■中長期の成長戦略・トピックス

1. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響
新型コロナウイルス感染症拡大はピクスタ<3416>の事業にも様々な側面で影響を及ぼしているが、影響が出始めて約半年が経過し、そのインパクトがある程度見通せるようになってきた。弊社では、短期的には6月から7月に回復基調が鮮明となっていることから、2020年12月期下期に大きなパンデミックや規制が発生しない限り、通期の業績は前期比でプラスに推移するものと予想する。また中期的には、ニューノーマル(新常態)時代に入り、小売(EC)分野や広告宣伝分野でデジタル化が加速するため、同社ビジネス全般に追い風が吹くと予想する。

(1) PIXTA事業・定額制
ストック型の事業モデルのため、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は軽微であった。緊急事態宣言期間(4月~5月)に新規購入者が若干減少したものの6月には回復し、コロナ禍以前の水準を超えて推移、過去最高の週もあるほどである。料金プランの変更などの効果もあいまって、足元は順調に推移している。

(2) PIXTA事業・単品
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、購入者数及び購入単価で減速した。特に緊急事態宣言期間が顕著であったが、これは、飲食業界や旅行業界の利用者が影響を受け、利用を控えたことなどが要因として挙げられる。しかしながら6月以降は回復基調である。新規購入者が若干減少したものの6月には一定の回復をしており、期初の想定には届かないものの、前年同期の水準までは回復する予想だ。

(3) fotowa事業
fotowa事業は、一定の距離を置くことはできるものの対面が基本となる出張撮影サービスのため、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた。予約件数の推移で見ると、1月に前年同期比50%増となったものの、4月には同98%減とほぼ予約がなくなった。一方で6月には同40%増まで回復している。今後は、稼ぎ時である七五三がピークを迎える11月前後に流行が重ならないかがカギとなる。

(4) Snapmart事業
マーケットプレイスとオンデマンド撮影で影響度が異なる。マーケットプレイスでは8割以上の顧客が定額制を利用しており、コロナ禍においても成長を維持した。一方でオンデマンド撮影では、飲食業界・宿泊業界などからの受注が減少したことに加え、業況の良い食品業界などでは広告宣伝の優先順位を下げたケースもあり、オンデマンド撮影全体として減速した。6月以降も回復は鈍く、本格回復は9月以降にずれ込む予想だ。

2. 成長戦略の全体像
中長期の成長戦略の骨格は、ポストコロナ時代においても変更はない。中核の『PIXTA』の深耕と新規事業展開である。『PIXTA』の深耕では定額制売上の強化を軸に取り組んでおり、順調かつ高い伸びが続いている。今後はさらに、料金メニューの充実や法人需要の掘り起こしなどに取り組み、安定成長及び収益基盤の強化を目指す方針だ。新規事業展開は『fotowa』と『Snapmart』の2事業が当面の成長のけん引役と期待される。両事業ともフォトグラファーやクリエイター、コンテンツ数といった事業基盤が着実に拡大している。今後は、より大きな飛躍のための認知度向上や営業体制の強化などの点で改善余地が残っており、目先の利益にとらわれることなく成長のための先行投資を継続する方針だ。

3. PIXTA事業の成長戦略
PIXTA事業に対する同社の期待は高い。売上構成比の高さから言っても『PIXTA』の成長率が全社ベースのそれを決定する形になる。同社はPIXTA事業について、年率10~15%の成長を安定的に実現することを目指している。

それに向けた取り組みの筆頭が、定額制プランの拡充だ。PIXTA事業では、創業当初は単品からスタートしたものの、2014年12月期から定額制を開始し、その育成に注力している。定額制強化の狙いの第1は収益の安定化だ。単品はいわゆるフロー型モデルであるのに対して、定額制はストック型モデルの性格を有する。また利益率の点でも定額制の方が高いという面もある。2020年12月期上期のコロナ禍において、定額制事業モデルの安定感は十分に証明されたと言えるだろう。

同社は、2020年2月に「定額制プラン」をリニューアルした。これまでの少量プラン、大量プランの間を埋める2つのプランを増やしたほか、すべてのプランに繰り越し機能を追加した。

これまでの定額プランは、大きく分けて、30日間で10点までダウンロード可能な少量プランと、1日25点までダウンロード可能(30日累計で最大750点ダウンロード可能)な大量プランの2種類しかなかったため、利用者からは少量プランと大量プランの中間のプランを希望する声が根強かった。これを受けて、新たに月100点、月350点までダウンロードできる2種類のプランを追加。また、これまで少量プランにしかついていなかった、規定のダウンロード点数に達しなかった場合に余ったダウンロード点数を翌月以降に繰り越せる「繰り越し機能」を、月10点、100点、350点、750点のすべてのプランに適応した。

価格プラン変更前の2020年1月と変更後の同年6月の新規購入者を比較すると、新規導入プランである月100点と月3点が約半分(47%)を占め、これまでくみ取り切れていなかった顧客ニーズにきめ細かく対応できていることがわかる。新規購入者全体も4月~5月は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で低調となったものの、6月に回復しており、プラン改定の成果がうかがわれる。また、繰り越し機能及び年間契約プラン、多人数プランの充実が同時に行われており、中期的には解約率の減少などのプラス効果が期待できる。価格プラン改定の効果検証を総合的に行うには時期尚早ではあるが、滑り出しは順調と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)


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情報提供元:FISCO
記事名:「ピクスタ Research Memo(7):新型コロナウイルス感染症拡大の影響から足元は回復基調