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nms Research Memo(3):2023年3月期は足元の収益性が向上


*15:43JST nms Research Memo(3):2023年3月期は足元の収益性が向上 ■業績動向

1. 2023年3月期の業績概要
nmsホールディングス<2162>の2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比24.9%増の79,033百万円、営業利益が1,537百万円(前期は361百万円の損失)、経常利益が同11.6倍の1,426百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が505百万円(同1,980百万円の損失)となった。上期はロックダウンに伴うサプライチェーンの混乱、部材価格・物流コスト上昇などがネガティブに作用したが、2022年夏以降に顧客の挽回生産が顕著となったことに加え、基盤強化策の成果もあり、EMS事業やPS事業では第3四半期以降に業績が回復した。期初時点では600百万円の営業利益を計画していたが、2022年9月に800百万円へ、2023年1月に1,200百万円へ2度にわたる上方修正を実施し、最終的には修正値を大幅に上回る1,537百万円で着地した。

四半期毎に連結ベースの営業損益を見ると、第1四半期は249百万円の営業損失、第2四半期は12百万円の営業利益と停滞したが、第3四半期は750百万円の営業利益、第4四半期は1,024百万円の営業利益となった。第1四半期においては中国のロックダウンの影響を受け営業損失となったものの、第2四半期においては黒字に転換し、第3四半期以降は同社想定を大幅に上回り回復した。今後も同社は収益性を高める施策を継続する方針である。2024年3月期以降も中長期的に収益性の改善が期待される。

2. 事業別業績概況
(1) HS事業
HS事業の売上高は23,260百万円(前期比5.3%増)、セグメント利益は1,066百万円(同64.8%増)となった。国内事業に関しては、依然としてコロナ禍の影響や半導体関連の部品不足などの影響があったものの、人手不足を背景に同事業に対する需要は旺盛となった。コロナ禍によって外国人労働者の流入が減少していることが要因だ。海外事業に関しては、ベトナムが車載部品関連で顧客からの需要が旺盛となったことで好調が続いた。また、国内事業における新規顧客の開拓や既存取引のシェア拡大なども業績を押し上げた。既存取引のシェア拡大に関しては、同社派遣人材の質の高さが評価された。利益面に関しても、前期に比べて急伸した。国内・海外ともにコロナ禍や部品不足などの影響を受けたものの、全社的に進める基盤強化策が寄与した。

(2) EMS事業
EMS事業の売上高は、38,157百万円(前期比34.4%増)、セグメント利益は330百万円(前期は536百万円の損失)となった。同事業は、中国、ASEAN、北米において生産活動を展開し、中国における受注の獲得やベトナム工場での新規量産開始などによって前期比で増収を達成した。利益面は、中国のロックダウンの影響や部品不足による顧客の生産計画変更などの影響を受けた。加えて、北米EMS事業における顧客の減産や部材価格高騰による製造コストが上昇した影響があったが、生産性改善やコスト構造の見直しなどの成果から、前期比で利益が改善した。損益を四半期毎に見ると、第1四半期は中国ロックダウンの影響を大きく受けたものの、第2四半期には損失幅が縮小した。加えて、各種基盤強化策も着実に推進しており、第3四半期以降は大幅な営業黒字へと転換した。

(3) PS事業
PS事業の売上高は、17,615百万円(前期比37.8%増)、セグメント利益は637百万円(前期は1百万円の利益)となった。同事業においては、2023年3月期の重点施策として「産業機器市場への製品展開」「電池パック技術の横展開」のほか、人手不足やそれに起因する省人化などを背景にしたロボティクス市場の拡大や、感染症対策を背景とした殺菌・滅菌機器市場への製品展開を実行し、新たな市場開拓を進めた。加えて、需要が高水準で推移したことも売上を押し上げた。利益面に関しては中国のロックダウン、部材価格の高騰、物流コストの上昇なども利益圧迫要因となったが、ロックダウン後の顧客の挽回生産の想定以上の進展に加え、売価是正や部材調達ソースの拡大など、安定した生産活動及び収益確保に向けた施策を着実に実行したことにより、前期比で大幅に利益が改善した。

3. 財務状況
2023年3月期末における資産合計は前期末比4,090百万円増の38,932百万円となった。流動資産は30,020百万円となり、3,671百万円増加した。これは主に現金及び預金が2,074百万円減少した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が1,240百万円、原材料及び貯蔵品が3,826百万円増加したことによる。固定資産は8,885百万円となり、431百万円増加した。これは主に有形固定資産が392百万円、投資その他の資産が109百万円増加した一方で、無形固定資産が70百万円減少したことによる。

負債合計は前期末比4,269百万円増の36,417百万円となった。流動負債は28,519百万円となり、2,185百万円増加した。これは主に支払手形及び買掛金が2,228百万円、未払金が179百万円、未払消費税等が74百万円、未払法人税等が254百万円増加したことなどによる。固定負債は7,898百万円となり、2,083百万円増加した。これは主に長期借入金が1,878百万円増加したことによる。純資産合計は前期末比179百万円減の2,514百万円となった。利益剰余金は42百万円増加したが、為替換算調整勘定が222百万円減少したことによる。

同社は財務基盤の強化に向けても積極的に取り組んでいる。主な取り組みは、部材を戦略的に確保しつつ過剰在庫を圧縮すること、仕入れから回収までのサイクルを短くすることなどがある。加えて、投資の精査や各種KPIを設定し、キャッシュ・フローの観点から財務健全性を高めるために各種施策を実行している。また、外部環境の変化が早いなか、部材調達ソースの多様化や為替エクスポージャー圧縮への対応なども実行している。事業面においては、ニーズが堅調なことに加えて基盤強化策の着実な実行により、収益性が高まっている。利益が積み上がるにつれ、財務健全性が高まっていくだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)

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