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エラン Research Memo(1):入院前・中・後の「困った」を解決するプラットフォームへの進化を目指す


*17:41JST エラン Research Memo(1):入院前・中・後の「困った」を解決するプラットフォームへの進化を目指す ■要約

エラン<6099>は介護医療関連事業としてCS(ケア・サポート)セットを展開している。病院や介護老人保健施設等(介護医療院を含む)の入院患者・入所者が、身の回り品を準備しなくても「手ぶらで入院・面会・退院」できるように、入院・入所生活に必要な日常生活用品を提供する入院セットサービスである。同社は入院セットを組織的にビジネス展開したパイオニアで、独自に蓄積したノウハウを強みとして後発他社を圧倒的にリードしている。

1. 契約施設数及び利用者数は増加基調
同社のCSセットは、サービスを利用する入院患者・入所者とその家族の利便性を高めるだけではなく、業務委託契約等を結ぶ病院や介護老人保健施設等、リネンサプライ業者等にとっても業務改善等の大きなメリットがあり、同社を中心に「WIN-WIN-WIN」の関係を構築した共存共栄型ビジネスモデルである。こうしたビジネスモデルや競合優位性などを背景にCSセットの契約施設数及び月間利用者数は増加基調である。契約施設数は2022年12月期末時点で2,060施設となり、前期末との比較で246施設増加した。2012年12月期末の314施設から10年で6.6倍と、契約施設が大幅に積み上がっている。月間利用者数は2022年12月で379,614人となり、2021年12月との比較で38,204人増加した。2012年12月の38,269人から10年で9.9倍に拡大した。CSセットの認知度向上、導入施設数の増加、既存契約施設における利用率上昇などにより、月間利用者数は契約施設数の増加を上回る大幅な伸長率となった。

2. 「困った」を解決するビジネスとして新サービス・新事業の展開を加速
同社は、入院中の「困った」を解決するCSセットを起点として周辺サービスも展開している。住まい・医療・介護・在宅支援・予防未病・終活などの入院前・入院中・退院後の全てのステージでの「困った」を解決するプラットフォームの創造を目指し、より付加価値の高い新サービス・新事業の展開を加速する方針だ。具体例として、入院費用保証付き入院セット「CSセットR」、利用患者に起因する損害事故補償付き入院セット「CSセットLC入院保障(以下、SCセットLC)」、オリジナル患者衣「lifte(以下:リフテ)」、入退院・入退所の困りごとの無料相談窓口「キクミミ」サービス、電子カルテ「ELAN Quartet(以下:エラン カルテット)」、沖縄新事業(準備中)などがある。グループ力の強化として、個人請求・カスタマーサポート部門を分社化した(株)エランサービスにおいて、さらなる顧客満足度向上、生産性向上、付加価値向上を推進するとともに、他社の入院セット請求業務の請負も行い事業拡大を目指している。

3. 2022年12月期は計画を上回る大幅増益で着地
2022年12月期の連結業績は売上高が前期比14.6%増の36,264百万円、営業利益が同21.2%増の3,391百万円、経常利益が同21.1%増の3,411百万円、親会社に帰属する当期純利益が同9.3%増の2,082百万円となった。契約施設数及び利用者数が順調に増加したほか、デジタル化推進による収益性改善も寄与して16期連続増収増益を達成した。期初計画に対しては、売上高は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う営業活動制限の影響などにより若干未達となったが、各利益は収益性改善も寄与して計画を上回る大幅増益で着地した。既存施設へのタブレット導入、物流・購買関連のデジタル化、社内各種申請のデジタル化などがおおむね完了し、業務効率や生産性が向上した。この結果、営業利益率は前期比0.5ポイント上昇、経常利益率は同0.5ポイント上昇した。なお特別損失として投資有価証券評価損376百万円を計上した。

4. 2023年12月期も増収増益・増配予想、さらに上振れの可能性
2023年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比20.5%増の43,700百万円、営業利益が同6.2%増の3,600百万円、経常利益が同6.1%増の3,620百万円、親会社に帰属する当期純利益が同20.0%増の2,500百万円としている。親会社に帰属する当期純利益は前期の特別損失一巡が寄与して大幅増益となる見込みだ。全体として、契約施設数及び利用者数の順調な増加などにより17期連続増収増益及び10期連続増配を予想している。営業・経常利益は小幅増益としているが、これは展開加速を計画しているオリジナル患者衣「リフテ」について、各施設への導入時の費用処理(一括償却)が一時的なコストアップ要因となるためである。なお、同社は期初時点では保守的な予想を公表する傾向があり、契約施設数及び利用者数の順調な増加、新サービス・新事業による付加価値向上、さらなるデジタル化推進による生産性向上などを勘案すれば、弊社では同社予想は上振れの可能性が高いと考えている。

5. 市場開拓余地は大きく収益拡大基調
同社は新・中期経営ビジョン(2023年~2025年)の目標数値に、2025年12月期の売上高680億円(うちCSセットが600億円、新事業が80億円)、営業利益70億円、営業利益率10.3%、ROE26%、配当性向30%、市場開拓率26%を掲げている。入院セットビジネスは地味なビジネスと見られることが多いが、入院セット市場への参入障壁は見た目以上に高く、ノウハウを蓄積した同社の競争優位性は圧倒的である。CSセットの認知度向上や顧客ニーズに対応したサービス向上などにより契約施設数及び利用者数は増加基調にあり、なおかつ市場開拓余地(同社推定の市場開拓率はベッド数50床以上の病院で17.4%、介護老人保健施設等で7.7%)は依然として大きい。弊社では、同社の成長シナリオに変化はなく、さらなる付加価値向上や事業領域拡大などを勘案すれば、中長期成長ポテンシャルは大きく、収益拡大基調にあると見ている。

■Key Points
・入院セットを組織的にビジネス展開したパイオニアかつ最大手
・入院前からエンディングまでケアライフ全般の「困った」を解決するビジネスとして新サービス・新事業展開を加速
・2022年12月期は2ケタ増収増益で着地
・2023年12月期は増収増益を予想、さらに上振れの可能性
・市場開拓余地は大きく、収益拡大基調

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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