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アートネイチャ Research Memo(7):通期業績見通しの上方修正余地は大きい


■業績動向

3. 2022年3月期業績見通し
アートネイチャー<7823>は2022年3月期業績見通しを、売上高40,363百万円(前期比12.5%増)、営業利益2,023百万円(同4.7%増)、経常利益2,088百万円(同4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,045百万円(同24.3%増)と見込んでいる。計画策定の前提は、外部環境については国内での緊急事態宣言など社会的制限を想定せず、生産体制はフィリピン当局の指示に従った対応をするものの10月以降も通常操業の継続、営業体制も10月以降通常営業の継続を想定している。下期の施策に関しては、既存事業で「フィーリン」など新商品の販売に注力し、さらなる拡大に向けた諸施策を実行する一方、スタンダードウィッグや発毛剤、医療機関サポートなど新規事業も強化する計画である。販管費は当初計画どおり使用する予定だが、新規顧客の獲得や理・美容師の採用拡充、重点Challenge施策など戦略実行に伴って経費全体の伸び率が大きくなっている。

セグメント別の同社の見方だが、主力のオーダーメイドウィッグの上期進捗率は50.1%で、メンズ、レディースともにまずますの進捗と考えているようだが、特にレディースについては、9月発売の「フィーリン」で下期にさらなる上乗せを狙う。増毛商品は43.5%と進捗が鈍いが、メンズでは9月発売の「マープワンダー」で挽回を狙う一方、レディースは、新規顧客がオーダーメイドウィッグを選ぶ傾向が強まっているため、オーダーメイドウィッグと増毛商品の合算で評価する方が良い。ジュリア・オージェは進捗が38.2%と、コロナ禍により商業施設の集客力が弱く苦戦を強いられたが、ワクチン接種の普及などを背景に商業施設の客足が戻ることを前提に挽回可能な範囲と考えている。理・美容サービスの進捗率には収益認識適用の影響が含まれているが、55.4%は順調な進捗といえる。以上から同社は、年末年始や期末期初に向けた消費動向は依然不透明感がぬぐえないが、今後の施策効果に加え、例年上期より下期の売上高の方が大きいこともあり、通期の売上高見通しは十分達成可能な範囲にあると考えている。

ところで、通期の業績見通しから上期の実績を差し引いた下期の業績見通しは、前年同期に比べて利益水準が非常に低いばかりでなく、夏より冬の方がウィッグのニーズは強まる傾向があるにもかかわらず、上期に比べても利益水準が低くなっている。同社はこれを、緊急事態宣言明けの消費者動向がいまだ不透明なため、現時点において通期業績予想を保守的に据え置いたためとしている。売上高見通しは十分達成可能で、利益見通しは保守的であると同社がいっていることに加え、「マープワンダー」「フィーリン」といった新商品が非常に注目を集めており、同社も積極的な営業展開を実施する方針である。また、期ズレ分はあるにしても、下期の販管費の伸びが異常といえるほどの大きさになっている。以上から、通期業績見通しを上方修正する余地は非常に大きいといえよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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