ネットイヤー Research Memo(3):大型プロジェクト一巡、不採算プロジェクト収束遅れで売上大幅減も新事業期待
(1) 2017年3月期第2四半期累計の業績概要
10月31日付で発表されたネットイヤーグループ<3622>の2017年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比36.5%減の2,327百万円、営業損失が315百万円(前年同期は216百万円の利益)、経常損失が315百万円(同214百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が360百万円(同132百万円の利益)となった。
収益悪化の要因は、前年同期に計上したオムニチャネル関連の大型プロジェクトが一巡したほか、前第4四半期に発生した不採算プロジェクトの収束が遅れ、大型プロジェクトの穴を埋めるための新規受注活動を十分に行えず、結果的に売上高が大幅に落ち込んだことが主因となっている。売上高の内訳を見ると、当該大型プロジェクトが1.5億円(前年同期は15億円)、その他の売上高が21.5億円(同21億円)となっている。
営業利益の増減益要因を見ると、受注減に起因する減益で6.3億円、「ぽぷろう」など新事業立ち上げのための費用増で0.2億円、仕掛品・その他で0.2億円の減益要因となった一方で、人員の減少で0.9億円、販管費の削減で0.2億円、子会社のトライバルメディアハウス、rakumoの増益で0.2億円の増益要因となった。
会社別の収益動向を見ると、ネットイヤー本体の売上高が15億円(前年同期は28億円)、営業損失が2.5億円(同2.5億円の利益)と収益悪化要因の大半を占める格好となっている。一方、子会社のトライバルメディアハウスの売上高は6.7億円(同6億円)、rakumoは1.5億円(同1.2億円)とそれぞれ2ケタ増収と順調に拡大しており、利益面でもいずれも増益要因となっている。トライバルメディアハウスについては、SNSを使ったマーケティング支援サービスが伸びていること、rakumoについては導入社数の増加に加えて、5月にリリースした新サービス「rakumo Sync」が好調に推移していることが要因となっている。
オフィス業務の生産性向上に寄与するクラウドアプリサービス「rakumo」は、その使い勝手の良さから導入社数が順調に拡大しており、9月末は1,026社と前年同期の880社から17%増加した。3月末の1,013社から伸びが鈍化しているが、これは販売戦略を間接販売から直接販売重視へとシフトしたことや、市場の競争激化が影響していると考えられる。引き合いが好調な「rakumo Sync」とは、SalesforceカレンダーとGoogleカレンダーをリアルタイムで同期するサービスとなる。企業では営業部でSalesforceのカレンダー機能を使っていても、予算の関係で他部署ではGoogleのカレンダー機能を利用するといったケースも多くあり、こうした企業に対して両カレンダー機能を同期させる「rakumo Sync」の導入が進んでいると言う。
なお、小売店舗向けアプリの「ぽぷろう」については当初の計画よりも立ち上がりが緩やかなものの、導入店舗数が100店舗を超えるなど着実に導入店舗数は増加している。手軽に電子POPが作成でき、写真などを組み合わせた割引情報などをリアルタイムで配信できるため、利便性の良さが評価されているものと見られる。月額利用料が7,800〜13,000円と安価なため業績へのインパクトは軽微なものの、今後期待されるサービスの1つとなっている。「rakumo」や「ぽぷろう」「Engage Manager」など自社開発プロダクトの売上高は前年同期比6%増の4.5億円と着実に拡大を続けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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