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なぜ中央道は高井戸ICから乗ることができない?【Book】


自慢ではないが、自分は中央自動車道(以下、中央道)についてはスペシャリストだ。目を瞑っていても走れるといってもいいくらい(無理だしやってはダメ)。
なぜかというと、実家が中央道沿線に位置することもあり、自動車の免許をとってからというもの幾年月、いったい何往復しただろうというくらい走っているからだ。

たとえるならば、あの名作漫画「頭文字D」の藤原拓海が秋名峠をAE86(ハチロク)で、紙コップの水をこぼさず美しく回しながら、全開ドリフトで神速コーナリングできるのと同じと思っていただければ、イメージしやすいと思う(←おいおい….)。

でも実際、これだけ回数を走っていると、カーブのRも、上り下りの勾配だって、ステアリングの切れ角も、アクセル開度も、エンブレのタイミングだって、
さらにはどこをどのように走れば最大燃費を叩き出せるかということすら……
「最適解」が身体に染み付いているのは、盛ってはいるがあながち大げさともいえない。
まさに「プロジェクトD」高橋(兄)の提唱する「公道最速理論」の具現化だろう(←はいはい….)。

とにかく東京を起点とする高速道路の中で、中央道はそのコースが圧倒的にバリエーションに富んでいる。カーブ、上下の起伏、見える景色、すべてが、ひたすら平野をひた走る系の他の単調な高速道路とはまるで違う。そして区間ごとに様々な特色があるのも特徴だ。
そんな常連中の常連の中央道で、いつも不満に思っていたことがある。

東京での最寄りのIC(インターチェンジ)は高井戸ICで、帰路はそこで降りている。なのに行きでは高井戸ICからは
「乗ることができない」
のだ。その前の首都高・永福、または1つ先の調布ICまで一般道をひたすら走ることになる。このストレスといったら。そこにICがあるのに入れない不条理。
でもいつのまにか当たり前になってしまって、きちんと「なぜ?」を考えたことがなかった。

本書『中央自動車道の不思議と謎』を思わず手にとってしまったのは、まさにそれについて答えてくれていたからだ。

もうひとつ挙げてみる。
その高井戸ICはIC番号が1番なのだが、次の調布ICは3番。
「2番のICがない!」
これぞミステリー! ユーミンの歌があーだこーだとかいって、助手席の女の子を口説いている場合ではないのだ。

このように中央道にはいくつかの謎がある。何気なく通っていてもわからない謎。本書は中央道を起点高井戸から実際に走るような描写で、ふと気が付かないようなことを、見える景色などから興味深い事象を説明してくれていている一冊だ。

また視点として、地形や河川、鉄道などといった少し別の角度から捉えた内容が多く見受けられ、なかなか興味深い。さらには道路の上に架かる「橋」に注目していたり、ICの形に美を見出していたり、道路を「鑑賞」することにスポットを当てていたり、とマニアックともいえる切り口もあって、世の中いろんな人がいるものだと思いつつも、なるほどと唸らせたりもした。

さらに本書は、中央道の話だけにとどまらず、内容が幅広いことも特徴だ。高速道路そのものについての様々な知識、SA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)のおもしろネタなど、高速道路全般にわたって多種の知識を深めることができる。中央道には縁がないという人でも楽しむことができる内容にもなっている。

ちなみに、同シリーズには『東名・名神高速道路の不思議と謎』という本もあるので、東名・名神をよく使う人は、そちらを読むのもいいと思う。

ん? あれ??
どうして東名や名神は「高速道路」なのに、中央は「自動車道」なの?

はい、そう思った鋭いあなた! ぜひ本書を読んでみてください。ばっちり答えてくれています。

ちなみに自分は中央道では、上り線の八ヶ岳PAくらいから甲府盆地の手前、双葉SAくらいまでの区間が、一番好きかもしれない。
中央道標高最高地点を通過するこの区間。それゆえそれ以降は下り勾配基本。だから他より空が広い。
朝や昼間は富士山がまさに眼の前に美しく見える!でも上り勾配もあり、たくさんのカーブもある区間で、ドライビングとしても実にメロディアスな区間だ。

しかし、特に夜に帰京するときは、実家に親を残したまま後にする、この心苦しさ。
それを一般道で散々かみしめつつ、料金所を通ったら、
アクセル踏んで、振り払おうとしているかのような。
その区間…..だからかもしれない。

まさに風にたなびく後ろ髪の如き、せつなさを
時速100kmで振り切りたくなるのだ。振り切るしかないのだ。
一般道を時速40kmで帰ったら、そのまま帰れなくなりそうで…。
高速道路はそんな「装置」なのかもしれない。

注意)この区間は、みなさん飛ばしたくなるのか、
かなり覆面に捕まってる現場を目撃しています 。
お気をつけあそばせ笑。

(実業之日本社 編集本部 岡田大和)

中央自動車道の不思議と謎(じっぴコンパクト新書) 藤田哲史 著 900円+税 実業之日本社




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