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はてな Research Memo(3):テクノロジーソリューションサービスが前年同期比45%増と大幅増収に


■業績動向

2. サービス別売上動向
(1) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前年同期比9.5%減の240百万円と減少に転じた。売上高の58%を占める広告収入の減少が主因となっている。主力サービスである「はてなブログ」を中心に登録ユーザー数は着実に増加し、広告単価も若干ながら上昇したが、月間ユニークブラウザ数の低迷が広告収入の減少要因となった。月間ユニークブラウザ数の推移を半年ごとに見ると、2021年1月の1.47億UBに対して2021年7月は1.26億UB、2022年1月は1.28億UBとなっており、半年前との比較では若干回復しているものの前年同期比では87%の水準にとどまっている。2021年7月時点の落ち込みの理由としてはてな<3930>は、検索エンジンのロジック変更に伴う流入件数の減少に加えて、コンテンツの良質化施策としてスパムコンテンツアカウントの削減施策を実施したことを挙げていた。検索エンジンのロジック変更については不定期に行われるため、適宜SEO対策を実施しているが、その効果は限定的なものにとどまったようだ。一方、スパムコンテンツ対策については一巡しており、今後は良質なコンテンツを拡充していく地道な取り組みが、ユニークブラウザ数の回復につながると同社では見ている。

一方、有料課金サービスについても伸び悩んでいるようで、今後の課題となる。2020年9月よりサービスを開始した法人向けサービス「はてなブログBusiness」については、スタートアップ企業等を中心に契約件数を伸ばしており、業績への影響はまだ小さいものの、今後も機能の拡充を図りながら法人需要を開拓していく方針となっている。

(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前年同期比27.0%増の393百万円と2年ぶりの増収に転じた。企業のオウンドメディアとなる「はてなブログMedia」の運用件数が前年同期末比10件増の118件と増加したほか、件数当たり平均売上高も前年同期比18%増に上昇したことが増収要因となった。

運用件数については引き続き企業の採用・広報を目的とした開設案件が多く、引き合いは好調に推移しているようで、2022年7月期第2四半期累計期間における新規開設は14件、解約は7件(前年同期は新規開設13件、解約9件)となった。オンラインセミナーの実施によるリード獲得が有効だった一方、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)前と比較して受注決定や開設完了までに要する時間が長引く傾向に変わりはなかった。

1件当たりの平均売上高が上昇した要因としては、前年同期までコロナ禍の影響で顧客側のメディア運用予算が絞り込まれていたことが大きいが、同社でメディア集客施策(記事制作や広告等)の提案に積極的に取り組んだことも要因となっている。なお、同サービスの売上ピークは2020年7月期第2四半期累計の446百万円(運用件数は99件)であることから、回復の途上にあると言える。

(3) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は前年同期比45.3%増の886百万円と半期ベースで過去最高を更新した。サーバー監視サービス「Mackerel」、マンガビューワ「GigaViewer」ともに2ケタ増収と好調に推移した。なお、2022年7月期より売上高の内訳を開示しており、「Mackerel」は382百万円、「GigaViewer」等を中心とした受託サービスは504百万円となった。

「Mackerel」の累積顧客数については、前期末比1.9%増、前年同期末比で10.0%増と成長ペースが鈍化したように見えるが、大手顧客の開拓に注力したことが一因であり、顧客当たり単価の上昇により売上高については好調を持続し、第2四半期は193百万円と四半期ベースで過去最高を更新している。AWS(アマゾンウェブサービス)のパートナー制度「AWS パートナーコンピテンシープログラム」において「AWS DevOps コンピテンシー」認定を国内企業で初めて取得したほか、「AWS Partner Network(APN)Award2019」において「APN Technology Partner of the Year 2019 - Japan」を受賞するなど、AWSユーザーのなかでサーバー監視ツールとしての認知度が向上し、顧客数のさらなる増加につながったほか、効果的なプロモーション活動を実施したことも新規顧客の獲得につながった。

「GigaViewer」については、新たに「サンデーうぇぶり」((株)小学館)と「&Sofa(アンドソファ)」((株)講談社)にWeb版を導入したほか、新たにスマートフォンアプリ向け「GigaViewer for Apps」の提供を「コミックガルド+(プラス)」((株)オーバーラップ・プラス)向けに開始した。「GigaViewer」の導入実績はアプリ版も含めて合計14社、17メディアとなっている。Web版については広告の運用・販売にも取り組み、小学館向けでは初めての導入となる(講談社向けは3件目)。

一方、アプリ版の「コミックガルド+」については、広告の運用とポイント販売による収益化にも共同で取り組むレベニューシェア型契約となっている(同社でユーザー獲得やプロモーションのための広告出稿を担当)。オーバーラップ・プラスは「コミックガルド」(Web版)に「GigaViewer」の導入実績があり、Web版で獲得した新規読者をアプリ版に誘導し、課金などの売上向上を図りたいという狙いもあり、同社がアプリ版を開発提供し、広告運用等も行うこととなった。こうした課題を抱える出版社やメディアは他にもあると考えられ、今後もアプリ版の導入件数増加が期待される。なお、「GigaViewer」の開発期間は1メディア当たり3~6ヶ月程度かかるようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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