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平成28年分の所得からマイナンバーとの紐づけ開始 税務署はどこまで所得を把握できるのかを考える



マイナンバーの個人あて通知は平成27年10月から始まっていますが、収集したマイナンバーの管理体制が整わないことから、収集を先送りする企業も(特に規模の小さいところは)多数あったという状況です。



ただ平成28年分の所得はマイナンバーと紐づけられることから、事業者はどんなに先送りしても28年末の年末調整では、ギリギリのタイミングで収集に踏み切ることになります。



一時期騒がれていた所得捕捉の本格開始へとつながるのでしょうか?



個人番号と法人番号の発行元から見る捕捉体制


税務署が広く個人の所得を捕捉できるという前提は、実態を反映していないようにも見えます。



マイナンバーと呼ばれる個人番号








市区町村の求めに応じて地方公共団体情報システム機構が付番します。



これまででも個人は住民税(市区町村民税)を賦課する市区町村が所得捕捉を行っておりました



企業版マイナンバーとも言われる法人番号




登記事項証明書(商業登記簿)ベースではあるものの、税務当局である国税庁が付番します。



法人の所得捕捉を行うのは法人税を徴収する国税当局(国税庁、国税局、税務署)です。



法人は休眠等の事情が無い限り、決算後2~3か月内に必ず申告書は提出するので、国税当局は全ての所管法人の所得を捕捉する体制にはあります



国税当局




全個人の所得まで即座に把握する体制にはなっていません



年末調整の結果として源泉徴収票の内容を、従業員の住む市区町村には(年間給与30万円以下の退職者除き)提出する義務はありますが、税務署へ提出する範囲は限られています。



参照記事 夫の勤務先から「あなたの奥さん、扶養じゃないのでは?」 税金以外の問題に発展する最悪のシナリオ



市区町村




住民登録している全員の所得を(未申告を含め)把握しています。



税務署




所得税の確定申告した人(給与年収2,000万円超の高所得者や、自営業者や医療費控除をうける人など)の情報に関しては管理するという体制です。



また、申告義務があるのに脱税している個人(有名なのはFXで儲けている人)も、税務署は(FXなら取扱業者に照会し)厳しくチェックします。



大雑把に言えば市区町村は広く浅く、税務署は狭く深く管理のイメージです。





所得の透明化よりは、捕捉効率化がより進むのでは?


これまでの話




以前の記事でも触れましたが、もともと扶養控除の誤りなどは市区町村がチェックしてから情報が上がってくるようになっています。



これは上記の通り、市区町村は住民登録をもとに、未申告状態まで含めて所得を捕捉しているためです。その他、支払調書(のデータ)を税務署が市区町村に渡し、申告漏れのチェックもさせています。



支払調書には保険会社が提出する保険金の支払調書や、(原稿料や講演料など)源泉徴収の対象となっている報酬料金を報告した支払調書などがあります。



税務署は狭く深くと言っても、まず市区町村さらに民間金融機関の助けを借りてなるべく広く、という姿勢もあります







これからの話




マイナンバーを導入することによって、上記チェックが効率化されることは予想されます。また所得制限つきの社会保障制度は多いので、手当支給の審査も効率化させるには役立ちます。



参照記事 確定申告によって自分の受ける社会保障はどう変わってくるのか(1)



ただ、広く捕捉しようという上記の連携体制がまずできていなければ、マイナンバーが後押しのしようがありません。



預金口座との紐付けは国民にとっては不安材料ですが、残高記録の頻度や入出金まで記録するかによって捕捉状況は大きく変わりますし、捕捉する情報が多いほどシステムが複雑化して使うほうも大変になります



一時期騒がしかった副業バレ問題も、わかる範囲のものは従来の通知(住民税の特別徴収税額通知書)でわかっていました。会社が収集したマイナンバーを利用して、個人の所得情報の詳細にアクセスすることも禁じられています



例えば




・勤務先が預かっている年末調整の申告書を、全部税務署に提出させる



・市区町村の税務課職員が、住民税の税務調査を積極的に行う



・市区町村が在住者全員のマイナンバー・所得情報を、全て所轄の税務署に渡し管理させる



・確定申告義務や住民税申告義務の範囲を拡大する



というのであれば、個人所得の捕捉強化にはなりますが、体制の整備が追いつくでしょうか?





最後に…


税務職員数は年々削減されており、マイナンバー制度は所得の透明化よりは、現行の捕捉状況を維持しながら職員数削減に対応する制度のようにも見えます。



脱税を甘く考えてはいけませんが、いたずらに不安がるような動きとも言えません。(執筆者:石谷 彰彦)



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