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馬渕磨理子が実践!トレードステーション利用術:【最終回】経済活動再開、われわれは相場とどう向き合うべきか


(執筆:2020年5月27日)

皆さま、こんにちは。フィスコ企業リサーチレポーターの馬渕磨理子です。

トレードステーションの連載がスタートしたのは2017年2月です。今回が最終回になります。3年3か月にわたり、のべ75回の連載を読んでいただきました皆様に心より感謝申し上げます。

私の人生ではじめての「連載」が、この「馬渕磨理子が実践!トレードステーション利用術」だっただけに、私にとっては特別なものでした。また、トレードステーションと出会ったことで、個別銘柄の分析技術向上につながりました。これまでのトレードステーションと向き合った日々は、今の私の資産となっています。

さて、最終回の今回は、コロナウイルスの感染拡大が一区切りとなり、経済活動が再開される地域が増えていくなかで、われわれは何に気を付けて相場と向き合っていけば良いのか、そのヒントを提示できればと思います。

◆巨額のマネーが行き場を探している

アメリカでは4月の失業率が14.7%と戦後最悪の数字となったにもかかわらず、株式市場では株価が大幅に上昇しています。この実態経済と株式市場の乖離を不気味だと感じている方も多いでしょう。背景には、各国が行っている金融緩和で生じた、行き場を探す巨額のマネーがあります。

新型コロナにより、大きなダメージを受けた世界経済を「金融市場」が引き上げる可能性が高まっています。虚構と言われやすい「金融」ですが、金融により経済を持ち上げることができるのならば、経済不安から自ら断つ命も救えます。アフターコロナで生き抜く未来を、必死で各国の中央銀行が描いているのです。

◆日本の個人投資家が動いた

日経平均が大きく下落した3月、国内の個人投資家は8,454億円の買い越しとなりました。現金取引による買越額は1兆516億円を記録しており、日銀のETF(上場投資信託)買い1兆3,456億円に次いで、国内の個人投資家が3月の急落時に日本株を大量に購入していたことになります。株式投資に興味をもっていた「新規の層」も流入しており、日本人もずいぶんと株式投資に対して柔軟になった、と私は感じています。

日銀は今年3月に、ETFの買い入れ上限額を年間6兆円から12兆円に拡大しています。この買い入れ額の拡大で1回あたり1,200億円前後のETF買いが株式市場に流入しており、相場の下支え役を果たしています。日銀はETF買いを通じて、日本株に対する国内最大の買い手となっているため、3月が買い越しであることは想像に難くないですが、実は、国内で外出自粛中の個人投資家も日本株を支えていたことになります。

◆ブラックスワンの可能性

都市封鎖や外出自粛が解除されたからといって、ワクチンや治療法が確立していない今の状況で、コロナウイルスへの懸念が完全に払拭されたとはいえません。この先もコロナショックが起きないとは限らない未来が続くと想定し、私たちは最悪のシナリオも考えておく必要があるでしょう。

「ブラックスワン」とは過去のデータや経験からは予測不可能で実際に起きると市場に強い衝撃を与えるようなことをさす金融用語です。ここからの議論は、通常、確率的には極めて低いものの、発生すると非常に巨大な損失をもたらすリスクを考えた「シナリオ分析」であることにご留意ください。

1つ目は、海外クレジット投資における懸念です。リーマンショックの際に金融危機の引き金となったのは、住宅ローン、住宅ローン担保証券(RMBS)といった家計債務でした。今回のコロナショックで金融市場が懸念しているのは、信用力の低い社債、信用力の低い企業向けの融資、いわゆるレバレッジドローン、それを証券化したCLO(ローン担保証券)です。これらの格下げが3月以降、急速に進んでいます。

2つ目、産油国の体力の問題です。原油価格が20ドルであった場合に各産油国の外貨準備高が経常赤字を何年分カバーするかについて、フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議が行った試算では、サウジアラビアが5年強であったのに対し、バーレーンやオマーンは1年未満という結果でした。一方、ロシアやイラクは、経常収支が赤字化しないという試算結果になったため、外貨準備高が枯渇しないと想定されます。

また、イランについては、GDP比4.1%の経常赤字(2020年、IMF予想)、名目GDPが4,500億ドル(2018年)、外貨準備高が860億ドル(IMF推計)とすると、4年強は持つと試算されます。このあたりの産油国のデフォルトリスクなども懸念材料です。

◆◆◆

日銀のETF買い、信託銀行、そして、国内の個人投資家が日本株を支えています。このまま、何もなかったかのように、株価が上昇していくことが望ましいでしょう。しかし、「ブラックスワン」の存在を全く考えないのも、非常に危険であるようにも思います。

最後に、これからも皆様にとって株式市場や金融市場の存在が価値あるものでありますように。


※「馬渕磨理子が実践!トレードステーション利用術」は、米国TradeStation Groupが開発したトレーディングツール「トレードステーション」の日本語版(マネックス証券が提供)を馬渕磨理子の見解で注目し、コメントしたものです。開発会社や日本語版提供会社との見解とは異なる場合があります。

(フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子)




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