ナガイレーベ Research Memo(4):2019年8月期第2四半期は、特殊要因により減益だが想定内
● 2019年8月期第2四半期の連結業績概要
(1) 損益状況
発表されたナガイレーベン<7447>の2019年8月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比2.5%減の7,233百万円、営業利益が同10.4%減の1,797百万円、経常利益が同10.1%減の1,835百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が10.5%減の1,263百万円となった。
原価面では、新工場の立ち上がりに伴う減価償却費増や不動産取得税などの特殊要因により売上総利益率は前年同期比で0.2ポイント低下したが、これらの特殊要因を除けば0.2ポイント改善していたことになる。一方で販売費及び一般管理費(以下、販管費)も役員退職慰労金制度廃止等の一時的要因により前年同期比7.7%増となった。その結果営業利益は同2ケタとなる10.4%の減益となったが、おおむね想定内の結果であり懸念される内容ではなかった。
主力のヘルスケアウェアの更新対象物件が前年同期に比べて少なかったこと、前年同期の水準が比較的高かったことなどから前年同期比では減収となった。
売上総利益は前年同期比2.8%減(96百万円減)の3,373百万円となったが、販売減による要因で87百万円減少し、生産による要因で10百万円減少した。この生産による要因の内訳は加工賃の上昇(主に海外)による影響で13百万円減、原価に及ぼす為替レート(2018年8月期上半期109.5円/ドル→2019年8月期上半期107.4円/ドル)の影響で20百万円増、海外生産比率の上昇(2018年8月期上半期48.5%→2019年8月期上半期49.2%)により13百万円増であった。さらに一時的な原価上昇として、新工場新設による減価償却費の増加15百万円及び不動産取得税14百万円の計上などがあった。
この結果、売上総利益率は46.6%となり、前年同期比では0.2ポイント低下した。ただし、仮にこれらの一時的な原価上昇要因を除くと売上総利益率は0.2ポイント改善し47.0%となっていたことになり、内容としては決して懸念されるものではなかった。
一方で販管費は前年同期比7.7%増の1,576百万円となったが、主に国内運送費の増加6百万円、一時的な役員退職慰労金制度廃止に伴う功労金81百万円の計上による。販管費においても仮にこの功労金の計上がなかったとしたら、前年同期比で2.1%増にとどまっていた。
設備投資額は176百万円となったが、内訳は生産設備関連が82百万円、物流設備関連が29百万円、建物関連が28百万円、IT設備関連が22百万円であった。減価償却費は166百万円となり、前年同期の141百万円から25百万円増加した。
以上のように、この第2四半期の営業利益は2ケタの減益となったが、主に減収と一時的なコストアップ要因によるものと言える。前者については、前年同期が比較的高水準であったことに加えて、一部の案件が後ずれしたことによるものであり、悲観する内容ではない。また後者のコストアップ要因は当初から見込まれていたものでおおむね想定の範囲内である。したがって、今回の減益は決して懸念されるべき内容ではなかったと言える。
a) アイテム別売上高
アイテム別の売上高は、ヘルスケアウェアが前年同期比3.5%減の4,116百万円、ドクターウェアが同0.8%減の1,084百万円、ユーティリティウェアが同10.9%減の202百万円、患者ウェアが同2.7%増の995百万円、手術ウェアが同1.7%減の687百万円、シューズが同9.4%減の61百万円、その他が同11.7%減の86百万円となった。
主力のヘルスケアウェアではハイエンド商品は順調に推移したが、前年同期に比べて更新対象物件が少なく新規獲得でカバーできず減収となった。ドクターウェアでは量販品は厳しかったが、全体的に大きな動きはなく前年同期並みとなった。手術ウェアではコンペルパックは順調だが、それ以外の商品が苦戦し若干減収となった。一方でここ数年注力している患者ウェアは入院セットの浸透による市場拡大を背景に2ケタの増収が続いていたが、今期については第1四半期のマイナスが響き第2四半期累計では2.7%増にとどまった。
b) 地域別売上高
地域別売上高では、東日本が前年同期比1.7%減の3,764百万円、中部日本が同13.0%減の705百万円、西日本が同0.3%増の2,668百万円、海外が同20.4%減の94百万円となった。
東日本では前年同期の増収率が高かったこと、更新対象物件が前年同期に比べて少なかったことに加えて、患者ウェアの伸びが一段落したことなどから減収となった。中部日本は市場規模が小さいことから物件の多寡による影響が大きく、特にこの上半期は更新対象物件が極めて少なかったことから減収率が大きくなった。西日本は順調に推移しているが、新規及び更新対象物件の下期へのずれ込みが発生し、ほぼ前年同期並みの売上高となった。海外は前年同期に大口物件の獲得があったことなどから、前年同期比の減収率が大きくなったが、絶対金額はまだ少なく全体への影響は軽微である。
c) 商品別売上高
商品別売上高ではハイエンド商品が同3.2%増の540百万円、高付加価値商品が同0.1%減の3,859百万円、付加価値商品が同6.5%減の2,497百万円、量販品が同6.4%減の336百万円であった。ハイエンド商品では、ブライトデイズ、4D+(フォーディープラス)、ビーズベリー等の高級ブランドが小口ユーザーを中心に拡大した。高付加価値商品では、プロファンクションなどの高機能商品群が市場の評価を得て好調に推移した。その一方で、一般的な付加価値商品や量販品は減収となった。ただし量販品においては、他社物件も含め付加価値商品群への移行を推進している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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