DEAR・L Research Memo(8):販売用不動産(仕掛含む)は160億円、都心30物件が進行中
1. 強い財務基盤を背景に積極投資を継続
リアルエステート事業の投資戦略としては、1)コロナ禍でも賃貸需要・流通性・希少性のある都心不動産の深堀・厳選投資を推進、2)採用強化・人員増強による物件情報の量・入手ルートの継続的拡充、3)社内建築士機能の強化や協力会社との協働による、迅速かつ柔軟な事業企画を追求、の3点である。投資エリアに関しては、これまでの戦略どおり東京圏に厳選して都市型マンションや収益不動産等の不動産開発・投資事業規模の拡大を継続する。特に投資に注力するのは、神楽坂・飯田橋・市ヶ谷をはじめとする「職・食・住」の利便性が良好なエリアで、区で言えば新宿区を中心とした周辺エリアである。重点エリアが絞り込まれていることは、仕入れにおいて声が掛かりやすく、企業ブランドとしてもアドバンテージになる。コロナ禍においては、さらに駅に近い物件などハードルを上げて厳選している。人材に関しては、2021年9月期は、新卒1名、中途採用4名を迎え、陣容の強化も進捗している。
仕入れは順調に進捗している。2021年9月期第2四半期の段階で販売用不動産が2,458百万円、仕掛販売用不動産が13,688百万円、合計16,147百万円(前期末は10,044百万円)あり、前年同期を大幅に上回り、過去最高水準である。2014年9月期から過去7年間の第2四半期時点での販売用不動産金額(仕掛含む)は、その年の通期の経常利益額と連動する傾向にあり、進行期の通期決算も期待ができる。
2. 人材派遣事業を行うDLX-HDを子会社化、第3四半期から損益計上
同社は、2021年1月、人材派遣事業を行う持株会社DLX-HDの第三者割当増資を引き受け、連結子会社化を完了した。DLX-HDは、光通信<9435>傘下で保険サービス事業などを行うNFCホールディングス<7169>が2020年11月に設立した会社で、コールセンターによる保険契約の取次業務人員に特化した専門派遣を展開するN-STAFFを傘下に持つ。
同社は創業以来、不動産業界向け人材派遣を中心に人材サービス(セールスプロモーション事業)を展開しており、現在は子会社のディアライフエージェンシーがその役割を担っている。昨今のコロナ禍において、非対面型のアウトバウンド向けコールセンターの需要は急速に伸びている。また、働き方改革やテレワークの社会的要請により、時間や場所にとらわれない柔軟な勤務形態が1つのトレンドとなっており、人材サービス事業は変革の時期を迎えている。このような環境において、同社はこれらのトレンドにマッチした人材サービス事業を協業できる先を模索してきた。NFC-HDも、非対面営業の需要の増加に応えるべく人材確保力の一層の強化、派遣事業の規模や派遣分野の更なる拡大に向け、協業先を模索しており、両社のニーズが合致した。同社では、従来の不動産分野・対面営業の強みと保険分野・非対面営業(アウトバウンド向けコールセンター)の強みを生かしてシナジーを創出し、専門性の高い人材派遣事業を確立したい考えだ。
N-STAFFの業績(損益)は2021年9月期の第3四半期から同社の業績に計上されることになる。N-STAFFの2020年3月期の売上高は714百万円、営業利益は29百万円、当期純利益は33百万円であるが、この値は分社化後の業績であり、年間の売上高で20億円前後の事業規模となる見込みである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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