、議論する場として、研究討論会やセミナーの実施、ジャーナル誌の発行を行なっています。
※3 SCCJが、SCCJジャーナルに掲載された研究論文の中から2年に一度、優秀論文を選出し表彰するもの
※4 2015年8月4日 花王ニュースリリース https://www.kao.com/jp/corporate/news/2015/20150804_001/


<受賞論文の概要>

【髪の「しなやかさ」を科学する】
「理想の髪質」については、つや・まとまり・感触など、さまざまな視点で研究が行なわれています。花王では1975年以降、約40年にわたり、10代~60代の日本人女性の髪質実態調査※5を実施していますが、本研究では、「しなやかさ」という動きをともなう美しさに着目しました。
しなやかな髪は、例えば頭を動かしたときに、髪が流体のように連続的・曲線的に変形できる「柔らかさ」と、乱れても元の形状に戻る「弾力」を兼ね備えた物性を示します。そこで、この相反する「柔らかさ」と「弾力」を同時に満たすためには、毛髪を異なる構造・物性の材料を組み合わせた「複合材料」としてとらえることが重要ではないかと考えました。
※5 研究員(美容師を含む)による、髪のお手入れ・意識実態、及び、毛髪径・硬さ・ダメージなどの物性測定を含む髪質調査


【しなやかな髪は、表層は柔らかく、内部は弾力がある二層状態】
「しなやかな髪質」の毛髪にはどのような特徴があるのかを探るため、化学処理などのダメージのない10人の毛髪を用いて、その内部構造を詳細に解析しました。毛髪断面を蛍光染料による染め分け技術を駆使して観察した結果、「しなやかな髪質」の毛髪では、表層付近にはケラチン繊維がらせん状に配列したオルト様コルテックス※6、内部にはケラチン繊維が毛髪に平行に配列したパラ様コルテックスが多く確認されました(図1)。パラ様コルテックスの方がオルト様コルテックスよりも弾性率が高いことが知られているため、しなやかな髪質の本質は「表層は柔らかく内部は弾力がある二層状態の物理的性質を持つこと」であると考えました。


【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201905096145-O3-7hxeQ1KS

そこでさらに、化学処理などのダメージのある毛髪にまで範囲を広げて検証した結果、しなやかな髪質の毛髪の方が、表層は柔らかく内部は弾力があるというはっきりとした物性差があることを見出しました。
※6 コルテックスは、毛髪を構成する3つの部位のうちの1つで、しなやかさ・形・色・太さなどの性質に寄与する。毛髪全体の約85%を占める。

【しなやかな髪質の美しい髪へ】
花王は、表層は柔らかく内部は弾力があるという明確な物性差のある毛髪に導くことをめざし、毛髪を二層状態の物性に導くための基剤を探索しました。
これまでの研究の知見から、有機酸を中心に検討した結果、「コハク酸」で毛髪を処理することで毛髪表層を選択的に柔らかくすることができることを見出しました。「コハク酸」は、毛髪タンパク質との相互作用性から表層に留まりやすい性質があることから、表層のみに作用して選択的に柔らかくできたと考えられます(図2)。


【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201905096145-O2-We5cF2b6

【「理想の髪質」を追究する花王の毛髪研究】
髪質は遺伝などにより人それぞれで異なり、さらに同じ人でも、毎日の洗髪・ヘアケア行動などの外的ストレスや、ホルモン・加齢などの内的ストレスによって変化します。また、人種によって髪の形状は大きく異なり、理想とされる髪質も大きく変化します。花王は今後も、髪の本質を追究する研究に注力すると共に、もとの髪質・形状によらず、誰もがその人にとっての理想の髪質を実感できるようになるための技術についても研究知見を積み重ねていきます。

情報提供元:PRワイヤー
記事名:「「しなやかな髪質を実現する改質技術の開発」がSCCJジャーナル第20回2019年度優秀論文賞を受賞