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富士ソフト Research Memo(7):事業環境は総じて良化方向、中長期的な成長を目指した「次の一手」に期待したい


■今後の見通し

1. 2021年12月期の連結業績予想
富士ソフト<9749>による2021年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比3.3%増の249,000百万円、営業利益が同2.1%増の16,300百万円、経常利益が同3.4%増の16,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.8%増の8,900百万円と、2013年に12月期決算へ移行してから実質的に8期連続での増収・営業増益を見込んでいる。

2ケタ増益であった2020年12月期実績に比べ、物足りない業績予想にも見えるが、同社は2015年12月期以降、3%程度の増収見通しと前期実績並みの営業利益率を前提とした期初会社計画を掲げるパターンを継続している。今回についても、会社計画は必達目標との位置づけと考えられ、ネガティブ視する必要はないであろう。

全社ベースの2020年12月期末受注残高が前期末比10.1%増となるなど、事業環境は総じて良化方向にあると思われる。組込系/制御系分野では、5G関連向けなど社会インフラ系の好調持続が見込まれるほか、調整場面にあったFAや自動車向けについても景況感や引合い状況に明るさが見え始めている。業務系分野については、EC分野での需要増に加え、他業界でもDXニーズの高まりが手応えとして感じられている模様である。また、狭義のプロダクト・サービスについても、引き続きライセンスビジネス並びに自社プロダクトに対する追い風が吹いているように見える。

配当予想は、2020年12月期の年間51円/株(第2四半期末に創立50周年記念配5円/株を含む28円/株、期末に23円/株)から年間50円/株(第2四半期末に25円/株、期末に25円/株)としている。見掛け上は6年振りの減配だが、記念配を除くと、中間配・期末配ともに2円/株の増配計画となっている。また同社は、通期業績の上振れを受けて2016年12月期から2019年12月期まで4期連続で期末配当を期初予想から引き上げており、2021年12月期においては、どの様な対応が成されるかに注目したい。

2. 先行投資と働き方改革の効果顕在化により、生産性は一段と向上
同社は、新卒の大量採用を軸とする人材投資に注力する一方で、「ゆとりとやりがい」の実現に向けて、多様なライフスタイルに合わせた働き方改革・支援を真剣に実践している。

具体的には、1990年に導入したコアタイムなしのフレックスであるスーパーフレックス制度を一段と進化させた「ウルトラフレックス制度(スーパーフレックス制度+時間帯を固定することなく30分単位で有給休暇や10分単位のリフレッシュタイムが取得可能)」のもとで、残業削減・有給取得促進や遠隔地勤務の環境整備や全社員を対象とした在宅勤務制度の本格運用に取り組んでおり、2020年には政府による緊急事態宣言発出の2カ月前から取り組み、2020年4月より在宅勤務準備金(初期費用としての手当を一時支給)・支援金(電気代・通信費としての手当を月次支給)制度を導入している。

こうした結果、2019年度(集計期間は4月−3月)には、1)有給休暇取得率:71.8%(民間平均56.3%、政府目標は2020年に70%)、2)在宅勤務利用者:延べ9,614名、3)育児休業取得者:177名、4)年間平均残業時間(所定外):23時間26分、など良好な実績を残している。こうした優れた実績が評価され、外部機関からも、次世代育成支援対策推進法に基づく「プラチナくるみん」認定(厚生労働省)、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定(厚生労働省)の最高位を始めとして、テレワーク先駆者百選(総務省)、健康経営優良法人(経済産業省)、神奈川子ども・子育て支援推進事業者(神奈川県)といった認定を獲得している。

働き方改革の推進は、既存社員の稼働時間短縮や新卒の大量採用が人的戦力の希薄化や先行コストの増加に直結するため、短期的には1人当たり営業利益(営業利益/期首期末平均従業員数)等の生産性指標にとっては抑制要因となるケースが多い。同社の場合、働き方改革の成果を出しながら新卒の大量採用を開始した2015年12月期以降、直後の2年間は1人当たり営業利益が減少しているものの、2017年12月期から増加に転じ2020年12月期には112万円弱(2016年12月期比51.5%増)にまで向上している。

より詳しく見ると、単純計算による新卒含有率(単体+上場子会社新卒採用者数/前期末連結従業員数)は、2014年12月期の1.5%から2018年12月期の7.2%まで年を追って上昇、その後も6%台で高止まりしている。加えて、2019年度(2019年4月−2020年3月)の月平均所定外残業時間は23時間26分と2014年度の30時間49分から大幅に減少、有給休暇取得率も2017年度以降3年連続で70%超の高水準を維持している。こうしたなかで1人当たり人件費(連結人件費/期首期末連結従業員数)の上昇(2014年12月期:598万円→2020年12月期:617万円)を伴った労働生産性の向上(1人当たり営業利益、2014年12月期:78万円弱→2020年12月期:112万円弱)を実現していることは、ICT利活用の実践や勤務形態・労働環境の継続見直しを通じて、業務の仕組みと社員の「ゆとりとやりがい」の向上に真剣に取り組んできた結果と見られ、高く評価して良いだろう。

今後は、残業削減や有給休暇取得増加の余地が縮小し、リモートワークの効率アップ、新卒含有率のピークアウトが見込まれるため、時間当たりの生産性向上による業績押し上げ効果が顕在化しやすくなる。長期的には一段の収益性向上を目指すとしている、同社の今後に期待したい。

また、これまで推進してきた同社の働き方改革は、コロナ禍にあっても大きな混乱なく事業を継続するための強力な武器となった。また、ITソリューションベンダーによるテレワークや在宅勤務の大規模な実践は、典型的なドッグフーディングとも言え、そのメリット(経費削減、業務効率化など)/デメリット(セキュリティ問題、コミュニケーション不足など)を体感したことの意義は大きいと考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)


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