レカム Research Memo(5):2020年9月期通期業績予想は下方修正、増収・最終増益確保を目指す
1. 2020年9月期通期業績予想
レカム<3323>の2020年9月期の通期業績予想は売上高が前期比4.5%増の10,300百万円、営業利益が同68.7%減の160百万円、経常利益が同70.4%減の190百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同32.1%増の420百万円としている。売上高・営業利益については、新型コロナウイルスの影響により年初計画から下方修正している。当期純利益は下方修正だが、投資有価証券売却益によって3期連続で過去最高益を確保する見込みとしている。また配当については、「配当性向30%を基準に配当を実施する」という基本方針に則り、当初計画どおりの1株当たり2.0円(前期は3.0円)を予定している。
新型コロナウイルスの影響については、各国政府の対応の違いによって未だ休業中の海外法人もあるなど不透明ではある。しかし、当初計画からは大幅に下方修正を行っており、今期の海外法人事業は既存エリアに限定した販売強化に集中することなどにより、通期予想達成については十分可能性があると弊社では見ている。
2. 事業別戦略について
(1) 海外法人事業
海外法人事業における2020年9月期通期予想は、売上高2,500百万円(前期比40.7%)、セグメント損益は50百万円の損失(前期は235百万円の利益)である。新型コロナウイルスの影響が収まらず、未だ休業中の国もあるなかで、今期計画していたローカルマーケット進出は一旦中止し、既存エリアに限定した販売強化に集中するとしている。このため、日系企業を中心とした新規顧客獲得や、LEDの既存顧客※へのエアコン、コンプレッサー販売のアップセルや、中国・タイについてはLEDのリプレイス開始などを推進する。また、海外で独占販売権を取得したウイルス除菌装置「ReSPR(レスパー)」はNASAの国際宇宙ステーションにも採用されている独自NCCテクノロジーを搭載しており、世界28ヶ国で700万台の販売実績を持つ商品である、同商品の販売を強化する施策等により、上記予想を達成する計画である。
※同社のLED導入済み顧客数は約2,300社。
(2) ITソリューション事業
ITソリューション事業における2020年9月期通期予想は、売上高4,200百万円(前期比-8.5%)、セグメント利益100百万円(同-48.2%)である。国内の情報通信機器市場が長期的に伸び悩むなかで、新型コロナウイルスの影響で営業活動が大きく制限を受けており、環境は厳しい状況が続いている。しかし、テレワークの広がりなどで逆にフォローの風となっている面もあり、テレワーク推進商材・サービスの拡充により、ストック型収益の拡大で収益性の向上を図る。「VENUSENSE UTM」で近々改良版(テレワークによる外部からの不正侵入を防御)がリリースされるほか、従業員の業務・働き方を視える化するツール(「LOOOC(ルック)」「Ret’s アイ」)ほかのテレワークパッケージを提供する。
(3) BPR事業
BPR事業における2020年9月期通期予想は、売上高600百万円(前期比17.4%)、セグメント利益95百万円(同15.9%)である。本事業については、直近の2~3年はおおむね順調に成長している。働き方改革への貢献により、ストック型収益の拡大を実施していく。前期リリースした新サービスである「RET’S ロボ」「RET’S OCR」を含め、Ret’sシリーズ&BPOパッケージによって、業務の自動化や作業の効率化を推進していくものである。新規顧客獲得、既存顧客への深耕とともに、センターの生産性向上によるコストダウンの推進も図っていく。
(4) エネルギーソリューション事業
エネルギーソリューション事業における2020年9月期通期予想は、売上高3,000百万円(前期比0.8%)、セグメント利益15百万円(同-46.4%)である。ウイルス除菌装置「ReSPR」や新型コロナウイルス感染予防商材で、職場環境改善へ貢献する販売拡大を図る。
3. 組織営業力強化
同社は、第2四半期時点での業績悪化について、特に組織的に営業力が低下したり、従来から大きく営業方法を変更したり、というようなことはないとしている。しかし、後述の中期経営計画で述べるように、今後は海外法人事業に経営リソースを集中させるとしており、組織力・営業力の強化という面で注力を図るようだ。
今期は、テレワーク商材・サービスの販売拡大を中心に推進していく。そこでは、営業社員の生産性向上や営業体制の改革として、テレワーク推進商材、商品知識&セールステクニック向上や階層別営業部隊の編成を掲げている。また、M&Aを積極的に推進するなかで、グループ間の連携強化として、他事業部顧客へのアップセル推進による売上拡大などを図る。
4. 配当予想
同社は配当基本方針について、配当性向30%(配当金総額=連結当期純利益×30%)を基準に業績に連動した配当を実施するとしている。2020年9月期は、基本方針に基づいて、年初計画どおりの2.0円の配当を予想している。
過年度の配当金と配当性向の推移を見てみると、2016年9月期に8期ぶりの復配をして以降、2019年9月期までは業績も概ね安定してきている。2020年9月期第2四半期における業績はやや不安ではあるが、通期業績予想では、有価証券売却益等によって過去最高の最終益を確保する見込みであり、投資家の期待に応えるもようである。新型コロナウイルスが速やかに収束して営業活動が順調に進むことと、後述の中期経営計画の着実な推進によって、今後は業績の更なる向上と配当額も順調に伸びることを期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
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