ジェネパ Research Memo(5):2022年10月期予想は非開示。原材料・物流問題が不透明
1. 2022年10月期の連結業績見通し
ジェネレーションパス<3195>は2022年10月期の連結業績見通しについて、EC需要の増加は見込まれるものの、コロナ禍による影響は非常に不透明かつ不確実なものであり現時点において合理的に先行きを算定することが困難とし、今後の動向を見極めて業績予想の開示が可能になった時点で速やかに公表するとしている。
ECマーケティング事業においては、消費者ニーズを捉えることで「リコメン堂」における事業拡大が見込まれる。また、商品企画関連事業においては、ECマーケティング事業で蓄積されたビッグデータを活用し、商品提案及び新規顧客開拓を加速させつつ、青島新綻紡貿易及びジェネパベトナムの稼働率をさらに向上させ、売上高・営業利益の拡大に努める。特に2022年10月期第2四半期においてジェネパベトナムの生産体制の回復に伴う業績への影響は大きかっただけに、下期の好調は継続すると弊社では見ている。また、第2四半期の回復ぶりは大きく、下期の売上高を前年同期比横ばいと仮定したとしても、通期の売上高は過去最高を更新する確率は高いだろう。
ただし同社が慎重に見ているのがコロナの影響のほか、ロシアのウクライナ侵攻による原材料価格の高騰や物流の問題である。ウッドショックなど原材料価格高騰の影響により商品の価格設定が難しくなっていると言う。高価格帯の売れ行きが好調なことから製品値上げは可能と見られるが、価格比較サイトで同様の製品と比較されやすいため、他社製品の動きなども考慮しつつ価格設定を行う必要がある。それゆえに同社のマーケティング力が重要な役割を担うことになるだろう。また、物流面ではコンテナ確保が厳しい状況が継続しているため、中国からの製品輸入に支障をきたすリスクを見極めていると見られる。
月次売上動向を見ると、第2四半期期間(2021年11月~2022年4月)及び2022年5月は前年同月比でプラスの状況が継続した。また、2022年10月期下期の初月となる5月については、前年同月比39.0%増と好調な出だしとなった。リベンジ消費の動きは大きく、特に高額の家具などの需要が高まっている状況である。また、PV数については順調な伸びを見せているが、長引くコロナ禍を通じて消費者の購買行動がECに馴染んだ状況を勘案すれば、引き続き前年同月を上回る推移が継続する可能性が高いと弊社では見ている。なお、収益認識基準を適用した場合、2022年5月までの連結売上高は9,209百万円となる。
2. 事業戦略
同社のKPIの根幹となるのは、パートナー企業とパートナー企業が保有する商品となる。これらの商品に対して実施するデータマーケティングの精度を向上させるためには、より多くの商品データが必要である。国内の主要モールでの取扱商品数2.5億点程度のうち、同社はまずその1%(250万点)の商品の確保を目標として取り組んでいる。パートナー企業の増加は取扱ジャンルの拡大を意味し、商品数の増加はトップラインの増加につながり、さらに多数のパートナー企業や商品が集まってくる好循環を生み出すと同社では見ている。
(1) ECマーケティング事業
トップラインの拡大を主目的として、引き続き売れ筋商品に関するデータを基に様々なジャンルで商品数を増やすことに注力していく。加えてマーケティングデータに裏付けられたPB商品の開発を推進し利益率の向上を図る計画であり、PB商品を開発していくための専任チームを設置する。また、ECサポート事業のためのノウハウの蓄積や開発技術の向上を目的として、同社で運用上の課題等を抽出しシステム化対応を続けていくとしている。成長戦略に向けての具体的な施策・計画として、独自開発したGPMSの機能の高度化を行い、商品数、メーカー数、注文数の増加に対応するほか、システムの機能拡張、パフォーマンスの改善を行い、アライアンス業務、受発注業務のオペレーションのさらなる高速化を目指す。
(2) ECサポート事業
ECプラットフォームで蓄積されたビッグデータや高度な情報システムを活用し、EC事業を志向する企業のサポートを加速させていく方針である。中期的には、収集されるビッグデータや構築された情報システム、EC運営ノウハウについてパッケージ化を行い、リアルタイムでのマーケットへのアクセスを通じて日々更新していく。そしてこれらの施策を行うために、特にAI構築に精通するエンジニアの確保・教育に資源を投下していく計画である。パッケージの開発については、同社の自社開発のみでなく、既存のITツールのM&Aを視野に入れている。また、エンジニア人材の確保・育成においては、競争力の強化のためエンジニアの獲得を強化するとともに、エンジニアの成長を促す仕組みづくりを継続して行うとしている。
(3) 商品企画関連事業
商品企画関連事業においては、アフターコロナを見据えて自社PBの開発に注力していくとともに、今までの国内顧客中心の体制から、海外子会社の中国及びベトナムを利用した中国及び欧米の顧客に向けた体制への移行を目指し開拓を開始する。中長期的には国内顧客を維持しつつ、海外顧客の割合を同程度まで増加させ安定的な拡大を図る計画だ。事業計画の達成に向けた施策として、売れ筋商品に関するデータをもとに様々なジャンルで商品数を増やすほか、高利益率を見込んだオリジナル商品を開発し拡大を目指す。成長戦略に向けての具体的な施策・計画としては、商品開発においてビッグデータを用いたマーケットのトレンド分析を行い、商品開発のスピードを加速させるほか、子会社工場にて品質管理人材の確保・育成の場を作り、新規協力工場に派遣できる人材に成長させ、協力工場の品質の維持向上を図る方針である。
(4) その他
収益事業として、売上・利益の拡大を加速させるべくビッグデータ分析のさらなる活用環境を整備していくほか、MISフレームワークを活用し、分析精度の向上を目指す。また横展開として、サイト売買やM&Aを積極的に活用し、複数メディアジャンルの立ち上げをねらう。複数のサイトに同社の分析ノウハウを適用することにより、売上・利益の拡大を加速させる計画である。事業計画の達成に向けた施策として、ECマーケティング事業で取得できる売れ筋に関するデータを基に商品選定を行い、想定読者のニーズに合致した商品紹介を促進していく。記事のSEO対策としては、検索キーワードのボリューム・難易度から想定読者と流入数を推定するノウハウを用いて、記事ジャンルの多角化を図っていく。また、成長戦略に向けての具体的な施策・計画として、ECマーケティング事業で取得できるビッグデータの受け皿及び分析を可能とするシステムサーバーを設置・強化を進めるほか、「イエコレクション」以外のジャンルでもメディアを構築する計画である。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
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