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ヨシムラフード Research Memo(1):中小食品企業を子会社化し長期的視点で支援するユニークなビジネスを展開


■要約

ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>は、食品の製造や販売を行う中小企業の支援・活性化を目的に、2008年3月に代表取締役CEO吉村元久(よしむらもとひさ)氏によって設立された。以来、商品や技術、販路、製造などに優れたノウハウを持ちながら、後継者難や事業再生、人材・資金・営業力不足といった様々な課題を抱える全国の中小食品企業を子会社化することで支援、さらに、持株会社として子会社の経営戦略の立案や実行、経営管理を行うとともに、営業、製造、仕入物流、商品開発、品質管理、経営管理といった子会社各社の機能に横串を刺した「中小企業支援プラットフォーム」という仕組みによって活性化を進めてきた。

同社の強みは、ビジネスモデルの要であるM&Aと「中小企業支援プラットフォーム」にある。一般に言われるM&Aと異なり同社のM&Aは、子会社の短期売却を目的にしておらず、長期的な視点で持続的な成長を目指す。このため、被M&A企業のオーナーや従業員、取引先にとって受け入れやすい。また、「中小企業支援プラットフォーム」は、各子会社の業務を会社の壁を超えて横断的に統括し有機的に結び付ける仕組みで、各社が持つ強みを伸ばし弱みを補い合うことを容易にする。食品分野に特化したこのマッチアップは、同社のビジネスモデルを非常にユニークなものに仕上げている。

2018年2月期の業績は、売上高が20,035百万円(前期比23.4%増)、営業利益494百万円(同0.2%増)となった。法人税等調整額の戻りが発生したため、親会社株主に帰属する当期純利益は419百万円(同18.6%増)であった。事業承継問題など課題山積の食品業界で、引き続きM&Aによる規模の拡大を図り、(株)ヤマニ野口水産とJSTT SINGAPORE PTE. LTD.を子会社化した。既存企業については、販路拡大や新商品開発などにより売上高は大きく伸ばすことができた。しかし、特に下期に入って、原材料価格の高騰に加え、想定以上に受注が増加したため人件費や物流費などコストアップが急速に進み、営業利益は前期比横ばい圏にとどまり、計画比では未達に終わった。

2019年2月期業績について、同社は売上高23,278百万円(前期比16.2%増)、営業利益555百万円(同12.3%増)を見込んでいる。なお、法人税等調整額の戻りがなくなるため、親会社株主に帰属する当期純利益は363百万円(同13.3%減)の見込みとなっている。2018年3月に(株)おむすびころりん本舗を子会社化し、その取得費用が含まれている。前期にM&Aした2社が収益にフル寄与、おむすびころりん本舗もほぼフル寄与することが見込まれる。既存企業においては、ラインナップ強化や新規市場の開拓を進めるが、一方で予想されるコストアップへの対策は既に打っている。ただし同社の2019年2月期業績見込みについて、既存企業の収益前提を前期並みに見るなど下方修正を繰り返さない決意の現れとはいえ、やや保守的な見込みという印象である。

シェア争いに伴う価格競争などにより、中小食品企業の経営環境は非常に厳しい。そのうえ、経営者の高齢化や開発力不足など課題が山積している。このため、今後、中小食品企業の事業承継ニーズはますます高まることが予測されている。同社も、M&Aの推進や「中小企業支援プラットフォーム」の強化に取り組んで、そうしたニーズに応じていく考えである。2017年3月に東証1部に市場変更が完了したため、10月以降半年で3件と同社のM&Aが加速し始めた。半年で3件、1年で6件というM&Aは同社にとって巡航速度ということになるが、それでも収益拡大に弾みがつく規模であり、中期成長につながることが期待される。

■Key Points
・後継者難など課題の多い中小食品企業に対し、子会社化し長期視点で支援するユニークなビジネスを展開
・M&Aと支援プラットフォームに強み。中小食品企業の支援ビジネスは外部環境良好で競合が少ない
・2019年2月期業績予想はやや保守的な印象。後継者難拡大などから中期的にM&A加速が期待される

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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