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Eストアー Research Memo(4):増加しつつあるマーケティング事業への需要に対して、体制整備は順調に進む


■事業と構造改革への取り組み

(3)マーケティング事業の構造改革と進捗状況

a)これまでの流れ
前述のように、マーケティング事業は、システム事業のフロウ拡大のために顧客売上高の拡大を支援するというところからスタートした。2011年にインターネット広告代理店のプレシジョンマーケティングを買収して事業セグメントとしてのマーケティング事業がスタートした。その後マーケティング事業は、ECマーケットプレイス『PARK』の開設やECに関する調査・分析やコンサルティング事業への進出に合わせて、“集客事業”、“メディア事業”及び“販促事業”の3つのサブセグメントに事業領域を拡大した。

マーケティング事業は“顧客売上高の拡大の支援”という視点からスタートしたのは前述のとおりだ。その実現に向けて、Eストアー<4304>は様々な施策に取り組み、試行錯誤を繰り返してきたが、それがプレシジョンマーケティングの子会社化であり、『PARK』のローンチと運営であった。

プレシジョンマーケティングは企業の宣伝を主体とするインターネット広告代理店で、マーケティングサービスに必要な集客におけるノウハウ享受が目的で提携した。そのノウハウ吸収に一定の成果が見られたことで、2016年1月にプレシジョンマーケティングを非連結化とした。

『PARK』はECショッピングモールであり、競合は楽天<4755>やAmazonなどだ。同社はここに年間1億円規模の広告宣伝費をかけて運営してきたが、強力なライバルの存在で、そうした費用はそのまま営業損失につながる状況となっていた。そこで同社は、2016年3月期からは『PARK』への投資を絞り込み、その原資を販促事業などに投下することを決断した。

以上のような経緯から、マーケティング事業において注力すべき事業として販促事業が残った。販促事業は、調査・分析、コンサルティングティング、制作、及び集客・運営の代行などを行うことで顧客の売上拡大を支援する事業だ。創業以来同社が蓄積してきたECに関する知見とノウハウを活用でき、同社の強みが正面から生かせる事業と言える。しかし同社は、この販促事業の立ち上げには時間をかけ、様々なポイントを確認しながら体制を整備してきた。その理由は、販促事業の業務内容の多くが、日本においては“サービス”として行われてきたために、課金して事業化することができるのかということへの警戒や、同社の施策が売上増大という結果にきちんと結びつくのかを検証したいということなどがあったものと弊社では推定している。そうした販促事業の歩みを振り返ると、マーケティング事業の構造改革というのは、端的に言えば、販促事業の成長プロセスということができるのではないかと考えている。

同社は2017年3月期において、事業セグメントを「システム事業」と「マーケティング事業」の2事業セグメント制から「EC事業」の単一セグメントに移行した。これに合わせて、販促事業は、2017年3月期から“マーケティング”と呼称を変えて売上高の内訳の1項目となり、メディア事業も“メディア”という呼称で売上高の内訳の1つとなった。

b)マーケティングの状況
マーケティング(従来の販促事業)は、2種類の顧客グループに対して展開されている。1つは、システム事業の営業部隊による、システム事業の既存客に対するものだ。システム事業の既存客からはASPサービスの月額料金(ストック)と売上高の一定割合の収入(フロウ)が入ってきているが、そこに、コンサルティングや業務運営代行といったマーケティング支援の役務提供サービスを重ね売りしている。

もう1つはまったくの新規客に対する売り込みだ。ここでは顧客の規模をシステム事業の顧客とは大きく異なる、売上高で数億円から数100億円程度の中堅・大手企業を対象としている。これらの規模の企業がECを手掛けている場合は、EC店舗を自社サイト(本店サイト)に加え、Amazon、楽天、Yahoo!などに支店を出店しているケースが多い。ショッピングモールに出店した店舗の集客はモール自体の集客力に大きく左右される。それに対して自社サイトは、自助努力で集客・売上高を高めることができるのに加え、理論上は支店に比べて採算性も良い(ショッピングモールへの支払いがないため)。同社は本店サイトの集客・売上アップを目指しマーケティング支援サービスを提供している。

2017年3月期第2四半期のマーケティング売上高は、前年同期比38.6%増収の351百万円に達した。売上高の伸び率は同社の期待値通りの線ではあるが、顧客のニーズは非常に強く、同社のキャパシティを超えるペースでオーダーが入ってきている状況にあるようだ。今期に入って受注が増えてきた要因については、これまでの営業活動が実を結んだ結果だと同社では説明している。

顧客は前述の2つのグループの双方で着実に増加しているもようだ。顧客の企業規模の違いから同社の売上や契約期間などでも明確な差がある。システム事業の既存客からの契約は、金額は数十万円~百万円と低額だが件数が多く、中堅から大企業主体の新規客との契約では、金額が一桁大きいものの契約獲得に時間がかかるため件数は少なめという、大まかな色分けができる状況だ。今後同社がどちらの顧客グループにより注力していくのかという点については、まだ明確な方針を下すだけの材料が蓄積されていないとしている。

増加しつつある需要に対応して、同社の体制整備も足元では順調に進んでいる。同社のマーケティング支援サービスは人的パワーに依存する面が大きい労働集約型の事業モデルだ。それゆえ体制強化・キャパシティ増強とは人材獲得に他ならない。同社が行ってきた“利益を犠牲にしての先行投資”もその中心は人件費を意味している。今第2四半期中においてはマーケティング支援サービス分野だけで計画どおり10数人の人員増(純増)を果たしたもようだ。下期についてもさらに同規模の人員増を計画しており。これも足元、順調に進捗している状況だ。

こうした状況を踏まえて同社では、今下期の更なる繁忙化と、当初計画からは遅れて推移してきたマーケティング売上高が、2018年3月期において本格的に拡大することを予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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