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3Dマトリック Research Memo(9):第三者割当増資を実施し、2019年4月期までの開発費用を確保


■財務状況とリスク要因

1. 財務状況
スリー・ディー・マトリックス<7777>の2018年4月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比308百万円減少の3,115百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産ではたな卸資産が555百万円増加した一方で、現預金が416百万円、売掛金が507百万円減少した。たな卸資産の増加については主に下期以降の止血材の販売増加に備えて、原材料調達を実施したことによるものだ。

負債合計は前期末比61百万円減少の754百万円となった。また、純資産は同246百万円減少の2,360百万円となった。新株予約権の行使に伴い資本金及び資本剰余金が合わせて628百万円増加したが、親会社株主に帰属する四半期純損失776百万円の計上や為替換算調整勘定の減少がマイナス要因となった。

なお、同社は2017年11月に第三者割当増資を実施し、885百万円を調達すると同時に、2017年5月に発行した第17回新株予約権(第三者割当て)の残存部分をすべて取得し消却を実施した。新株予約権発行当時と比べ、同社の平均出来高が減少し、新株予約権の行使が想定より進まないなかで、増資の引受け先が見つかり一括して調達を実施した方が効率的と判断したためだ。

増資の引受先は、FFアクセラレーター1号投資事業有限責任組合で、バイオ関連分野の投資ファンドとなる。1株666円で132.8万株を引き受け、2017年11月末時点で持株比率5.79%と第2位株主となっている。中長期の保有を目指した純投資目的となっている。今回の増資で調達した資金の使途としては、日本での止血材の治験費用及び申請関連費用で300百万円、欧州等における次世代止血材の研究開発費用及びCEマーキング認証取得費用で300百万円、欧州等における癒着防止材の研究開発費用で100百万円、止血材の原材料調達費用・製造設備拡充費用で135百万円を予定している。

今回の資金調達により同社の現預金残高は20億円を超える水準まで回復したが、第3四半期以降も臨床試験費用などが先行し営業損失が続く見通しとなっている。欧州での独占ライセンス契約の締結がなければ2018年4月期末時点の現預金は13億円前後の水準になっているものと予想される。銀行からの借入枠はコミットメントライン枠を含めて最大13億円まで可能なものの、現在のパイプラインの進捗状況次第では再度、エクイティファイナンスを実施する可能性がある。

2. 事業リスクについて
事業リスクとして、主力製品である止血材の販売が想定どおり拡大しない可能性や、同社製品を上回る性能を持った競合品が台頭する可能性、次世代止血材の開発や日本での止血材、欧州での後出血予防材の承認が進まない可能性などが考えられる。こうした状況になれば、欧米市場における販売ライセンス契約の交渉にも影響を与えることになる。

ここ数年は止血材の販売遅れにより業績の下方修正を続けてきたが、ここにきて欧州では内視鏡領域での採用がKOLの間で広がり始めているほか、オーストラリアでは癒着防止材や腹腔鏡手術用の止血材としての需要も立ち上がり始めており、ようやく市場での認知度が向上してきた段階とも言える。KOLの間で採用が広がれば、タイムラグを置いて一般医師も使い始める可能性が高く、そうなれば売上成長も加速化していくことが予想される。市場での認知度向上に至るまでに長い時間を要したが、ようやくその入り口に差し掛かったとも言え、今後の成長に期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



<NB>

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