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エバラ食品工業 Research Memo(3):強いブランド力を背景に、トップシェアを誇る商品群が多い


■事業概要

2. 事業内容
エバラ食品工業<2819>の事業内容は、食品事業、物流事業、その他事業(広告宣伝・人材派遣等)の3セグメントに分けられる。2019年3月期の売上高構成比は、食品事業が84.8%、物流事業が11.6%、その他事業が3.6%である。食品事業を2つに分けると家庭用と業務用になり、全売上高に対し家庭用が66.7%、業務用が18.1%という構成比になる。家庭用はさらに、肉まわり調味料群、鍋物調味料群、野菜まわり調味料群、その他群に分けられ、全売上高に対する構成比はそれぞれ29.7%、22.1%、8.9%、6.0%となっている。同社の最大の特徴は、このように細分化した家庭用調味料において、国内トップシェアの商品群を多数持つ、「ニッチ&トップポジション」にある。

(1) 家庭用商品
「黄金の味」、「焼肉のたれ」、「すき焼のたれ」、「浅漬けの素」に代表される同社の家庭用商品は、一般家庭において非常に高い認知度を誇る。各商品とも、同社の「ニッチ&トップポジション」という考えに従って生み出されている。これは、調味料市場を小分けした、焼肉やすき焼きといったニッチマーケットに狙いを定め、具体的で分かりやすい新たなメニュー提案や人を引き付けるTVCM、売場で目立つ派手な容器によって、シェアを確保していくという考え方である。もちろん、不断のマイナーチェンジにより味や容器、使用シーンの改良を積み重ねることも、シェアの維持に必要な要素である。つまり、市場を創り育てシェアを取るという同社のビジネスモデルそのものが強みであり、強いブランド力の源泉になっているのである。このため、売上高数千億円規模の大企業がひしめく各種ブランドランキングで、売上高数百億円の同社が上位に食い込むこともよくあることなのである。なかでも同社のTVCMはしばしば評判になり、故橘家圓蔵(月の家円鏡)による「焼肉のたれ」のTVCMは名作と言われている。ただし、TVCMは多額の費用がかかるため、同社は広告効率を考え、売上比率をベースに厳しくコントロールしており、最近ではSNSなどを使ったデジタルマーケティングも多用している。

こうしたブランド力を背景に、同社にはトップシェアを誇る商品群が多い。肉まわり調味料群は「黄金の味」や「焼肉のたれ」に代表される肉料理のための商品群で、「焼肉のたれ」における市場シェアは46.8%と高い。鍋物調味料群は「すき焼のたれ」や「キムチ鍋の素」など鍋料理向けの商品群で、「すき焼のたれ」は63.0%とさらに高い。野菜まわり調味料群では手軽に漬物ができる「浅漬けの素」が人気で、市場シェアは48.9%とこれも高くなっている。その他群においては、「横濱舶来亭カレーフレーク」「プチッとうどん」など、新たな市場創出~シェア獲得を狙う商品群が控えている。

(2) 業務用商品
業務用商品は、たれ・素・スープを中心に幅広く品ぞろえされており、主に外食企業向けに販売されている。商品は「黄金の味」や「焼肉のたれ」、「やきとりのたれ」などの肉まわり調味料群、「がらスープ」や「ラーメンスープ」などのスープ群、「丼のたれ」や「浅漬けの素」、「マドラスカレー湿潤」などのその他群である。また、海外売上高の大半が業務用商品で占められ、その多くが「焼肉のたれ」と「ラーメンスープ」と見られる。

(3) 物流事業・その他の事業(広告宣伝事業、人材派遣事業等)
もともと食品事業を支えるための業務だったものが、ノウハウの蓄積とともに外部向けの商売を徐々に広げ、事業化された。現在、倉庫や貨物運送など物流事業は外部売上比率が6割を超え、物流の合理化・効率化ニーズを背景にさらに売上を伸ばしている。また、広告宣伝事業、人材派遣事業等にも勢いがついてきたようだ。なお、物流事業は(株)エバラ物流が行っており、広告宣伝事業と人材派遣事業等は(株)横浜エージェンシー&コミュニケーションズが行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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