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世界初 手首だけで1拍ごとの血圧値を連続で測定する技術を開発


2016年4月18日



オムロン ヘルスケア株式会社



世界初 

手首だけで1拍ごとの血圧値を連続で測定する技術を開発



オムロン ヘルスケア株式会社(本社所在地:京都府向日市、代表取締役社長:荻野 勲)は、オムロン独自の圧力センサが、橈骨動脈に平らに圧をかけ、手首に機器をつけるだけで心臓の拍動の1拍ごとの血圧を測る、連続血圧測定技術を世界で初めて開発しました。



当社は、「地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献」をミッションに、「血圧は病院ではかるもの」が常識であった1970年代から、家庭での血圧測定を提案し、家庭での血圧管理を医療関係者の方々とともに根付かせてきました。現在は、世界110ヶ国以上で家庭用血圧計を販売しています。しかし、高血圧の重症化に伴う脳卒中や心筋梗塞などの脳・心血管疾患は依然として高い確率で発症しており、日本における要介護の原因疾患の第一位で22%と全体の1/4を占めています*1。要介護は患者やその家族の生活の質(QOL)を低下させるばかりか、医療費の高騰にもつながります。



この社会的課題に対して、当社は「脳・心血管疾患の発症をゼロにする」という新たな挑戦を始めました。



心臓は1日に10万回程度拍動し、1拍ごとに血圧は変動します。この中で、夜間や早朝の高血圧や急激な血圧変動は脳・心血管疾患の発症リスクを高めることが指摘されています。しかし、現在ほとんどの家庭用血圧計で採用されている血圧測定方式のオシロメトリック法*2は、カフで上腕や手首の血管全体を圧迫し血流を一時止める必要があり、負荷なく、連続して血圧を測ることはできないため、リスクの高い急激な血圧変動を捉えることができません。



当社では、脳・心血管疾患の発症ゼロを実現するには、連続して血圧を測定することでリスクの高い血圧変動を捉え、脳・心血管疾患の発症リスクを予測し、疾患の発症を未然に予防することが重要と考え、1拍ごとの血圧測定の実現に取り組んできました。そしてこの度、トノメトリ法*3を使って、世界で初めて、手首に機器をつけるだけで簡単に1拍ごとの血圧を測定することができる技術を開発しました。



トノメトリ法とは、手首の体表近くにある橈骨(とうこつ)動脈に圧力センサを平らに押し当てて、1拍ごとの血圧を測定する血圧測定方法です。しかし、従来のトノメトリ法では、手首でとらえた1拍ごとの血圧値と、上腕で測った血圧値を照らし合わせる必要があり、大型の機器を使った複雑な測定となっていました。



当社では、オムロンのコアコンピタンスである半導体、MEMS(微細加工技術)、集積回路といったセンシング技術と、長年培ってきた血圧測定ノウハウを集結し、手首に機器をつけるだけで1拍ごとの血圧を測るため、46個のセンサを1列に並べた独自の圧力センサをオムロン株式会社と共同で開発しました。

さらに、センサが正しく血管を圧迫しているかを検知し、自動的にセンサの角度を調整する機構を構築。手首につける機器のみで、簡単に1拍ごとの血圧を測ることが可能になりました。



現在、夜間(睡眠中)の連続血圧測定が可能なプロトタイプが完成し、3月よりこのプロトタイプを活用した臨床研究がスタートしています。1拍ごとの血圧が簡単に測れるようになることで、これまで捉えることができなかった急激な血圧変動の大きさやパターン、頻度を把握したり、本来持っている血圧を正常に保つ機能の低下を見つけることができます。これらの血圧変動情報から、患者一人ひとりが抱え持つリスクの高い血圧上昇をとらえ、脳・心血管疾患発症リスクを予測し、発症を抑えるための高血圧診断・治療に貢献していきます。

今後は、さらなる精度およびユーザビリティの向上をはかり、医薬品医療機器等法取得をめざし、臨床研究用の商品開発に取り組んでいきます。



主な特徴は以下の通りです。



【主な特徴】



1.手首に機器をつけるだけで1拍ごとの血圧を測定できる、オムロン独自の

圧力センサを開発



オムロンのコアコンピタンスであるセンシング技術と、長年培ってきた血圧測定ノウハウを集結し、手首に機器をつけるだけで1拍ごとの血圧を測るための、圧力センサを開発しました。圧力センサ46個を1列にならべ、半導体、MEMS、集積回路技術などセンシング技術の組み合わせによって、正確な血圧測定に必要なセンサ精度を満たす、トノメトリ法による血圧測定に特化したセンサを開発しました。

※添付画像参照



2.血管への圧力を適切にするための、「センサ角度自動調整機構」を構築



橈骨動脈から血圧を正確に測るためには、圧力センサを橈骨動脈に平らに当てる必要があります。しかし、手首の構造には個人差もあり、橈骨動脈の近くある橈骨や腱が邪魔をするため、橈骨動脈に平らに圧力をかけることが困難でした。また、従来の機器では、1つのセンサを橈骨動脈の1か所に当てるだけだったので、センサが最適に当たっているかが分かりませんでした。

そこで、当社ではセンサを2列に配列し、それぞれのセンサから得た圧力情報をもとに、その人にあった最適なセンサの角度を自動的に調整する機構を構築。これにより、手首に取り付ける機器のみで、1拍ごとの血圧を連続して測ることが可能になりました。

※添付画像参照



【日本医療研究開発機構(AMED)・ICTを活用した診療支援技術研究開発プロジェクトに採択】



日本医療研究開発機構(AMED)の「ICTを活用した診療支援技術研究開発プロジェクト」に、この機器を使った研究開発が、自治医科大学、九州大学と当社の共同研究として採択され、臨床研究が2016年3月よりスタートしました。



■研究開発課題名

ウェアラブルモニターで実現する循環器診断支援技術の開発

■分担開発課題名

・オムロン ヘルスケア株式会社(代表者)

「ウェアラブル連続瞬時血圧計および循環器診断支援システムの開発」

・自治医科大学

「サージ血圧評価アルゴリズムによる心血管病リスク評価」

・九州大学

「循環恒常性機能評価アルゴリズムによる心血管病リスク評価」



*1 日本における要介護の原因疾患        

厚生労働省 平成25年国民生活基礎調査より

 

*2 オシロメトリック法

カフ(腕帯)で上腕や手首を圧迫して動脈を閉塞したあと、カフを減圧する過程で、心臓の拍動1拍1拍に合わせて血管壁に生じる振動(脈波)を圧力センサが検出し、血圧を測定する方法。カフを減圧していくと、ある時点で脈波が急激に大きくなります。脈波はその後急激に小さくなり、ある時点からあまり変化しなくなります。脈波が急激に大きくなった時のカフの圧力が最高血圧(収縮期血圧)、変化がなくなるときの圧力が最低血圧(拡張期血圧)です。



*3 トノメトリ法

橈骨動脈など、体表に近い動脈に圧力センサを押し当てて、1拍ごとの血圧を検出する方法。血管上部から適切な強さで圧迫することにより、血管の上部を平らな状態にし、圧力センサが押す力と押された血管が戻ろうとする力が等しくなる圧力から血圧値を測定する測定方法。



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