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毎年1月頃に送られてくる「公的年金等の源泉徴収票」 確定申告の他に役に立つ3つの場面


毎年1月頃に送られてくる「公的年金等の源泉徴収票」 確定申告の他に役に立つ3つの場面
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所定の要件を満たすと、公的年金(国民年金、厚生年金保険など)から支給される年金としては、次のような3種類があります。

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・ 障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金など)

・ 遺族年金(遺族基礎年金、寡婦年金、遺族厚生年金など)

・ 老齢年金(65歳から支給される老齢基礎年金と老齢厚生年金、経過措置で62~64歳から支給される特別支給の老齢厚生年金)

この中の障害年金と遺族年金は非課税になるため、年金額が多いか少ないかにかかわらず、所得税は課税されません

一方で老齢年金については、年間あたりの老齢年金の合計額が一定の金額を超える場合、所得税が課税されるのです。


老齢年金に課税される所得税を算出する時の、大まかな手順

老齢年金に課税される所得税を算出する時の、大まかな手順を紹介すると次のようになります。

(A) 年間あたりの老齢年金の合計額-公的年金等控除額=公的年金等に係る雑所得

(B) 公的年金等に係る雑所得-所得控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除、生命保険料控除など全部で15種類)の合計額=課税所得

(C) 課税所得×5~45%の税率(課税所得に応じて段階的に税率が変わる)=所得税

以上のようになりますが、老齢年金を初めとする公的年金は、原則として偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日に、前2月分がまとめて支給されます。

そのため (A) に記載した年間あたりの老齢年金の合計額とは、偶数月に支給された6回分の老齢年金を合計したものです。

所得税は受けられる所得控除によって金額が大きく変わる

(A) に記載した公的年金等控除額の最低額は、65歳未満は60万円、65歳以上は110万円になります。

また (B) に記載した基礎控除という所得控除は、一部の高所得者以外は誰でも受けられ、その金額は48万円という場合が多いのです。

この二つを差し引いた段階で課税所得がゼロになる場合、配偶者控除などの他の所得控除を受けられなくても、所得税は課税されません。

一方で年間あたりの老齢年金の合計額が、「公的年金等控除額の最低額+基礎控除」で算出した次のような金額を超える場合、所得税が課税される可能性があります。

・ 65歳未満:108万円(60万円+48万円)

・ 65歳以上:158万円(110万円+48万円)

また課税される所得税は、配偶者控除などの他の所得控除を受けられるのか否かで、金額が大きく変わります。

そのため日本年金機構は毎年9月頃に、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」という書類を送付して、どういった所得控除を受けられるのかを確認しているのです。

この書類の返送によって、各人が受けられる所得控除を把握した日本年金機構は、その所得控除を適用して所得税を算出し、翌年2月以降に支給する老齢年金から源泉徴収するのです。

源泉徴収された所得税が確定申告で還付される

障害年金や遺族年金などの非課税の年金だけを受給している方を除き、毎年1月頃に日本年金機構から、「公的年金等の源泉徴収票」という書類が送付されます。

この中の「支払金額」の部分を見ると、書類の上部に記載された年分の、年間あたりの老齢年金の合計額(所得税などが源泉徴収される前の額面)がわかります

また「源泉徴収税額」の部分を見ると、その老齢年金から源泉徴収された所得税の合計額がわかります。

ここに所得税の金額が記載されている方は、確定申告(自分で所得税を計算して、税務署に申告する手続き)を実施すると、源泉徴収された所得税が還付される可能性があります

その理由として「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の返送で受けられる所得控除は、配偶者控除や扶養控除などの一部の所得控除だけになるため、例えば次のような所得控除は受けられません

「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の返送で受けられる所得控除について

【医療費控除】

自分や家族のために支払った医療費の合計額が、原則として10万円を超える時に受けられる所得控除です。

【生命保険料控除、地震保険料控除】

所定の要件を満たす生命保険(死亡保険、医療保険、介護保険、個人年金保険)や地震保険に加入して、保険料を支払った時に受けられる所得控除です。

【雑損控除】

災害、盗難、横領によって住宅や家財などに、損害があった時に受けられる所得控除です。

また「公的年金等の源泉徴収票」を使って確定申告を実施する際に、これらの所得控除を受けると、所得税が減額またはゼロになるため、源泉徴収された所得税が還付されるのです。

ただ次のような二つの要件を満たしているため、確定申告不要制度を利用できる方は、所得税の還付を受けなくても良いのなら、確定申告を実施する必要はありません。

・ 公的年金の合計額が年間400万円以下で、日本では源泉徴収の対象にならない外国の年金などを受給していない

・ 公的年金等に係る雑所得以外の所得が年間20万円以下

なお確定申告の時期は毎年2~3月頃になりますが、源泉徴収された所得税の還付を受けるだけなら、所得税が発生した年の翌年1月1日から5年内に実施すれば良いのです。

「公的年金等の源泉徴収票」が役に立つ3つの場面

公的年金等の源泉徴収票」がもっとも役に立つのは、確定申告を実施する時ですが、次のような3つの場面でも役に立つのです。

(1) 軽費老人ホームを利用する時

家族からの援助が難しく、かつ自立した生活に不安を感じる高齢者の方が、比較的に低額な料金で利用できる、軽費老人ホームという施設があります。

この軽費老人ホームは入居する時と、入居している間の定期(年1回)に、収入の確認を行っています。

その理由としては収入の階層区分によって、利用者から徴収する事務費が変わるからです。

また「公的年金等の源泉徴収票」を見ると、各人の収入を確認できるため、軽費老人ホームを利用する時に役に立つのです。

(2) 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度を利用する時

低所得で生活が困難な方が、介護保険サービスを受けた時に、その提供者である社会福祉法人などが利用者負担を軽減する制度があります。

この制度の適用を受けるためには、例えば単身世帯では年収が150万円以下、2人世帯では年収が200万円以下などの、収入の要件を満たす必要があります。

また「公的年金等の源泉徴収票」を見ると、収入の要件を満たすのか否かを確認できるため、社会福祉法人等による利用者負担軽減制度を利用する時に役に立つのです。

(3) 融資を受ける時

自宅のバリアフリー工事、耐震改修工事、ヒートショック対策工事を実施したい高齢者の方に、住宅金融支援機構はリフォーム融資(高齢者向け返済特例)を提供しています。

この融資を受けられた場合、毎月の返済は利息だけであり、亡くなった時に相続人が担保物件である土地や建物を売却して、一括返済することになります。

住宅金融支援機構などから融資を受ける時には、収入証明書の提出を求められる場合が多いため、各人の収入が記載された「公的年金等の源泉徴収票」が役に立つのです。

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