15日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

・日経平均は4日ぶり反落、新政権に対する国内外投資家の見方は?
・ドル・円は105円60銭台で推移、中国経済の回復を意識してドル下げ渋り
・値下がり寄与トップはテルモ<4543>、同2位がソニー<6758>

■日経平均は4日ぶり反落、新政権に対する国内外投資家の見方は?

日経平均は4日ぶり反落。132.00円安の23427.30円(出来高概算5億8000万株)で前場の取引を終えている。

週明け14日の米株式市場でNYダウは続伸し、327ドル高となった。半導体のエヌビディアがソフトバンクG<9984>から英アームを買収すると発表するなど、大型M&A(合併・買収)の発表や観測報道が相次いだ。また、英アストラゼネカが新型コロナウイルスワクチンの最終治験を再開し、開発進展への期待も広がった。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も3日ぶりに反発。ただ、日経平均はここ3営業日で500円超上昇し、前日には終値ベースで7カ月ぶりの高値を付けていたため、本日は利益確定売り優勢で120円安からスタートした。前日まで調整を強いられていた値がさグロース(成長)株に買いが入る一方、経済活動の再開期待から買われていた景気敏感株に売りが出て、寄り付き後の日経平均は23351.35円(207.95円安)まで下落する場面があった。

個別では、前述のソフトバンクGやソニー<6758>、KDDI<9433>がさえない。ソフトバンクGは非公開化観測が再浮上し、前日急伸した反動とみられる。ソニーは年末商戦期に発売予定の家庭用ゲーム機「プレイステーション5」について、生産台数を下方修正するなどと報じられた。公募価格決定から買い戻し優勢だったアサヒ<2502>は急反落。また、決算発表のHamee<3134>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、ソフトバンク<9434>が売買代金トップで8日ぶり反発。売出価格が決まり、従前のアサヒ同様に買い戻し優勢となっているようだ。任天堂<7974>や東エレク<8035>も堅調で、トヨタ自<7203>は外資系証券の投資判断引き上げが観測されて小じっかり。また、アジア投資<8518>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。

セクターでは、鉄鋼、空運業、陸運業などが下落率上位で、その他も全般軟調。その他製品のみ小幅に上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の71%、対して値上がり銘柄は25%となっている。

本日の東京株式市場では売りが先行し、日経平均は4日ぶりに反落している。前日に時間外取引での米株価指数先物の上昇が買い手掛かりの1つとなっていたため、米株高はある程度織り込み済みだったのだろう。また、国内では菅義偉官房長官が自民党新総裁に決まり、海外では新型コロナワクチンの開発が進展しているように見受けられるが、まだまだ国内外の政治・経済情勢を巡る不透明要因が多く残るなか、日経平均が24000円台回復に向かうと考える市場参加者が少ないことが窺える。

さらに、今週は15日から米連邦公開市場委員会(FOMC)、16日から日銀金融政策決定会合と重要な金融イベントが控えており、目先の利益を確保する売りが出やすいと考えられる。実際、業種別騰落率などを見ると、先週買われていたセクターや銘柄の軟調ぶりが目立つ。今回のFOMCでは参加メンバーの経済・政策金利見通しが示されるほか、金融緩和の長期化などが打ち出されるとみられており、とりわけ市場の注目度が高い。投資資金の流れが再び変わる可能性もあり、いったんは持ち高を整理しておきたいところだろう。ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまりとさほど膨らんでいない。

新興市場ではマザーズ指数が反発し、2%近い上昇となっている。米ハイテク株の下げ止まりや日経平均の伸び悩みで、新興株に押し目買いが入っているのだろう。米ハイテク株の調整でマザーズ銘柄の先行きに対し慎重となった市場関係者が多い印象だが、結局のところマザーズ指数は押し目らしい押し目を作っておらず、個人投資家は冷静に次の買い場を探しているように見受けられる。再生細胞薬開発のサンバイオ<4592>がリリースを手掛かりにストップ高水準案で買われているのが目を引く。

取引時間中に発表された中国の8月経済指標が良好な内容だったことから、日経平均は前引けにかけて下げ渋り。また、東証株価指数(TOPIX)が0.68%の下落で前場を折り返しているため、後場は日銀による上場投資信託(ETF)買い実施も期待されるだろう。とはいえ、日米の金融イベントを控え積極的に戻りに乗ろうとする動きは限られるとみておきたい。

さて、菅氏が自民党総裁選を制し、閣僚・党役員人事の概要が徐々に伝わってきた。これまでの報道からは、自身を支持した主要派閥を中心に党内バランスを重視した布陣といった印象。個人的には菅氏本人の言のとおり、早期の衆院解散・総選挙は遠のいたように感じられる。連立相手の公明党が早期解散に難色を示していることに配慮した可能性などが考えられる。また、菅氏は総裁選後に改めて構造改革の推進に意欲を示したが、新体制下で強いリーダーシップを発揮できるか注視したい。金融市場でも新政権の陣容を見極めたいとの声は多いようだ。

やや残念なのは、海外投資家の関心がソフトバンクGの動向等に向いてしまい、新政権発足についてはあまり話題に上がっていないとの情報が少なからず聞かれることだ。本日も地銀株の一角が大幅高となっているが、こうした「菅トレード」は海外勢まで広がっていない可能性がある。菅政権が初動で海外投資家からの評価を高めることができるか、日経平均の先行きを占ううえでも重要なポイントとなりそうだ。


■ドル・円は105円60銭台で推移、中国経済の回復を意識してドル下げ渋り

15日午前の東京市場でドル・円は105円60銭台で推移。日経平均は132円安で午前の取引を終えた。下げ幅は縮小しており、株安を警戒したドル売り・円買いは増えていないようだ。本日発表された中国の8月小売売上高と8月鉱工業生産は市場予想を上回っており、中国経済の回復を意識してこの後の欧米市場でもドル・円は下げ渋る可能性があるとみられている。ここまでの取引レンジは、ドル・円は105円61銭から105円75銭、ユーロ・ドルは1.1859ドルから1.1882ドル、ユーロ・円は125円32銭から125円54銭。


■後場のチェック銘柄

・サンバイオ<4592>、日東製網<3524>など、13銘柄がストップ高

※一時ストップ高(気配値)を含みます

・値下がり寄与トップはテルモ<4543>、同2位がソニー<6758>


■経済指標・要人発言

【要人発言】

・ムニューシン米財務長官
「追加経済救済策、下院議長が譲歩する意向があるなら、合意も」
「政府機関を閉鎖させないよう下院議長と協力」
「住宅は明るいセクター」
「米政権、今週、ティックトックに対するオラクルの提案を精査する」
「経済封鎖による中小企業への影響を懸念」

・欧州中央銀行(ECB)専務理事兼首席エコノミストのフィリップ・レーン氏
「金利が下限に到達した兆候はない」
「ECBはフォワードガイダンスに満足」
「無秩序なブレグジットないことを期待」
「ユーロ相場はインフレ見通しに影響」
「ECBはインフレ見通しに基づき行動」

・トランプ米政権
「シンチアンウイグルの強制労働を巡る違約金を課す」
「中国シンチアンウイグル地区からの一部繊維製品の輸入を禁止、強制労働疑惑」

・ジョンソン英首相
「EUが分別があることを期待する」
「我々は英国の領域擁護する必要」
「カナダ型の自由貿易協定を結ぶことは可能だ」

【経済指標】

ユーロ圏・7月鉱工業生産:前月比+4.1%
(予想:+4.2%、6月:+9.5%←+9.1%)


<国内>
特になし

<海外>
・15:00 英・5-7月ILO失業率(予想:4.1%、4-6月:3.9%)
・米連邦公開市場委員会(FOMC)(16日まで)

<HH>

情報提供元:FISCO
記事名:「後場に注目すべき3つのポイント~新政権に対する国内外投資家の見方は?